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バーコード決済

 キャッシュレスの時代である。もはやコンビニなんかでジャラジャラ小銭をやり取りすることも少なくなった。ところで バーコード QRコード はよくできてるなぁと思う。あれに何が書いてあるというのだろう。私にもわかるように誰か教えてくれないものだろうか(笑)

 しかし本稿で語りたいバーコード案件は、頭頂部の話である。あの特殊な文化は外国でもあるのかな? などと考え始めると 私は夜も眠れない(ウソです)。
 日本人より頭のてっぺんが淋しくなってしまうパターンが多いように思う欧米なんかでは、日本人の一部の男性みたいにバーコードにせず、かぶり物でカバーする御仁が多いような気がするのだが・・・。

 そう、今回は 薄毛・バーコード頭 にまつわる 私の経験談を紹介したい。

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 先日 出先でちょっとしたトラブルがあった。夫婦2人で入った ある店で、妻が買い物をした時のことである。レジを担当した若い女の子が、妻がレジ前に置いた カップに入った和菓子をやや乱暴に扱った(私にはそうに見えた)。そのはずみで、縦に3個積んだ一番上のカップが台上に転げ落ちたのだ。当然中の和菓子もカップの中でひっくり返っていた。私は途端に『あっ』と言ったたが、もはやその和菓子は 少なくとも誰かにお土産としてあげられるものではなくなっていた。

 しかしあろうことかレジの女の子はそれを見てチッと舌打ちをし、私に対して 他に何のリアクションもなく ただ『交換しますか?』と尋ねたのだ。私は昔からこういうのが最も嫌いで、瞬間的に あるスイッチが入ってしまう。『申し訳ありません』も『取り替えますね』も無く、『交換しますか?』はないだろう。何より妻に悲しい思いはさせたくなかった私は、もうちょっとで大声が出そうになったが、なんとか自分の中で落ち着かせて『その質問の前に何か言うことはないですか?』と極力 静かにレジの女の子に言った。

 有難いことに、比較的近くで たまたま一部始終を見ていた別の店員が、店の奥に飛び込んだと思ったら、頭の薄い男を連れて来た。その男はその場に来るなり『いかがなさいましたか』と私に聞いた。私が簡単に起きたことを説明すると、まるでそんなことが起こることを予測していたかのように 即座にその男は『誠に申し訳ございません、お客様。すぐに商品をお取り替え致します』と言って件の女の子の代わりに私たちの応対をし始めたのである。どうもいわく付きの店員で試験的にレジに立たせていた風なことを、汗を拭いつつペラペラと話しながら、男は謝り続けた。しかし平身低頭するたびに目の前に上下する バーコードみたいな頭頂部 がおかしくて、私はレジの女の子に対する怒りがどこかにいってしまったのである。結果的にその店の役付きなのであろうその男によって(遠慮はしたがちょっとしたオマケも付けてもらって)、とにかく事態は収拾したのだった。

 今回のことは 不注意で起こってしまった案件だが、こんな時は金の決済というより お客の気持ちを決済することこそ最重要事項なのだと思う。結果としてこのすだれ頭の男はその目的をきれいにやり遂げたのだ。振り返って私は思う。これこそ見事な バーコード決済 ではないかと。

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