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におい?

 たぶん日本では今 空前の消臭ブームである。テーマ画像は我が家で洗濯に使っているアイテムだが、ドラッグストアで通常並べられている洗剤や柔軟剤を見ると、臭いを消すパワーを謳う商品ばかりである。煮沸レベルの消臭力なんかがヒット商品になるということは、正に世の人々は自分の臭いを消したくて仕方ないのだとしか思えない。さらに柔軟剤やその他の香り付け商品でいい匂いまで付加するのだ。いわゆる『柔軟剤以上香水未満』である。一体これらは何なのだろう?

 考えてみると消臭グッズは洗濯関連だけではない。他にも身体から出た臭いを消すものはスプレータイプ、ジカ塗りタイプのものは揃っているし、足や靴の臭い消しは古くからある。玄関や部屋、トイレ、台所、はたまた車に至るまで、消して消してその痕跡まで抹殺しようとしているのが今の日本なのであり、TVではガッキーや吉岡里帆さん、アタックのCMに至っては主役級の豪華俳優陣(松坂桃李さん、菅田将暉さん、賀来賢人さん、間宮祥太朗さん、杉野遥亮さん)がいっぺんに顔を揃えているのである。ギャラだけでいかほどなのだろう?などと下世話な妄想までしてしまう。しかし花王はその投資も覚悟の上なのだ。

 世界中を歩いた訳ではないし 決して外国の経験が多くはないものの、実際に見聞きし 街を歩いて思うに、日本人ほど臭いのない民族はないのではないかと思える。ヨーロッパ各国の空港や街、アジアの国々においても『誰がこの臭いの元なのか?』を目で探したものだ。印象深いのは、花の都パリの地下鉄において、その臭いの強烈さに日本人同士で顔を見合わせた思い出だ。

 繰り返すが、こんな無臭の日本人であってもなぜか時代は絶賛『消臭』なのであり、私たちは世界一臭いを発散していないにもかかわらず、世界一臭いを気にする特殊な民族なのである。思うに我々日本人にとっては他人の『ニオイ』は堪らなくイヤなものなのかもしれない。であるからこそ他人に対して自分のニオイを感じさせる訳にはいかないのだ。

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