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美容師の離職率が高い理由 3

 最後は美容師個人の性格や考え方の問題に考察を加えてみる。なんだかんだいっても結局離職というものは、個人の考え方や捉え方が最も大きなファクターになる。


Ⅲ.個人の考え方の問題

《清濁あわせ飲めない 追及型》

 どこにでも存在する『文句言い』。何かと理屈っぽく、いちいち引っかかる。業を煮やした先輩からは『ええから言われたことをやれ!』と言われ、本人は納得できないことが連続するから段々面白くなくなっていく。
 職人気質で徒弟制度を経験したベテランほど、個人の納得なんかどうでもいいという見習い時代を過ごしている。そんなベテランにとって、『追及志向』が強すぎる新人は、本人の納得が全ての行動の条件になるから、指導する立場から見ても面倒クサい存在であり、結局可愛がってもらえないことになるのである。
 そんなことを考えると以下の図式が見えてくる。

  ①就業1.2年目はハイハイと何でも
   素直に聞いて実行する
  ②それ以降は効率や技術を極められるように
   考え、努力する
  ③さら7,8年目からは自分のビジョンを
   持って35歳〜40歳の自分というものを
   頭に描き、そのための行動をする


 こんな条件をクリアできる人は、美容師人生において時々どこからともなく襲ってくる『辞めたい波』を乗り越えやすいんじゃないかなぁと思っている。

《美容師という仕事の『何か』に情熱を持てない人》
 何でもいい。『金』でも『技術』でも『人』でも『独立』でも『美』でも『カッコいい』でも『オシャレ』でも構わない。そのための一生懸命になれる情熱があれば。夢中は努力に勝る。
 アカンのは何も無いヤツだ。美容師の人生は短期決戦だから、何となくフワフワ生きてると知らない間に、自分を取り巻く状況が面白くないことになっていることが多い。この『無自覚無症状人生降下症候群』は静かに進行する肝臓ガンみたいなものだから始末が悪い。気がつくと手遅れになっている。

《 金や女(男)に節操が無い人》
 これは美容師に限らないんだけど、なぜか美容師にはそのタイプが多いようである。金や異性にいい加減な人は いいように言えば『情に厚い』し、悪く言えば『だらしない』。このタイプの人は確固たる自分というものがないのかなぁと思ったりもするが、一個人として付き合えばみんな優しくて良い人なんだよね。私の友人・知人の美容師でも、自己破産してしまった人は何人か知ってるし、カードローンの返済に苦しんでいる人は少なくない。
 何でこんなクズ男に女性が寄って来るんだろう? みたいな男性美容師、『お前、それ騙されてるよ! わからんか?』みたいな女性美容師。彼・彼女たちは確かに愛すべき人々なんだろうけど、私には人生を刹那と捉え、後のことを全く考慮せずに生きているようにしか見えない。


《まとめ》
 私が見るに、決してひろゆきさんが主張するように『美容師では食えない』訳ではないし、『可能性が無い』訳でもない。労務環境が劣悪なサロン、所謂ブラック企業といわれるところはあるのだろうが、それは美容業界に限らない。今は超個人店を除き、週休2日で残業手当、有給休暇も普通に取れる事業所がスタンダードだ。少なくともそうでないと学校新卒生が初めて勤めるサロンたりえない。

 美容師は芸能界とよく似ている。素晴らしい仕事だとは思うが、受け皿である企業の姿勢と本人の考え方の問題をクリアしなければ、長くやっていくのは難しい。TVタレント同様、オシャレであるとかカッコいいだけならこの世界では続かない。
(おわり)

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