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大日本帝國海軍 《連合艦隊》

 日本は四方を海に囲まれているが、大昔より常にロシアに北側から狙われる脅威がつきまとっている。彼の国は虎視眈々と不凍港を求めて南下を目論んでいたのである(今でもそれは消えていないと思う)。日露戦争の勝利によって一時的にその野望はくじかれたが、ロシアという国は老獪で信用できない。現在の北方領土問題(北方領土問題など元々無いと私は思っているが)にしても、まともに交渉をしたところで、絶対に解決などしないと私は思う。そんな相手ではない。

 近代的な戦いという意味において、我が国の旧海軍は歴史を明治に遡る。軍艦と一口にいうが その種類は多種多用であり、次々生まれる新しい武器と、それを使う際の最も効果的な方法が研究されていき、どの時代もそうだったように、戦いの現場は 加速度がついた状態で 急速に新しい方法に変わっていった。軍艦の戦場は海上である。昔から船から大砲を撃って敵の船を沈める役目なのが軍艦だ。甲板に砲を搭載している船としては、細かいことを抜きにすれば、大きい方から 戦艦、巡洋艦(重・軽)、駆逐艦の順になる。

 軍艦には次のような共通の特徴がある。
   ◎砲の大きさは艦の大きさに比例する
    →砲だけ大きくても沈没しやすくなる
   ◎砲の大きさと防御力は比例している
    →自分が撃った砲が貫通しない防御
   ◎大きい艦ほど重く遅くなる
    →すばしっこさも無くなる

 しかし船に搭載した砲でドッカンドッカン撃ち合う時代は、先の大戦の開戦(真珠湾攻撃)によって 他でもない我が帝国海軍が終焉を招いた形になった。戦いの現場は、より確実に相手に致命的なダメージを与える方法=飛行機による攻撃 の時代を迎えたのである。

 さてその飛行機というものは、元々陸上基地から発進し、また着陸するのが当たり前だったのだが、海の上に移動飛行場を作れば、洋上から敵に肉薄して爆弾や魚雷による攻撃ができる、という考えから生まれたのが 空母=航空母艦だ。空母は飛行機を搭載し 洋上の敵艦艇を叩く。滑走路を載せた船なので、中央部の舷側にある小さな建造物(艦橋。司令塔やレーダー設備などがある艦の中枢部分)を除き、甲板は真っ平であり他の艦種とはすぐに見分けがつく。

 戦艦の主砲や副砲、巡洋艦・駆逐艦・潜水艦から放たれる魚雷、そして空母から発艦した飛行機からの爆弾や魚雷。これらを複合した作戦部隊が戦隊・艦隊となる。戦いにおいては作戦や指示系統が必要なので、当然そこには司令官や兵がいる。

 また作戦を実行するには給油や食料などの補給も必要である。日本軍は伝統的に、ボクシングに例えるなら相手に対する顔面へのハードパンチこそ重要だとして補給や兵站などの後方支援部隊を軽視してきた歴史がある。それらは一見地味ながら、ボディブローのようにじわじわ効いていて、気づいた時には足にきていて自由に動けなくなってしまうものだ。世紀の大失策であるインパール作戦などはその典型である。

 複数の艦隊が合わさり、連合艦隊が編成される。旧海軍において、特に実際に戦いの最中では 実戦部隊の最高指導者である連合艦隊司令長官は、最も脚光のあたるポジションだ。国を背負い全国民の期待を一身に受ける。有名な山本五十六中将は、大東亜戦争開戦時の連合艦隊司令長官だった(テーマ画像参照)。アメリカとの開戦に大反対だったこの名提督が、その意志とは全く反対の仕事をしなければならなかった歴史は皮肉としか言いようがない。

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