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ラーゲリより愛を込めて

 標題の映画を観た感想について。『硫黄島からの手紙』での元嵐の二宮くんは『本当は戦争になんか行きたくなくって、何がなんでも生きて帰りたい!』と思いながらイヤイヤ戦場に行かされる役がホント上手かった。この『ラーゲリから愛を込めて』においても、祖国に帰れる日を絶望せず待ち続けている間に、無念にも病に倒れてしまった役がめちゃくちゃ上手いなぁと思った。脇を固める桐谷健太さん、松坂桃李さん、そして二宮くんの奥さん役である北川景子さんも迫真の演技だった。彼女はあんなに感情豊かなお芝居ができたんだ、と映画館で感心した。

 さてここからはこの時代に対する所感である。ひろゆきさん風に『あなたの感想ですよね?』と聞かれれば、その通り。はい 個人の感想です。

 時は1945年。今から80年近く前、もはや英米との戦争において、刀折れ矢尽きて末期状態だった我が国に対し、ソ連は日ソ中立条約を破り宣戦布告した。しかしこのことは連合国側首脳によるヤルタでの会談により、あらかじめ密かに取り交わされていた約束だったらしい。まさしく世の中を我が物顔で動かそうとしている、老獪な大国首脳たちのドス黒い思惑が見える話ではないか。

 対日参戦によってソ連は満州や樺太から日本人を捕虜として根こそぎ捕えて厳寒のシベリアに送り込み、満足に食事も与えないような劣悪な環境下で厳しい使役にあたらせた。戦争は終わっているにもかかわらず、10年以上の年月に及んだこの非人道的な抑留の間、6万人に及ぶ我々の同胞が再び祖国を見ることなく、無念にも凍てつく大地に葬られた。この映画は祖国に妻子を残したまま凍土に倒れた1人の兵隊に光を当てたものだが、冒頭には『事実に基づき制作された』との記載があった。

 我が国は、原爆の投下やこのシベリア抑留に関しても、どこかの国みたいに補償や賠償だといって、有る事無い事おり混ぜて大騒ぎすることもしないが、この2つについては私は加害国からちゃんとした謝罪はしてもらっていないと思っている。なんちゃってみたいな『ゴメンねー』はあったかもしれないが、あれを謝罪とするのか。私は被爆二世であり、それなりの知識も持っているつもりだが、いろんな事情や背景を天秤にかけたとしても全く釣り合っていないと感じる(ちなみに二宮和也さんは原爆投下前後の長崎を描いた『母と暮らせば』でも主演をされていた。私は映画館で涙が止まらなかった)。
 戦争は残酷で理不尽なものだろう。しかし、開発中の二種類(ウラン・プルトニウム)の原子爆弾を1発ずつ2都市に落として殺傷能力や破壊力を人体実験した事実と、労働力不足を補うために奴隷狩りを行い、抑留した上で長年に渡り強制労働をさせた事実は許せないし、心から悔しい。

 私は個人的には抑留の加害者である彼の国は信用できないと思っている。北方領土はきっと永遠に日本には還ってはこないし、一度手に入れたものを彼らが返すわけがない。何が返還交渉だ。相手を見てものを言えと私は思う。その意味では『戦争をしないと取り返せない』と元国後島民に発言したことで結果的にクビになった、丸山穂高元衆院議員の言葉も暴論というよりむしろ正論である。もちろん日本は戦争ができない国だし、戦さを仕掛けたところで相手にはならんだろうが。ウクライナとの戦闘においても、きっと例の大国は自国の過ちや暴挙は認めないし、他者に折れることなどないだろう。

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