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自分の人生(後半生)の解像度を上げてみる 1/2

30年後の社会や市場を予想することは、かなり難しい作業ですが、
人生の後半戦、自分の30年後はそれに比べれば容易に予測できます。


人生フレーム

まず、「寿命」という人生フレームです。
自分の寿命は誰にもわかりませんが、平均的なデータとして示すことが可能です。
前回寿命には6つの指標があることを示しましたが、自分の寿命は「平均寿命」でなく、あと何年生きるかを示す「平均余命」でみるべきです。

60歳の女性であれば、平均余命(2020年)29.5年を足し合わせると女性89.5年、平均寿命より女性は1.7年長く生きます。同様に、男性は男性84.2年で、平均寿命より2.6年長い。

他にも寿命を表す指標には「寿命中位数」(女性90.5年、男性84.6 年)と、「死亡年齢の最頻値」(女性92歳、男性88歳)があり、さらに寿命は長くなります。
このなかで、自分の寿命を想像します。どの指標が自分の感覚にあうか、その指標を超えるか否かです。

図 人生フレーム

健康ライン

次の関心事は、自分は何歳まで健康なのか? という健康ラインです。
それには、よく知られた「健康寿命」を用います。
「健康寿命」は「健康か・否か」という視点で寿命を決めていて、調査上での健康の定義も「完全な健康」「生活にまったく制限なし」とかなり厳密な定義を設けています。
日本人の健康寿命(2020年)は、女性 75.4歳、男性 72.7歳です。控えめに平均寿命と比較しても、女性12.1年、男性8.7年という大きな開きがあります。
健康寿命が尽きてから亡くなるまでの約10年間、不健康で過ごさなければと考えると、老後が憂鬱になります。

自立ライン

そこで、「自立寿命」という指標が提案されました。
「健康寿命」が「健康か・否か」に注目したのに対して、「自立寿命」は「他人の世話にならない」という視点で計ります。自分は何歳まで自立できるのか? という人生における自立ラインです。

具体的には「要介護2」までを自立寿命としています。『還暦後の40年』(長澤光太郎編)では、自立寿命が尽きて亡くなるまでの期間を男性1.5年、女性3.3年と計算しています(多少、誤差があります)。

自立寿命が尽きて寿命までの期間がそれほど短ければ、老後が憂鬱になることもなく、長寿も捨てたものではないといえます。

図 健康ライン/自立ライン

「老い」 の解像度を上げよう

ここで重要なのは「老い方」です。
老いは一気に進むのではなく徐々に進みます。自分の人生を想像するとき、老いとともに日常生活にどんな支障が生じるか、その変化を頭にいれておく必要があります。

「自立寿命」は、健康を失っても日常生活を自立して過ごせる期間が長いことに注目し、「要介護度」を用いて要介護2と要介護3の間に自立の線引きをしました。
「要介護度」とは、介護保険サービスを利用するために設けられた判定基準で、7段階で設定されています。

その中で、重い方から4番目にあたる「要介護2」は、自力での立ち上がりや歩行が困難で、部分的な介護が必要な状態。
それが「要介護3」になると、ほぼ全面的な介護が必要になります。

図 要介護度別状態像
備考)戸田市資料をもとに作成

次回(2/2)は、「老い」の解像度をあげ、より詳しく年齢ごとの要介護度をみていきたいと思います。
特に、男性と女性との性差が大きく開くことがわかってきます。

(丸田一葉)

参考)
・「完全生命表」「簡易生命表」「簡易生命表の概要」厚生労働省
・「人口動態統計」厚生労働省
・「健康寿命の令和元年値について」厚生労働省
・「還暦後の40年: データで読み解く、ほんとうの「これから」」長澤 光太郎

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