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同窓会と時間

週末、中学校の同窓会があり、参加してきました。
参加率はおよそ4割、顔と名前が一致する人が半分くらい。
朝まで騒いで帰りましたが、宴のあとの寂しさが残ります。


自分の過去を書き換える

数ある集まりの中で、なぜ同窓会が特別なのか。
一つは、自分の過去に触れ、場合によっては過去を書き換えるからです。

我々は常に自分の記憶を組み換えながら、現在の自分を再確認しています。
今回も恩師や昔の友人と話していると、自分がどう見られていたか、別の友人をどう見ていたか、いくつか発見がありました。

中でも、当時接点がなかったある女性との会話は新鮮でした。語学を追求するその後の人生が興味深いこともありますが、彼女が見ていた学校の景色は私と異なり、中学校時代のイメージを塗り替えます。

自分の可能性を確認できる

もう一つは、自分の可能性を確認できるからです。
同窓生は、同じ地域で生まれ育ち、同じ時代を生きています。私の中学校はやや特殊で、親の境遇も似通っています。

彼らは、自分が歩めなかった別の人生を歩んでいる分身(鏡)のように思えてなりません。
当然、現在の立場や生活に違いはあるのですが、会えば例外なく昔の関係が蘇り、空白の時間が埋ります。
そして関係は対等です。自分を脚色してもすぐバレるし、彼らが自ら語る人生は心に沁み入ります。

ある友人は、若い頃、親の事業を継ぐ決心をしましたが、そんな矢先に全国ニュースになるような不慮の大事故を起こします。
恐る恐る当時の様子を聞いてみると、被害者や関係者への対応を通じて、事業を止めるのではなく、続ける道を選んだと淡々と語ります。どれだけの困難があったのか、聴くしかありません。

宴のあと

彼らと会うと自分を振り返り、起こりえた別の選択肢と出会います。
そして、自分の人生が立体的になります。

どんな集まりにも収穫がありますが、同窓会は格別です。
ただ、同窓会は、やはり過去を振り返って糺す機会。
今日からは、遠慮なく忙しい日常が始まります。

(丸田一葉)


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