社員に株を付与!?丸井グループの「譲渡制限付株式付与」社員の反応は?
2022年3月期決算発表日の5月12日、丸井グループ社員にとあるニュースが届きました。タイトルは「当社グループ社員への譲渡制限付株式付与制度の導入に関するお知らせ」。それは、丸井グループの株、一人当たり150株が、2023年2月に社員に配られるというものでした。
「社員株式付与」とは何なのか?それを受けて、社員からはどんな声が上がっているのか?についてお伝えします!
丸井グループの"譲渡制限付株式付与"
2023年2月、丸井グループの社員に、一人当たり150株の株式が付与されることが決まりました。今回付与される株式には、譲渡制限期間(売買不可期間)が定められ、交付後5年間は売却不可となっています。
ステークホルダー経営・人的資本投資の一環として
丸井グループでは、株主・投資家、お客さま、お取引先さま、将来世代、地域・社会、そして社員をあわせた6つのステークホルダーのしあわせの調和・拡大をめざす、「ステークホルダー経営」を行っています。加えて、2022年5月に行われた決算説明会でもお伝えしているように、「お客さまのお役に立つために進化し続ける 人の成長=企業の成長」という経営理念に基づき、丸井グループでは企業文化と人の成長が一体となった「人的資本投資」を拡大させていくことを掲げています。
今回の制度の導入も「人的資本投資」の一環と位置づけ、社員が株主‧投資家の皆さまと同じ視点を持つことによる株主意識の醸成や、丸井グループの株式の長期的な株価向上による経済的な利益享受で共に豊かさを実現するなど、利害関係を一致させることで、「ステークホルダー経営」のさらなる推進と持続的な企業価値の向上につながると考えています。
長期での保有を目的とし、譲渡制限期間を設けたほか、単元株以上の株数を付与することで、実際に社員一人ひとりが株主として議決権を行使できるようになることから、付与株式数は150株となりました。
株式付与にあたって、社員のリアルな気持ちは?
アンケート・共有会での声
株式付与に先駆け、社員へ向けてアンケートを実施しました。「モチベーションアップにつながる」などのポジティブな意見も上がった一方で、ニュートラル、ネガティブといった率直な意見もありました。また、IR部・経営企画部・総務部が一体となり、株式付与・持株会についてあわせて説明する社員共有会も、店舗などをまわって行っています。
アンケート・共有会で上がった社員のリアルな声を一部ご紹介します。
社員株主プロジェクトの立ち上がり
また、昨年12月からは、さまざまな部署に所属する社員30名が手挙げで集まり、全社員が株主意識を持つための具体的な提案や実践を行う「社員株主プロジェクト」として活動をスタートさせています。参加メンバーの3名にインタビューしました!
―プロジェクトに参加しようと思ったきっかけは?
島野:丸井グループの取り組みは多くの投資家の方から高い評価を得ていますが、それが社員に伝わり切っていないように感じます。このプロジェクトを通じて、会社と社員、お互いの理解を深めることができればと思い、応募しました。
出田:社員持株会の制度はすでにありましたが、株式付与は、より直接的に株価を意識するようになるおもしろい仕組みだな、と思いました。一方で、まだまだ私自身知らないことが多く、同じように感じている社員と一緒に学ぶ場をつくりたいと思っています!
遠山:私は、学生時代に株式投資に時間を費やしていたので、メンバー公募を見て「これなら自分のやってきたことで会社の力になれる」と思い参加を決めました。
―社員株式付与の知らせを受けて、どう思いましたか?まわりの方の声はどうですか?
島野:正直、まわりには、知識不足などから困惑している方や興味がない方も多いです。実際に売買できるのが5年後なため、まだ実感がないのが本音かもしれません。会社の想いを活かすためにも、会社やプロジェクトで勉強会を開催するべきなのはもちろんですが、個人的には、まずできることとして、エポスのポイント投資体験をスタッフの中で広め、その変動を日々の会話の中に上げるなどの普及を始めています。
出田:決算発表の株主さまの反応が気になるようになりました。恥ずかしながら今までは、財務部の一員として財務諸表を作成したあとは、「その後株主さまがそれをどう見ているのか」までは意識できていませんでした。ですが、株式付与のお知らせをきっかけに、株主の方がどのような視点で企業を見ているのか、丸井グループのことをどうとらえているのかを知りたいと思うようになりました。
遠山:昨年、社外取締役として丸井グループに中神さんを迎え入れた時から、会社として、社員株主を増やし、社員が業績に積極的に関心を持つことでさらなる企業価値向上をめざすのだろうと考えていました。
そんな中で株式付与のお知らせを見て、会社としての本気を感じ、覚悟を持って社員への投資を行う中で、その期待に応えねばと背筋の伸びる思いでした。
―今後、プロジェクトを通して実現したいことは?
島野:社員にもっと会社のことを好きになってもらうこと、丸井グループで働いていることを誇りに思ってもらうことが目標です。会社と社員が、同じ景色を共有して、同じ目標を持つ仲間となれば、自社の取り組みに誇りを持てるのではないかと考えています。
そのためには、会社と社員、お互いの理解をより深めることが必要です。今回、私たちは社員だけでなく株主という立場にもなるので、株主総会において、社員の想いを会社側に伝えていきたいと思ってます。
出田:社員一人ひとりが「目の前の仕事と株価が連動している」「企業価値向上の一端を担っている」という感覚を持てるようになると良いな、と思っています。
まずは私自身が、株式の仕組み、企業価値の決まり方、三位一体の経営の考え方などをしっかり理解したうえで、わかりやすく発信していきたいです!
遠山:グループの事業が多様化しても、全員が同じくめざすことのできる旗印が「企業価値」だと思うので、「企業価値」という言葉が社内で当たり前のように飛び交う未来を実現したいです。
そのためには株式や社員株主制度への社員全員の理解が不可欠であり、私自身も学びながら、苦手意識のある方にもわかりやすく、知識のある方にも学びがあるような発信、活動ができたらと思っています!
株式付与をきっかけに、企業価値の向上をめざし、社員一人ひとりが株主視点を持ってステークホルダー経営に取り組むことが、これまで以上に重要視されます。
次回は、株式付与から1年経過し、「社員の意識は変わった?」「株主総会への出席数、議決権を行使した人数は?」など、気になるところをお届けします!