昇進まで手挙げ!?主体性を促す手挙げの文化とは?【マルイノホンネ #3】
「手挙げ」の文化をつくりはじめたきっかけ
学びの場だけでなく、ひいては異動や昇進までもが手挙げをし自らの意志でチャレンジすることになっています。なぜ、そのような手挙げの仕組み・文化をつくることになったのでしょうか?
現在の丸井グループの社長である青井さんが社長に就任した2008年ごろは、主要な会議は役職の高い方、それも年配で男性の方が多く参加していました。また、参加するにしても呼ばれたから来ているというような形でやる気も低く、中には居眠りをする方もいたそうです。
これを受けて、会議の場をもっと活性化させるため行きついたのが「手挙げ」という手法です。 このような会議の参加も「手挙げ」にすることで、今では以下の写真のように若手・ベテラン問わずさまざな社員が参加でき、また手挙げで参加することで質疑応答なども活発に行われています。
学び以外にも、昇進や異動、最近ではtsumiki証券のCOOも公募から誕生しています。
https://www.to-mare.com/news/2022/tsumikicoo.html
実際どうなの?手挙げをする社員に聞いてみた!
今回は、なんばマルイの倉内さんとウェルビーイング推進部の大森さんに話を聞いてきました。また、お二人の職場の方にもコメントをいただき、周囲はどのように受け止めているのかお聞きします。
―積極的に参加されていますが、何かきっかけはあったのですか?
以前の職場の上司の一言がきっかけでした。
私はもともとアルバイトとしてマルイの店舗で働いていました。その当時は、アルバイトということもあって、自ら手を挙げて学ぶという意識はなかったです。そんな時、お店のスタッフが見る掲示板に海外派遣セミナーのポスターが貼ってありました。なんとなく見ていると当時のマネジャーが、「応募してみたら?勉強になるよ。」と声をかけてくれました。
最初は「安く海外旅行に行ける!」という単純な気持ちだったのですが、応募文のテーマが「私がつくりたい未来は?」という内容で、あらためて何を学びに海外へ行くのかを考えるきっかけになりました。
その後、選考を通過し海外派遣セミナーに参加することができ、自分と違う職種の社員の方と交流したことで、私の中で仕事へのモチベーションが一気に高まりました。
その後は社内でアルバイトでも応募可能な公募があれば、テーマを勉強し、手を挙げて参加し続けているうちに丸井グループの未来に関して自分なりの考えを持つようになり、もっと自分の可能性を広げられるようになりたいと思い、登用試験を受けて正社員になりました。
―ちなみに、今まで参加して一番おもしろかったものはなんですか?
社外の方と合同で行う入山塾のワークショップはおもしろかったです。
初対面で異業種の社外の方と研究をする作業は本当に大変でしたが、今振り返ると丸井グループという世界を出て、社外の方から刺激を得た貴重な経験でした。 その時のメンバーとは今でも食事をしたりして交流を続けています。社外の仲間ができるきっかけになり、思い切って手を挙げて良かったです。
―学びの場に参加して、ご自身の中で変化などありましたか?
学びの場に参加しているといろいろな方と出会えるので、自分以外の考え方に刺激を受けながら自身の考えも深まっていきます。そしてその積み重ねが自分の価値観につながり、新しい取り組みや日々の仕事にも前向きに考えることができるようになりました。
最近は学び以外にもさまざまな活動の場に参加するようにしていて、お店での「ヘラルボニーのPOP UPショップ」の公募があった時も迷わず手を挙げて参加しました。
また、関西に赴任したことで以前よりリモートでの学びが多くなりましたが、遠隔でのコミュニケーションが以前よりうまくなったことも最近の変化だと感じています。
【上司の松村 孝雄さんからコメント】
―さまざまな学びに参加されていますが、何かきっかけはあったのですか?
だいぶ前になりますが、昇格試験での勉強を通じて、学ぶことのおもしろさに気がつき、もっとビジネスや人生に役に立つことを学びたいと思うようになりました。それまでも、インバウンド需要が高まった時に中国語検定を取得していたのですが、より根本的に、自分の人生の大半を占めるようなビジネスの定石を手に入れたいと思い、MBAの取得を考え始めました。
しかし、まだ自信がなくて躊躇していた時に、会社でビジネススクールのグロービスに社員を派遣する取り組みがスタートしました。これはチャンスだと勇気が出て、クリティカルシンキングコースに参加しました。この時の経験が自信につながり、その後3年間通った経営大学院でMBAを取得し、現在までのさまざまな活動につながっていると思います。
―参加した学びからさらに関心を広げ、次の学びにつなげていっている印象を受けますが、今まで参加して一番おもしろかったものはなんですか?
社内で取り組んでいるソーシャル・イントラプレナーを促進するイニシアティブです。昨年から継続して参加しています。
翻訳、出版、日本初ソーシャル・イントラプレナー・フォーラムの企画主催といった人生初の経験や、丸井グループの社長である青井さんや社外取締役のピーターさんをはじめ、役員の方への相談や対話の場を通じて、とても刺激を受けています。
難解な英文の翻訳に何度もスパークしたり、トラブル多発に大汗をかいているのですが、「ソーシャル・イントラプレナー」の輩出に向けた取り組みを推進していくことは、社内起業家への道程にもやもやしていた私にとって、まさに打ってつけのテーマでしたので、その分野に深くかかわれること自体にやりがいを感じています。
―学びの場に参加して、ご自身の中で変化などありましたか?
いろいろな学びを通じて、自分自身の興味関心の幅も広げたからこそ、自分は何を最もやりたいのか、何ができるのかなどを俯瞰し、自己選択できるようになってきました。
それと同時に、もともと身に付けたいと思っていたビジネスで成果を出すための企画や提案を考え抜くことや、推進力・ファシリテーション力などが以前に比べて体に馴染んできたのではと感じています。
【同僚の関口 明央さんからコメント】
倉内さん、大森さんお二人とも学びを通じて、自分自身のやりがいのあることを見つけ出しているんだなということを感じました。ただ単に手を上げて学ぶということではなく、学びを通じてキャリア形成をしていくことにつながるのだとあらためて感じました。
人事担当者に聞く!手挙げの文化を醸成するキモ!
- 学びの場全体に手挙げの仕組みを広げていったのはどういったねらいがあったのでしょうか?
一人ひとりの主体性を促すことで、スピードを持って価値創造できる人材へ成長してもらいたいという目的で、学びメニューにも手挙げを採用しています。 必須参加の学びではどうしても「やらされ感」や「受身の姿勢」での参加となり、成長スピードが鈍化してしまいます。一方で、自分から興味を持って応募し参加する方は、より主体的に意欲的に参加するため、成長スピードが加速します。このような行動が、学びだけでなく業務においても主体的に行動できる人材につながると考えています。
- 手挙げをスタートしたことで会社はどのように変わっていっていると思いますか?
社員の自発的な行動が増えたと感じます。先日、過去の入山塾の参加者メンバーが、今後手挙げをする人に向けて、入山塾に関する質問会や特集記事を社内のイントラネットにアップし、身近な人に自身の経験を伝えてくれたりしたことで、次の公募時にも多くの方に手挙げしていただきました。ほかの学びメニューにおいても、そういった実体験をもとにした口コミが広がることで、また次の参加者が増えるようになっています。
今では学びのメニューだけでなく、各事業会社から「この事業に賛同して活動サポートしてくれるメンバーを募集します!」といった手挙げ募集がたくさん出るようになり、「自ら主体的に参加する」という考え方が浸透していることを実感しています。そういったチャンスの場が広がっていることがうれしいですね。
また、派遣しているビジネススクールの事務局の方から「丸井グループから参加される方は皆さん意欲が高く、他企業からの参加者の士気アップに貢献している」と言われています。そういった姿を見て、他社の方からも「丸井グループの手挙げの取り組みを真似したい」という声も多くいただいています。
- 学びのメニューを考える時に意識していることや社員への伝え方で工夫していることはありますか?
メニューを検討する際には、世の中や会社の方向性に合わせて「今私たちに求められているスキルは何か?」「社員の皆さんが困っている/身に付けたいと思っているスキルは何か?」といったことを意識しています。直近で導入したDX研修もその一つです。
告知の際には、社員のチャレンジするきっかけを後押しできるような案内を意識しています。社員の皆さんに「おもしろそう!」と興味を持ってもらえるようにマンガ形式の告知を作成したり、参加するうえでの不安や不明点を解消できるよう公募のWebページを自分たちで作成し、わかりやすい情報提供を心掛けたりと、さまざまな工夫を凝らしています!
- この手挙げの仕組みを続けるうえでの課題や今後に向けて考えていることがあれば教えてください!
今後も一人でも多くの社員が主体的に手を挙げて行動できるようになってほしいと思っています。その為に、「社員一人ひとりがいつでも学び続けられる環境」をつくっていきたいです。 コロナ禍をきっかけにオンラインで参加できるメニューを導入したのですが、より多様な働き方やライフスタイルに合わせて参加でき、社員の皆さんのめざす「ありたい姿」につながるような、さまざまな学習の選択肢を用意できればと考えています。
また、一度手を挙げて参加したから終わりではなく、継続的に学び、自身や業務に活かせるような仕組みをつくっていくことが、次の課題です。時代の変化に応じて新たな価値を生み出していくために、社員一人ひとりの成長から、企業としての持続的な成長につながるよう、これからも取り組んでいきたいと思います。
※この記事は、丸井グループオウンドメディア「この指とーまれ!」の連載記事として2023年2月に公開されたものです。