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養豚家の私がお肉を売る理由〜前編〜

皆さんこんにちは。
長崎にある上野養豚の養豚家でもあり、
月に一度はまるごとんで肉を愛でてお届けする肉屋でもある
ウエノ嫁でございます。

今日はどうして直販をやり出したのか?というお話をしたいと思います。
ちょっと長くなるけど付いてきてー!


最優先は現場!

皆さん農家が直接販売することについてどう思いますか?
直販、六次化、自社ブランド、、、
なんか良さそう、誠実そうなイメージありませんか?
多分これは既存のシステムやルートに対する不満?不信感も影響しているのかなと思うのですが実際の生産者の現状、心境に全マッチするかと言えば
違うと思うんですよね。そもそも全マッチなんて有り得ないけれども。

実際ウエノがどう思っていたかと言うと・・・
「餅は餅屋」でした。
私たちは豚に赤ちゃんを産ませてそれを全力で育て上げる、
出荷したらプロが衛生的かつ素早くお肉の形にしてくれる。
卸業者がそれを無駄なく売り切る、お届けしてくれる。
飲食店や精肉店が食べる人にお届けしてくれる。
先人達が作り上げて来てくれた既存のシステムには感謝しかないのです。
出荷したら売れるってすごくありがたいこと。
手間ひまも誰かが請け負ってくれていたり、
逆に今自分で販売し出して大変さを痛感するほどに、
感謝しかないんです。本当ありがたや。

それぞれにプロがいて、それぞれに専門の技術があり、
無駄にしないためにベストを尽くしている訳で
自分たちの専門「養豚」という所で全力を尽くすのが私たちの仕事だし
一番利益も出せると思っていました。今でもそう思ってる。
素人が簡単に手を出していい事じゃないし、
他の世界に手を出す事で本業である現場が疎かになっちゃう。
「現場最優先!」
豚あってこその我が家。
ほんのりと自分達の育てたお肉を販売してみたい気持ちはありつつも
養豚をちゃんとせにゃあかん!と過ごしてきました。


ちなみに私の担当は分娩舎と子豚舎

声をかけ続けてくれた人

さて先ほどほんのり自社販売したい気持ちがあったと書きましたが、
なんで?
どうして自分の豚肉の販売場所が欲しかったの?

理由があるんです。
上野家は豚肉は自農場の豚肉を食べています。
出荷して少し買い戻して自家消費用にしていました。
頼まれれば両親がお友達の分も買い戻したり。

そうすると食べた人達から
「美味しかった!」
「また食べたい!!」
「どこに売っているの?」
と聞かれるんです。

私達息子夫婦が農場に就農して世代交代を迎えていた上野養豚。
美味しい豚肉はすでにあった。
美味しい豚肉を作り上げてくれていたのはお父さんとお母さん。
私たちじゃない。

お父さんとお母さんが作り上げてくれた成果が、
その年月の結果を直接見せられる形にしたいな。
そんな風に考えるようになりました。

まーなんて良い子ちゃんな発言と自分でも思うんだけど、
本当にそう思ったのよね。
私がお嫁に来た時に上野養豚のお肉を食べて驚いたの。
うまっ!って。
嫁入り前の職場の養豚場も愛していたから嫉妬して悔しくなる位。

そんな豚肉を作り上げて、やり続けてくれた先輩養豚家の両親には
リスペクトを捧げている。
私はもちろん、息子である旦那さんもそうなんだよね。

そんな原体験も持ちつつも現実的では無くて
まだまだ農場で頑張らんばよ!って何年も過ごしていた。

そんな中、声を掛け続けてくれた人がいたんです。
大村で居酒屋をしている「肴や」さん。
実は保育園のパパ友でもあるし、
休日公園で出くわしたらいつもうちの子肩車してくれたり、
奥様はうちの旦那さんと顔見知りだったりご縁もあるのだけど
「上野さんがお肉販売したら絶対買うから!」
って本当にずっとずっと言い続けてくれた人なんです。

肴やさんが声を掛け続けてくれて数年。
農場最優先にしながらでもできる形模索してやってみよう!
とスタートしたのが今の卸の原形、
「山のウエノ豚山分けし隊」なのです。

うちは卸さんみたいに肩ロースだけ10本!
みたいなことはできなくて
(正確にはそれをすると価格が跳ね上がって使えない。)
1頭分のお肉っていう単位のお商売しかできず
なんと60kg!
普通の飲食店さんなら難しい形を
「やってみよ!」
って言ってくれたのももちろん肴やさん。
そして一緒にのっかって「やろうやろう!」と言ってくれた
仲間が同じ三浦地区のまたまたパパ友のプリモピアットアッカさん。

このお二方無くして今の販売は無かったのです。
頭上がらないし、この先それぞれの事情でお肉の取り扱いは無くなっても
ずーっと大切なご縁だと思っています。
もちろん使い続けてもらえるように精進しますぜ!

飲食店さんに連れて行ってもらった次の世界

肴やさん、アッカさんがお店で山のウエノ豚を使いだしてくれて
嬉しい初体験をたくさんさせてもらいました。

我が家の豚肉が次から次へと美味しい料理になる様子
私達では届けられなかったお客様からいただくお声
さらなるお店への広がり
普通のお肉販売とは違う形なのにやってみよ!と乗っかてくれるお店が
少しずつ増えてとても嬉しかったな。エンメさんも初期から使ってくれてすごい思い入れがあったりします。
(そのうち飲食店さんの話も書きたいな。)

そして更なる一歩を

そうやって少しづつ飲食店さんで取り扱っていただけるようになったら
改たな課題が。
飲食店で山のウエノ豚を召し上がってくださったお客様からこんなお声が

「どこで買えるの?」

あーありがたや。
そんな風に思ってもらえるなんて。
よっしゃ!
取り扱ってくれるお肉屋さんを探すぞー!

この頃、私はお肉の販路を広げかつ自分の素敵なお店に行きたい欲も満たし、このお店に置いてほしい!と思える先を探すべく
休日は子連れで色んな気になるお店を巡っていました。

そんな中で訪れたのが「野中精肉店」さん。
リニューアルしたての素敵な建物。
美しいショーケース。
めちゃくちゃ美味しい揚げ物。

「あの実は私養豚をしていまして…」
とど直球に声をかけ、
すぐに興味を持って話を聞いてくださったのが野中さんなのです。
野中さんのお肉にかける情熱はすごくて、
ご家族が働いている姿もほんわか。
こんなお店にうちのお肉を置いてもらえたら!!
と猛アピール。

精肉店にとって各部位に限りがある1頭という単位のみの販売は
相当リスクが大きいと思います。
それでも野中さんの売り切る力と商品設計力、新しいことにチャレンジする
スタイルで山のウエノ豚を取り扱ってくださっています。
野中さんにも頭上がらないの。本当ありがたいよね。

踏み出せば次の課題がやってくる

さー山のウエノ豚、
飲食店に精肉店でも取り扱い始まったじゃん。
あれ?でもまだまるごとんに行きついてなくない?
と思ったあなた!
鋭い!!
まるごとんが始まる前に一山あるんです。
そしてその一山が私の中の部位愛を破裂させたのだーーー!!!

お気づきですか。
今回の記事ではウエノ嫁、めっちゃ、まともなの。
良い事考えてるし、ある意味普通。
まだ部位愛スパークしてないの。
私の本質、今のまるごとん、山のウエノ豚になった話は・・・
後半に続く!!


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