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孤狼の血、を観た!

制作:2018
監督:白石和彌
撮影:灰原隆裕
出演:役所広司 松坂桃季 真木よう子 石橋蓮司 江口洋介 ピエール瀧

■あらすじと感想
思いっきり乱暴に書くなら、昭和の広島での警察とやくざ抗争、そして警察内部の汚染。超法規的な取り締まりをする老練刑事と正義感の塊のような新米の刑事の関係。取り締まりで「安定する」やくざ社会と警察との関係を描きながら正義とは何か?秩序とは何か?を観る人に問いかける、という感じでしょうか。

■“やくざ映画”や“警察とやくざの関係の映画”の感想を書くには非常に難しい。観る側である私は、“正義”という普遍的で正解のないテーマが頭の中に渦巻きながら、やくざという任侠の世界という社会から隔絶した世界で語られる「正しさ」も頭の中の渦巻きに巻き込まれる。解釈不能な事象に関しては物語に流された上でそれを受け入れ、その結果として心にうずうずしたものが残ってしまう。
一般に語られる「任侠道」というものがこの世にあるのか?“仁義なき戦い”で任侠やくざから経済やくざへの変貌が語られた。その後、経済界や政治や警察が都合の良い時だけ絡むという描かれ方や“生い立ち”“金”“男女”など、レベルの差やテーマの違いはあるが、最終的には、正義とは?倫理とは?を問いかけられ考え込んでしまい、清々しさの欠片もないのだ。

弧狼の血3

■役所広司も松坂桃季もピエール瀧など素晴らしい役を演じ、悪い奴・いい奴・悩み多い奴、などを見事に演じている。特に松坂桃李の役柄になりきった心の変遷の表現は素晴らしいと感じた。この映画では“人の老練さ”を描く事が非常に重要な要素だが、役所広司と松坂桃李の配役が逆でも面白く仕上がったような気がする。そのぐらい、松坂桃李は素晴らしい役者だと感じました。個人的に残念なのが2点。真木よう子ってこんなに下手だっけ?という事と石橋蓮司が金子信夫になれなかった事かな。二人ともカッコよすぎるのが良くないのかな?

■感動したカットは、カキの養殖場でしょうか、ピエール瀧と松坂桃李のロングのカット。波に揺れている映像が私の心にある正義や倫理感の揺れとシンクロしてしまったからだろうか。ではでは。

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