見出し画像

【バトン連載】縁をつなぐレシピ vol.1 (前編)|2023年4月号|「ひならん」という名のスープ|文:おばんざいbar ひならん」店主 松田和也


このコーナーについて

このコーナーは、人から人へ記事をバトンのように渡してもらう「バトン連載」。石垣の飲食関係コミュニティーの方々による「縁をつなぐレシピ」です。(月刊まーる編集部)

はじめまして


「おばんざいbar ひならん」店主の松田和也です。実は今月、2023年4月30日をもって、ひならんは店仕舞いすることになりました。にもかかわらず今回、「バトン連載:縁をつなぐレシピ」の一本目を僕が担当することになりました。なのでこれは、僕の石垣への置き手紙と思っていただければ幸いです。

「ひならん」とフィリピンから石垣へ移住した話

さて、まず店名にもなっている「ひならん」の意味から。ひならんとはフィリピンダバオ市の郷土料理の名前。牛の色んな部位を使ったピリ辛スープ。フィリピンには色んな言語があるんですが、僕が住んでいたフィリピンのダバオはビサヤ語という言葉でした。ビサヤ語では「辛い」を「halang」と言います。これをもじって、辛いスープのことを「Hinalang:ヒナラン」と呼ぶようになったそうです。


「ひならん」


僕は、石垣移住前は、フィリピンのダバオ市に16年間住んでいました。ダバオでは食品の製造貿易の会社で役員をやっており、主な業務は商品開発と営業でした。石垣島に移住するキッカケになったのは、ダバオ時代からの友人の縁です。移住した当初は16年ぶりの日本で、僕自身何をやろうか?何が出来るんや?という感じでした。でもやはり20歳の頃からずっと「食」に携わる仕事しかしてこなかったので、友人に相談しながら飲食店を始めようと決めました。

そして、石垣に移住することのキッカケをくれた友人がこのスープが大好きだったので、日本で唯一、ダバオ市の郷土料理「ひならん」を食べれる店を始めようと思いました。店名もそのまま「ひならん」にしました。そしてお店のコンセプトとして、提供する料理は全て添加物不使用で、食材も出来るだけ島の食材を使おうと決めました。

しかしほとんど石垣と繋がりのない僕は、どこでお店をやろうかと途方にくれながら、島を自転車でぐるぐると走り回る日々。そんな時、またまたその友人からの縁で、「スミオのKiiyamaドミトリー」のレストランスペースを貸してもらえることになりました。これが「ひならん」の始まりです。

イベント出店の時は緑のタイツがトレードマーク

後半へ続く→→→

ーーー

この記事を書いた人


松田和也(料理人/おばんざいBarひならん店主)
1976年生まれ。1990年代は創作料理屋の店主として活躍。2004年からフィリピンに移住し現地日系企業にてフルーツ生産輸出事業に関わる。2008年に同社副社長に就任。2020年に退職し石垣に移住。
<このコーナーの他の記事を読む>

ーーー


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?