太宰治『きりぎりす』読書感想文 なぜコオロギがキリギリスになるのか
太宰治『きりぎりす』は1940年(昭和15年)に『新潮』に発表された短編です。
以前から、この作品では
・最終部分で、なぜコオロギがキリギリスになるのか
について、曖昧にされてきた気がするのですが、今回はこの点に絞って書いてみます。
ネタバレ前提になりますのでご注意ください。
〇太宰治『きりぎりす』のあらすじ主人公は、清貧を愛する妻です。
彼女は裕福な家の出でありながら、19歳の時に「私でなければ、お嫁に行けないような人のところへ行きたい」と思い、その絵に感銘を受けて、売