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政治家タイプと官僚タイプ

民間の営利企業で働いているといろんなタイプの社員がいることに気づく。その中で優秀で仕事ができる人達には政治家タイプと官僚タイプがいるように思う。政治家タイプは、ビジョンを語り人当たりが良くて目立つ成果を上げることにこだわる。その代わり実務とか現状認識が甘かったりする。官僚タイプは、現状に即した現実的な方法で着実に改善を図るけど、変革を起こすようなタイプではない。

不思議だが、バランスの取れたタイプというのはあんまりいない。リーダーに対するニーズも変わる。変化が必要な時にはビッグマウスな政治家が必要だし、安定成長期には官僚タイプがいいだろう。どちらが良いという正解はないのだ。

さて、ところで私はいま政治家系上司の元で働いている。つい先日上司が異動で代わったのだ。前の上司は官僚系。そしてこの変化に驚いており、体と心がついていかない。直属の上司は官僚系のほうがいい。何より現実的なところがいい。政治家は無理を通すのが仕事だと思っている節がある。でも実際にその無理を通す仕事をするのは政治家系上司の下にいる人間になる。政治家は何よりパフォーマンスを重視する。イメージ商売だからだ。だから、意味がないとわかっている事や、実際にもうやってみて意味がなかった事をやらされる。一方、官僚系の上司の目線は割と部下と近い。何をやったら現実的なリソース配分のもとで効果を得られるかという実験をする。

この2タイプは思考の方向が全く逆なのだ。政治家タイプの彼はゴールを決めてから今の行動を逆算する。だから、たびたび現状と折り合わないことがある。官僚タイプの彼は現状の認識を正しくもってから実現可能な将来を探る。だから、現状をわかっていない人たちの過度な期待に沿えない。上司の上司とか役員レベル、もしくは関連のある他部署のリーダーには政治家タイプがいいと思う。つまり自分がよく知らない仕事について、平易な言葉で語り、よりよい未来を示してくれるからだ。信頼感があるし、組織が変わっていく感じがする。でも、自分の直属の上司には官僚系がいいとおもうのは、メンタルヘルスのためだ。政治家の手法は現状を否定し、明るい将来を描くというものだ。つまり、まず今この現状がいかにダメかということを刷り込むところから始まるのだ。こちらとしては、「おいおい、そんなことわかってるし、全力でやってきてたどり着いたところがこれなんだよ」と言いたいところである。部外者がいきなりやってきて考え出す案は大体の場合、やりつくされている。

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