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スコットランド人と出会って5ヶ月後に結婚した話

私が結婚することを伝えた時、友人たちはみな同じリアクションをとった。

少しだけへんな間があり

「-----。へえ、そうなんだ。ふーん」
驚きでもなく、感嘆でもない。みんな、どう答えてよいのか分からない感じ。とりあえず「へえ。そうなんだ。」そして
「おめでとう。よかったね」と付け加えた。

私を理解している数少ない友人たちは口を揃えて言った。

「でも、あなたらしいと思う」

私らしい??

らしさ、というのは実は本人がいちばん理解していないものかもしれない。

この結婚が私らしいなら、この結婚について書こうと思う。

11月23日 私は池袋駅の東口交差点で信号待ちをしていた。交差点の先に、スコットランドの民族衣装であるタータンチェックのスカートを履いた男性がバグハイプで演奏をしているのが、目に留まった。(この男性が今の夫となる人)

信号が青になり、その男性の前を通る。目が合う。
「ハロー」と言い、相手も「ハロー」で返す。

素敵ともカッコいいとも思わなかった。

ふたりで立ち話をしていたら、突然サラリーマンが割り込んできた。

人がたくさん行き交う交差点で私、スコットランド人、サラリーマンの3人が話し始めた。

11月なのにサラリーマンは顔が真っ赤で汗をかいている。
ハンカチで汗を拭きながら彼は言った。

「僕はウィスキーの輸入会社に勤めています。来月は少し大きめの社内パーティがあるから、こちら(スコットランド人)の方にバグパイプの演奏をお願いしたいと思っています。でも僕は英語ができないんです。もしよければ、僕の意向を彼に伝えてもらえないでしょうか?

サラリーマンは私とスコットランド人が知り合いだと勘違いしているらしい。

立ち話もなんだからと、そのサラリーマン行きつけのイングリッシュパブに3人で行くことになった。

そのサラリーマンの会社で演奏することも決まり、ビールを飲みながら、他愛のない話をする3人。

私はだんだん退屈になってきた。もう帰りたいと思った。それから、そのスコットランド人がたどたどしい日本語でサラリーマンに声をかける。

「僕はこれから、映画にいきます、彼女と、時間ありません」

私も帰りたくて、話を合わせた。

「実はそうなんです。これから映画にいきます」

そして、ふたりでチャーリーズエンジェルを観た。

ここまで書くと、なんだかロマンチックな展開になりそうだけど、全然惹かれあっていなかった。

でも、お互い連絡先は交換した。

彼は放浪の旅をしていた自由きままなスコットランド人だった。

いつもタータンチェックのスカートを履いているし、急にバグパイプを演奏しだすし、へんな人だった。

彼が言う

「君は僕に似ている。やっと見つけた。僕みたいなひと」

えーどこが?こんなへんなやつに似てるのか?とちょっと嫌な気分になった。

でも、もしかしたら面白いことになるかもなと思いなおした。

そして、彼が言った。

「5月に僕のお母さんが日本に遊びにきます。ちょうどいいから、合わせてその時に結婚しませんか?」

たぶん、フツーはここでOKしないと思う。でも私はこう思った。

この結婚、全く先が読めない。ジェットコースターみたいでおもしろいかな。

そして出会って5ヶ月後、私たちは結婚式をあげた。

彼の言う通り、私たちは似たもの同士なのかも。お互いよく知らないで結婚しちゃったし。まさしく今もジェットコースターのような人生を過ごしている。



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