休校明けと不登校
GWが明けました。
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言は延長されましたが、一部の地域では学校再開へ向けた動きが出てきました。
このニュースを待ち望んでいた方も多いと思います。友達に会いたい子どもたち、それを見ている保護者の方々。
僕としても、大学の授業がオンラインで再開されるため、学びたいのに学べない状態が一旦落ち着くのはありがたいと感じています。しかし手放しではない。
不登校だったころの事を思い浮かべながら考えると、このニュースに対して心配な面もあるのです。
そこで、その心配な点について紹介しながら、不登校生とその保護者の皆さんにメッセージを送ります。
1.十分休んだはずなのに学校にいけない…
一つ目の心配は、長い休みが終わった後に「リスタート」をできない時のストレスです。
早いところでは2月・3月から、遅いところでも昨年度の授業が終わった3月末から1か月以上は休校が続いてきました。
普段の夏休みが7月下旬から8月末、長くても40日程なので、それに近い(それ以上の場合もたくさん)期間休みが続いたことになります。
夏休み明け、9月1日に子どもの自殺が多いという「9月1日問題」というものが報道されることがありますが、「長期休みが終わることで、学校で受けるストレスが戻ってくる」ことへの恐怖が理由の一つと考えられています。
各種メディアも、毎年8月下旬にこれに関する記事を多く公開しています。
この問題で取り扱うことが多いのは「自殺」ですが、「不登校」も似た部分が多くあります。
「以前から不登校」の人は、『登校しない人』というラベルのストレスが戻ってくる時期ですし、「休みの終わりから不登校」という人もたくさん現れます。
僕の場合、高校一年のときは一週間ほどのGWが明けてから不登校になり、夏休みが明けた後もずっと不登校でした。
当時の僕が想いを書き留めた日記があるのですが、夏休みの終わりの近い頃にこんな記録をしています。
(日記について書いた記事はここをクリック)
8/24 1:40
自分と世間の大きな差を感じる。周りは夏休みから元の生活へと戻っているが、自分はもう5月からずっとバカンス。マズいと思っても何もしない。もう「少し」とは言えない長さ。
「これまでも不登校」でも、「これまでは平気」でも、長い休みの反動が間違いなく大きくなります。
大事なのは、ストレスの原因が学校にある以上、そのストレスが戻ってくるのは当たり前。休みが明けたら辛くなります。
2.分散登校、登校日が減ってもストレスに…?
不登校生の中にも、「毎日行かない」人から「時々は登校する」人まで色々います。
文部科学省では、「連続又は断続的に30日以上欠席した児童生徒」を不登校として調査などを行っています。たまには登校できる人もいますし、保健室など別室登校ならできる人もいます。
学校再開のための方法の一つに「分散登校」が挙げられています。
児童生徒の登校時間を分けることで教室の密度を下げる効果があると思いますが、これもストレスになる可能性があると思います。
分散登校を行うために、子どもたちは登校時間が指定されます。
午前・午後で区切ったり、曜日が指定されたり…。
これによって「学校に縛られる」時間は減りますが、「この時間にしか行けない」というプレッシャーがかかってほしくないと思っています。
「学校にいる時間が短いんだから行けるよね」とか、「今日しかないんだから」とか言われたら絶対嫌だし、言われなくても考えてしまいそうです。
学校に勤められている方の負担が大きくなるのは申し訳ないですが、そういう子どもたちには「いつでも来れるときに来ていいよ」という個別の対応をしてもらえたら嬉しいんじゃないかな、と思います。
3.家に学校が侵入してくる
学校再開のための方法でもう一つ有力なのが「オンライン授業」。
学校に人を集めることが難しいため、学校に行かなくても勉強できるオンラインでの授業はすばらしく理にかなっています。
しかし、どうしても注意してほしいのが、「家と学校は違う」ということ。
家でも学習はできますが、家には家の役割もあるのです。
僕は不登校になったとき、同時に引きこもりでもありました。
家族とも話したくなかったので、自分の部屋にこもり、嫌な情報が入ってこない環境にしていました。
ストレスが入ってくるルートを遮断して過ごしていた訳です。
オンラインで授業を行うことで、家にいても「登校できる」分、それが「できない」ストレスも大きくなります。
家が自分のシェルターだった場合、家にいても学校のことが頭から消えなくなる可能性があるのではないか。
そういった問題に困る子のことをどうか忘れないでいてほしいのです。
不登校と向き合う子どもたち・保護者の皆さんへ
最後に僕からメッセージを載せます。
学校も、この社会の状況に合わせて、様々な方法を使って対応しようとしています。しかし、その対応に急ぐあまり、不登校などの問題まで手が回らない部分があるかと思います。
不登校にも、これまでにはなかったストレスがやってきています。
今は正解がありません。新しい問題なのでこれまでの正解が正しいと証明できていないんです。
ただ、参考にはできます。「学校」との関わりという根元は同じだから。
「学校に行かない権利がある」
この考え方を忘れないでください。学校に行きたいのに行けないのはダメですが、学校に行きたくないのにその学校に無理に行く義務はありません。
子どもは、学校に行く・行かないを選べます。
学校が嫌でも勉強したいなら、学校以外の方法で勉強すればいいんです。
不登校でも大丈夫。
以上です。
ここまで読んでくださりありがとうございました!
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