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普通の人生を過ごせる確率を計算してみた

こんな人生を考えてみましょう。

元気な赤ちゃんとして生まれ、
両親から愛を受けて育ち、
学校ではみんなと仲良くしながら、
卒業後は社会人として働き、
仲良くなった異性と結婚して、
子どもを授かり、
幸せな家庭を築きながら歳をとり、
満足した人生を過ごせたと振り返る…

なんとなく、よくある普通の人生のように思えるかもしれませんが、そんな人生を送ることができるのは果たしてどれだけの幸運なのでしょうか。
今回は、このような人生を送ることのできる確率を求めてみましょう。

算出の方法

先ほどのような人生を過ごすことができる確率を、今回は以下のように分解してみましょう。

よくある普通の人生を過ごせる確率
= 障害がなく生まれる確率
× ひとり親世帯でなく、かつ虐待を受けない確率
× いじめを受けず、かつ不登校にならない確率
× 引きこもりにならない確率
× 結婚する確率
× 子どもを授かる確率
× パートナーと離婚せず、かつ子どもが健やかに育つ確率
× 老後まで死なず、かつ老後に自分の人生を振り返って「満足だった」と言える確率

後はそれぞれの確率を調べればOKです。

それぞれの確率

障害がなく生まれる確率:96.95%

自分が先天性の以上が無く生まれる確率は、以下の記事によると3.05%とのことです。

妊娠年齢にかかわらず、どの年齢の妊娠でも先天性の異常のある赤ちゃんはある程度の確率で生じます。平均すると3.05%と言われています。代表的な先天異常は心奇形、口唇口蓋裂、染色体異常、多指症などです。

まるはし女性応援クリニック『Vol.11 私たち産婦人科医を悩ませる言葉』より

ということで、その逆で障害がなく生まれる確率は96.95%になります。

ひとり親世帯でない確率:98.42%

平成27年における調査では、一般世帯に対して、母子世帯の割合は1.42%, 父子世帯の割合は0.16%となっています。
(東京都福祉保健局『直近の調査に基づくひとり親家庭の現状』より)

ということは、父子世帯でも母子世帯でもない確率は98.42%になります。

虐待を受けない確率:99.63%

令和2年における調査では、日本の一般世帯数は5570万5千世帯であり、また児童相談所による児童虐待相談対応件数は20万5029件でした。
(総務省統計局『令和2年国勢調査』及び厚生労働省『令和3年度全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議資料』より)

ここから、児童虐待を受ける確率は0.37%であり、児童虐待を受けない確率は99.63%と計算できます。

いじめを受けない確率:94.99%

令和4年度における小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校の在学者の合計人数は1243万4千人です。(文部科学省『令和4年度学校基本調査』より)
一方、令和3年度における調査において、上記の学校でのいじめの認知件数の総数は62万2656件でした。(文部科学省『令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』より)

この割合をいじめを受ける確率とするならば、その確率は5.01%であり、反対にいじめを受けない確率は94.99%となります。

不登校にならない確率:97.43%

令和3年度における不登校児童生徒数の割合は、小中学校合わせて2.57%です。(文部科学省『令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』より)

ということで、不登校にならない確率は97.43%となります。

ひきこもりにならない確率:97.96%

令和4年度における、15歳~39歳対象調査におけるひきこもりの割合は2.04%です。
(内閣府『こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)』より)

ここから、ひきこもりにならない確率は97.96%となります。

結婚する確率:77.95%

内閣府『令和4年版 少子化社会対策白書』によれば、2020年、50歳になった時点で一度も結婚をしたことがない人の割合は、男性26.3%, 女性17.8%とのことです。
今回の記事では、結婚しない確率を中間値である22.05%とし、結婚する確率を77.95%とします。

夫婦の間に子供ができる確率:92.3%

国立社会保障・人口問題研究所『第16回出生動向基本調査』によれば、出生過程がほぼ完結した結婚持続期間 15~19 年の夫婦において、子どもがいない割合は7.7%でした。
つまり、1人以上子どもを授かる確率は92.3%となります。

離婚しない確率:63.21%

厚生労働省『令和3年人口動態統計』によれば、婚姻件数は50万1138件である一方、離婚件数は18万4384件であり、この割合を単純に離婚する確率とするならば、その確率は36.79%、つまり離婚しない確率は63.21%となります。

子どもが健やかに育つ確率:87.90%

今回はパートナーとの間に子どもを一人授かったとします。子どもが健やかに育つ確率を、今回は以下のように分解してみましょう。

子供が健やかに育つ確率
= 子どもが障害がなく生まれる確率
× 子どもがいじめを受けず、かつ不登校にならない確率
× 子どもが引きこもりにならない確率

それぞれの要素はすでに調査した確率です。これらを掛け合わせると、子供が健やかに育つ確率は87.90%と算出できます。

老後まで死なない確率:92.0%

今回は老後を65歳以上とします。厚生労働省『令和4年簡易生命表』によれば、令和4年において65歳まで生存する人の割合は男性で89.6%, 女性で94.4%となります。今回は老後まで死なない確率を、この中間の値である92.0%とします。

満足な人生だと振り返ることができる確率:59.0%

PGF生命『人生の満足度に関する調査2020』によれば、60代-70代においてこれまでの人生に満足していると回答した人は、男性で57.5%, 女性で60.5%でした。この中間の値、59.0%を、満足な人生だったと振り返ることができる確率とします。

普通の人生を過ごせる確率は?

以上、普通の人生を構成する各要素について、確率を調査しました。後はこの値を掛け合わせるだけとなります。つまり

よくある普通の人生を過ごせる確率
= 障害がなく生まれる確率(96.95%)
× ひとり親世帯でない確率(98.42%)
× 虐待を受けない確率(99.63%)
× いじめを受けない確率(94.99%)
× 不登校にならない確率(97.43%)
× ひきこもりにならない確率(97.96%)
× 結婚する確率(77.95%)
× 子どもを授かる確率(92.3%)
× 離婚しない確率(63.21%)
× 子どもが健やかに育つ確率(87.90%)
× 老後まで死なない確率(92.0%)
× 満足な人生だった振り返ることができる確率(59.0%)
= 18.7%

ということで、冒頭で述べた、いわゆる「よくある普通の人生を過ごせる確率」を計算すると、18.7%しかないことが分かります。
もしこのような人生を歩んでいたらよほど幸運なことですし、人生でどこか周りと違うようなことが起きても、その方がよほど普通の人生なわけです。

おわりに

以上今回は、いわゆる「よくある普通の人生」を過ごせる確率を計算してみました。かなりざっくりとした計算なので、漏れや確率の独立性を考慮できていないかもしれませんが、ご了承ください。

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