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タイでニューハーフが多い、根本の理由2

「オレ、あの子なら全然イケるっす!」
「マジ、イケるっす!」

タイ・バンコクのマクドナルドで
積極的に逆ナンしてきた元男性たちについて
同席した友人が、連呼していた。

確かに、元男性とは思えないほど
キレイに見えた。

・・・

僕が驚いたのは、性的マイノリティである
彼女達が堂々とアプローチをかけてきた事だ。

日本で同じような(弱いと言われる)立場で
こんなに自信満々でアピールしてくる人はあまりいない。

これまでの世の中で、特に日本では

・多数派=正義
・少数派=悪

とまでは言わないが、それに近い感覚を
多くの場所で感じてきた。

メジャーである事が、社会的に重要であり
マイナーである事は、社会的に潰される危険もあった。

そんな社会(個人的な主観だが)を経験してきたので
マイナーな存在と思える彼女たちの言動に興味を惹かれた。

その疑問と興味は、現地に住む
日本人の友人の言葉で一気に解決した。

・・・

彼は、若い頃にバックパッカーとして
アジアを旅しており、その後
タイを安住の地として30年近く居住している人物だ。

年齢は、たぶん50歳くらい。
僕たちは彼の事を「隊長」と読んだ。

彼が言うには、タイを選んだ理由は

・物価が安い
・治安が良い
・ご飯がおいしい

この3つが大きかったそうだ。

ちなみに彼は、タイで事業を展開していて
悠々自適に生活しているので、日本から知人が来ると
タイを案内したりしてくれている。

僕たちにとっては、タイという国を
ディープに知る機会をくれた恩人だ。

そんな彼に、旅行中に1つの質問をぶつけてみた。

「タイで、ニューハーフが多いのは
 どういう理由からなんですか?」

その答えは、、、

「タイでは元々、性別の概念が
 男性、女性、中性の3つで考えられてたから」

だそうだ。

なんと、タイでは元々、中性というのが
1つの性別として認識されていたのだ。
これには心底、驚かされた。

先進国の多くでは、2015年くらいから
徐々に中性の存在が認められてきた、LGBTなどだ。

しかし、先進国がそうした多様性を受け入れる前から
タイでは当たり前に認められていたのだ。

この文化の懐の広さ、深さはハンパではないなと思った。
さすが「ほほえみの国」と呼ばれるだけはある。

・・・

なぜ、そのような独特の文化が
タイにあったかというと、歴史的背景がある。

「東南アジアで唯一、列強に支配されなかった国」

これがタイ王国という国だ。

現在の日本など、多くの国にある
「正義か、悪か」「男か、女か」などという
白黒どちらかで考える思想の根本はキリスト教にある。
(と言われている)

世界は古くから

・西側諸国、アジア=はっきり、明確
・東側諸国、欧米=境がない、曖昧

そういう風土は、元から存在した。

しかし、近代の侵略戦争でアジアの国々が
列強(西側)諸国に支配された事によって
多くの国が、文化の転換を強制されてきた。

例えば、タイの隣国マレーシアには
今でもイスラム教が色濃く残る地域が広く残る。

これが、良いとかワルいでなく
歴史が残した影響だ。

おそらく、アジアのいくつかの国には
タイのように「中性」的な考え方を持った地域が
いくつかはあったはずだ。

しかし、そうした曖昧な文化は
支配によって、消されてしまった。

日本も、キリスト教的な文化が入った事で
江戸時代や戦国時代には、当たり前に存在した
「男色」などの文化は完全に消え去った。
(信長と蘭丸が筆頭として有名だろうか)

いずれも良いとかワルイでなく
存在していた歴史のある文化だった。

それが存在した事すら、現代では
見えなくなっているのだ。

・・・

タイにニューハーフが多い理由を
突き詰めていくと、歴史や深い文化の話にまで
思想を広げていく事ができる。

僕たちは世界の事を、歴史を
ほとんど何も知らない。

世界の成り立ちを何も知らずに
生きていたのだ。

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