カーボンニュートラルで避けて通れないScope1,2,3。サプライチェーン排出量可視化の話。【Part 2】
前回はサプライチェーンにおける温室効果ガスの排出である、Scope1とScope2の記事を書きました。
今回はScope3について書きます。
まずサプライチェーン排出量のおさらいです。
Scope1とScope2は自分の会社が排出する温室効果ガスでした。
今回記事にするのはScope3。これは自分以外の会社が排出する温室効果ガスということになります。
「自分の会社はもうScope1も2も計算して削減に着手している。なのになんで他の会社の分までウチがやらないといけないんだ?」
こう思う方もいらっしゃると思います。かくいう私もそのひとりでした。
しかしちょっと考えてみてください。
弊社の祖業は印刷会社です。私が所属するのは印刷事業部。この印刷事業において考えてみましょう。
例えば24ページの冊子を作るとします。
前回は自社の排出部分だけを見てきました。
これをこのサプライチェーンの枠組みに当てはめるとどうでしょう。
そうです。Scope1は自社配送のガソリン。Scope2は印刷機や製本機を動かす電力しか見ていないことになります。
印刷物を作るにはまず紙が必要ですね。
そして印刷をするわけですからインクが必要。オフセット印刷の場合は版も必要です。そして中綴じという製本形態をとるようだったら、ホチキスの針が必要です。そして最終納品形態ではクラフト包装もしますので、そのクラフト紙も必要ですね。
Scope1とScope2だけをみていたらこういったものを一切加味していないことになってしまいます。
それじゃあサプライチェーン排出量とは言い難い。
そこでScope3という考え方が必要になってくるんです。
製原材料だけ仕入れれば、その製品ができるわけではありません。
メーカーじゃなければむしろ材料はカウントしなくていいわけです。
じゃあ何をどれだけカウントしなきゃいけないのか。
ちょっと見にくいですが、この図で理解するのが一番いいです。
Scope3はこのように製品製造の上流過程と下流過程に分けられます。
これを表にすると下記になります。
いかがでしょう。Scope1、Scope2と比較してずいぶんと大変そうじゃないですか?
はい。大変です。
事業活動に関するありとあらゆるものを算定対象としなければなりません。
極端な話でなく、会社のトイレットペーパー、アスクルで購入したコピー用紙、ボールペン1本など。
出荷が伴うものは佐川さん、ヤマトさんの運送。
出張旅費関係も精査しなければなりません。従業員の通勤に関する排出も算定しなければなりません。
それらを下記計算式でひとつひとつ算出していかなければならないわけです。
計算式は至って簡単ですが、対象となる項目が膨大です。
はっきり言ってその作業量たるやScope1、Scope2の比になりません。
対象項目の排出原単位も排出原単位データベースを参考に、適応するものを抽出しなければなりません。
大変です。
ですがこのScope3をやらないことには、本当の意味でのサプライチェーン排出量は可視化できません。
このあたり大変悩ましいです。
せっかく「カーボンニュートラルに取り組んむぞ!」とその気になったのに、こんなハードルが立ちはだかるとなると一気に萎えます。
しかしご心配なく。
殆どの会社さんは段階を経てカーボンニュートラルに取り組んでいます。
まずはできるところからやる。
それで十分です。
まずはやることが大切です。
カーボンニュートラルは単独での取り組みで結果が出る話ではありません。
政府は2050年カーボンニュートラル達成と言っています。
そのためにはまずは各事業者が当事者として一歩を踏み出すことが大切です。
そうでもしないと始まりすらしません。
なのでまずはScope1と2から始めましょう。
そして慣れればScope3に挑戦すればいい。
専門家でもなく、「やるぞ!」といった気合先行で、ほぼゼロからのスタートをした私達もそんなもんです。
「わかった。言われた通り段階を経ていこう。」
そう心を決めた事業者さんに、私はおすすめしていることがあります。
それがSBT認証取得です。
このSBT認証について次回記事にしたいと思います。
私たちはカーボンニュートラトラルにわずかながらでも一歩を踏み出そうとする事業者さんを応援します。
一緒にカーボンニュートラトラルに取り組む事業者さん。
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