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「拝啓 彼方からあなたへ」

手紙を最後に書いたのはいつだろう。
そういえば3月に書いた。
卒団生に宛てた手紙書いていた。
あら、
わりと最近だった(笑)

拝啓
もしもあたしが死んだら、この手紙をポストへ入れてください。

「自分が死んだらこの手紙を投函してほしい」と中学時代の親友・響子に託さた「おたより庵」の店主・詩穂。やがて、彼女の死を知った詩穂は手紙を開封し、過去にまつわる事件に巻き込まれてゆく。町家の並ぶ、どこか懐かしい町で「あの日の約束」が再び動き出す。店を訪れる者と、想いを伝えたい大切な誰かを繋ぐ、手紙ミステリー。

集英社オレンジ文庫

ストーリーの要になるのは「手紙」。
主人公:詩穂は「おたより庵」という便箋や封筒、
それに付帯する文具などを専門に取り扱う店舗の店主。
性格は物静かで大人しい。
話をするよりも、
手紙のほうがよく喋るくらい、
書くことで自分や相手とじっくり向き合える。
そのため言いくるめられやすく、
彼女の周りには威圧的な男性が集まるようだ。


手紙にまつわるショートストーリーが2〜3ほど登場する。
詩穂の中学時代の友人で文通相手の響子から託された手紙の話。
自分の母親との関係を見直すための手紙を書く女性とその娘の話。
従業員でもある夕佳がまだ学生の頃の話。
客でよく訪れる書道家の城山と息子の話。
そういったストーリーと並行して、
とある事件が進行している。
穏やかな中に突如展開していく事件はハラハラさせられる。


ちなみに、
わたしも書き出すほうがよく喋る。
というか書くことで頭の中を整理する。
自分の胸の内と向き合う。
喋るのは苦手なのだ。
頭の中で文章を組み立てることに時間がかかって、
会話のテンポに合わせられないからだ。
手紙は、
相手からの返事には時差が生じたり、
そもそも返事がなければ言いたいことを言っただけの独り言のようなもの。
でも何を伝えるのかはじっくり時間をかけて思考・取捨選択できるから良いのだと思う。
メールも似たようなものだけれど、
届くスピードが早くなった分、
より会話に近い形なのだろう。
LINEなどのコミュニケーションツールはもはや会話以上に言葉を削られていて、
会話ですらないような気がする。
スピード重視の世界で、
わたしには苦手でしかない。
細かく送信された言葉の中、
ポンポンと会話の内容がすれ違う。
打ち込んでいる最中に話の内容がすでに変わっていて、
結局消してしまうことが多い。
言いたいことはほとんど消去され、
会話を楽しんでいるとは到底言えない。


やはり、
手紙というものが無くなるのは寂しい。
でも今の子達には重たいものに思うのかもしれないですね。


最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

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