BGMは日常の音
先日のアカデミー賞で、
岸井ゆきのが、
最優秀主演女優賞を受賞していた映画。
気になっていた。
「岸井ゆきの」という女優を、
見たことはあった気がする。
壇上に立つ彼女を見て、
人前に立つことが得意じゃないし、
注目されるのも苦手そうなのに、
演じることが本当に好きなんだなって思った。
彼女も「映画が好き」なんだと言っていた。
彼女の演じる姿を知らないけど、
すごく興味をそそられた。
裏に下がって、
仲が良いのだろうオードリー若林と話す姿は、
そこでまわっているカメラを忘れたかのように、
受賞した喜びと興奮が見て取れた。
壇上でのスピーチとはまるで違う姿で、
尚興味をそそられた。
「ケイコ 目を澄ませて」
今アマプラで観れます。
耳が聞こえないプロボクサーの役。
彼女は手話が第一言語だからだろうか、
声は時々発する返事と叫び声くらいで、
ナレーションもないし、
手話ができる人と話している時も、
ほとんど文字化されない。
友達とランチしている時も、
何を話しているのかわからなかった。
彼女の頭の中は文字化しない。
表情から読み取るくらいしかできない。
最後は、
ボクシングを辞めるのか、
続けるのか。
ハッキリとした結論はわからなかった。
わたしの考えは、
おそらく
続けるのだろう、
と受け取った。
土手を走り去るシーンで映画は締められた。
そしてようやく気付いた。
あれ?
BGMなくない?
いやあったのかもしれないけど。
ってかエンドロールも無音。
映像が切り替わるだけ。
主題歌はない。
劇中も流れてなかった気がする。
通りで、
日常の音がうるさいと思ったんだ。
街中を通り抜ける車や緊急車両の音。
電車の音。
店内の音。
罵声。
家の中ではお皿を下げる音とか、
水が流れる音。
歩く音。
ボクシングでは、
縄跳びの音、
小気味いいミット打ちの音、
サンドバッグやボールバッグを打つ音。
全部彼女の耳には届いてない音が、
BGMであるかのようにそこにあった。
(弟が楽器を弾いてるシーンはあった)
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。