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テレビドラマ初回のみ“ふんわり”レビュー<2024年1月期>

※最終更新では4週目の『Eye Love You』『マルス-ゼロの革命-』『不適切にもほどがある!』『瓜を破る~一線を越えた、その先には』を追加してフィニッシュ。
最終週に面白いドラマがきちゃいました!
最後に簡単な総評も添えて。


2023年もご覧いただいた皆さまありがとうございました。
2024年もよろしくお願いいたします!
昨年も素晴らしいテレビドラマがたくさんありました!
ちなみに全作品を最後まで観たわけではないのですが全話観た中での2024年間TOP10は、

【1】 コタツがない家
【2】今夜すきやきだよ
【3】罪の戦争
【4】ブラッシュアップライフ
【5】VIVANT
【6】日曜の夜ぐらいは…
【7】リエゾン-こどものこころ診療所-
【8】三千円の使いかた
【9】僕たちの校内放送
【10】ポケットに冒険をつめこんで

でした!
ということで今クールもゆるーく個人的視点で1話だけをレビュー。
軽い気持ちお付き合いいただければ。
ただ最近、深夜ドラマに関しては明らかに自分がターゲットとされていないドラマが散見されるので、今年から大幅に削減しましてプライム帯を中心にしていきたいと思います。
深夜帯も面白そうな作品は引き続き1話は鑑賞します!

星の評価は
<★★★>次回楽しみ!
<★★☆>次回も観る!
<★☆☆>次回もまー観るかも!
<☆☆☆>次回以降観ない!
くらいの感じです。
ほぼ直接的なネタバレはないと思うのですが、
未見の方は念の為お気をつけください!

※TVerで観ているのでTVerにはないNHKやWOWOWプライム等のドラマは除外してます。
リンク先のTVer等は期限切れで見れなくなっている可能性もありますのでご了承ください。

※TVerリンクが画像が表示されない仕様になったので画像をそのままリンクにしました。
画像をクリックするとTVerに飛びます。

※旧ジャニーズ事務所の方は一部リンク先が更新されてないなどの場合があるためリンクしておりません。

【月曜日】

[プライム帯]

<★★★>『春になったら』

『HERO』 『ガリレオ』 『ケイジとケンジ』などのシリーズを手掛ける福田靖が脚本、『かしましめし』松本佳奈がメイン演出を務めるオリジナルのハートフルホームドラマ。
オリジナルだと当たりが多いカンテレ制作のフジ月10枠で久々の大当たり。
今クールの覇権の匂いがする!
脚本の福田靖/演出の松本佳奈以外にも、音楽が『きのう何食べた?』シリーズ福島節澤田かおり、劇中で濱田岳演じる「カズマルくん」のネタ監修をテニスコート画餅を主宰する神谷圭介などそれは面白くなるよねという裏方陣。
さらに脇にも濱田岳、小林聡美光石研筒井真理子という布陣はもはや盤石。
まぁ何よりも主演の奈緒木梨憲武が素晴らしい!
奈緒の優しいふんわりした雰囲気と時より見せる意志の強さの切り替えが絶妙。
木梨憲武は完全に普段のノリさんだけど、軽快な中にも大病を背負う悲壮感が滲み出ていて完全に役にフィットしている。
“生”を扱う助産師という仕事の娘と、余命を宣告され確実に“死”に近づいていく父という対比の使い方も上手い。
ただ一つだけ懸念点はターミナルケアのお話なので時間が経つにつれて目に見える形で身体的な変化が起きていくはず。
それを描かずにはリアリティが無くなってしまうし、きちんと描くと見るのが辛い画になってしまう。
そのバランスをどう取りながら描いていくか。
最高の演者とスタッフ陣でそこを描き切ることができれば、今クールの覇権ドラマとなれる作品!

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<☆☆☆>『君が心をくれたから』

映画『今夜、ロマンス劇場で』宇山佳佑が脚本、『ミステリと言う勿れ』松山博昭が演出を務めるオリジナルのファンタジーラブストーリー。
まず初めにもういい加減にキラッキラ俳優を使って非モテとかスクールカースト下位みたいなキャラをやれせるのやめて欲しい。見えないって!(そう考えると前クールの『いちばんすきな花』今田美桜の“可愛すぎることがコンプレックス”というキャラクターは新鮮だしフィットしていた。)
まず最初の問題がとにかく導入部分が長すぎる。
CM抜きで71分はもう映画の尺で、観るハードルがまずかなり上がっている。
内容的に必要ないのに無理に“初回拡大”する流れも見直してほしい。
そして時系列をコロコロ入れ替える演出も物語に集中できない原因。
せめて回想的に1,2回挿入するくらいなら良いけど、ここまで頻繁に入れ替えられると…
時系列入れ替えは必要がないなら基本はやらないほうが良いかなと。
あとは幼児虐待、パワハラ、色覚障害と要素詰め込みすぎ。
せめて1人1個までにしましょう。
そしてラスト急にファンタジーすぎる!びっくり。
一番気になったのが山田裕貴永野芽郁に「君は変われる」と連呼している所。
人には変わらないといけない場面てあると思うけど、この永野芽郁の演じるキャラはどちらかというと外的要因から自分を追い詰めていてそんな人に「変われる!」ってもはや呪い。
変わらなくても夢を諦めても、そんなあなた自身が素晴らしいし尊いのだと伝えることが必要なのでは?
今をときめく永野芽郁と山田裕貴をキャスティングしているのだから、ド直球ラブストーリーで良かったような…それを望んでる人が多かったんじゃないかな。
ちなみに余貴美子は安定の良さ。

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【火曜日】

[プライム帯]

<★★★>『Eye Love You』

『先生のおとりよせ』三浦希紗がメイン脚本、『ファイトソング』岡本伸吾がメイン演出を務めるオリジナルのファンタジックラブストーリー。
『逃げるは恥だが役に立つ』の大ヒット以降続いてきた人気に最近翳りが見えるラブストーリー枠のTBS火曜ドラマ
ダジャレのようなふざけたタイトル、流行りに乗るような韓国要素、今クールに乱立しているファンタジー設定ということで期待しないで見始めたのだけど面白い!
ラブコメなのでそこまでディティールにこだわらなくても良いと思うのだが、細部が凄くしっかり考えられているように感じる。
まずファンタジー設定の「父の声を聞くために他人の心の声が聞こえる」から「心の声が聞こえるとやはり恋はできない」という流れになり「韓国人のチェ・ジョンヒョプの心の声は韓国語だから聞こえても問題はない(わからない)」という展開が素晴らしい。
“外国人”と“心の声が聞こえる”という設定を一発で意味があるものにしている。
また外国人いう設定により、多少彼が変な行動を取っても「文化が違うから?」と許せるのも大きい。
さらに二階堂ふみが異常に独り言が多いのがアニメみたいで気になったのだが、彼女は人の心の声が聞こえるので通常インプットしている量が人より多い。そのため独り言によってアウトプットしているのかもしれないと考えるとそれも意味があるように思えてくる。(流石に考えすぎ?)
ただこれ最近チームモノなんかで良く見かける「2話から環境が変わる」系の物語で、このパターンは「1話が面白くてもそれ以降がつまらない」が全然ありえるので怖さもある。
個人的に二階堂ふみとチェ・ジョンヒョプが好きなこともあって過大評価かもしれないが、同じファンタジー×ラブストーリーの月9とは比べものにならないくらい良く出来ていました。

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<★★☆>『マルス-ゼロの革命-』

『3年A組-今から皆さんは、人質です-』武藤将吾が脚本、『天国と地獄〜サイコな2人〜』平川雄一朗がメイン演出を務めるオリジナルの青春クーデターサスペンス。
『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』のシークレット脚本家と噂されるも実際には違った武藤将吾の正真正銘、3A以来久しぶりの学園モノ。
現代のエンタメ界を象徴するかのように、とてつもなく速い展開で物語がどんどん進んでいく初回。
学園モノでは定期の「みんな高校生に見えない」問題は一旦置いておいて、これぞ武藤将吾というラストに裏返す展開はお見事!
まぁこれですよね。
映像を巧みに使っていく手法も3Aの時を彷彿とさせる。
テーマ的には「推しのその先にある偶像崇拝」のような要素もあり、学園青春モノやミステリー・サスペンスみたいな所との相性も良い。
主演の道枝駿佑がけっこう叩かれているみたいだけど、そんなに言うほどダメかな?
確かに武藤脚本においては主演のキャラクターがひっくり返す役をやらないといけないので、3Aの時の菅田将暉と比べてしまうと物足りなさはある。
先が気になるような展開をしっかり作れているのと、怪しい人物がこれでもかと出てくるので考察しがいはある。
でも結局ここまでも何回も出てきているように武藤将吾が学園モノを描く以上は、3Aと比べられるし、超える作品にならないといけない。
その高いハードルを超えていけるか?
楽しみに観たいと思います。

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[深夜帯]

<★☆☆>『瓜を破る~一線を越えた、その先には』

板倉梓によるコミックス『瓜を破る』が原作、『最終列車で始まる恋』おかざきさとこがメイン脚本、映画『決戦は日曜日』坂下雄一郎がメイン演出を務める群像ラブストーリー。
「瓜を破る(破瓜)」って本当にそういう表現があるんですね。初めて知った。
30分枠ということもあってか、初回はどんどん物語が時系列を追って淡々と進んでいき、非常に無機質な印象。
原作は読んでいないのだが、原作の雰囲気に近づけているのだろうか?
まぁそんなに面白おかしくみたいな内容ではないのは間違いないけど、いまいちストーリーに乗れなかった。
ちょっと主人公の心理描写が不足している気が…
「20代独身男性のおよそ4割の人が恋人ができたことがない」みたいなニュースがある中で、年を重ねても性的な経験が乏しいという悩み自体は最近増えてきていると思うので、重要な問題だとは思うけど。
そこに対する主人公のアプローチというのが何かリアリティがないような…
群像ラブストーリーということで、初回に登場だけした様々なキャラクターをこれからどんどん深掘りしていく展開なのだと思うが…
今クールの中でかなり後ろの方の放送時期なこともあり、もう少し初回から飛ばしていかないと次回も観たいという枠に食い込むのは難しいかも。
もう既に他に観たいものがたくさんあるという…
良くなりそうな雰囲気ではあっただけにちょっともったいない。

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<★☆☆>『夫を社会的に抹殺する5つの方法 Season2』

アップクロス三田たたみによる同名原作コミックスのドラマ化続編。
メイン脚本/メイン演出は前作から引き続き上村奈帆
続編ということで前回の馬場ふみかのその後を追うのかと思いきや、キャストではなくシステムの方を引き継いでいくという手法。
これタイトルの通り最低夫が酷い目に遭わされる話なので、夫は最低なら最低な方がいいんです。
でも今回の柳俊太郎は初回ではそこまでじゃなかった。
「離婚」とかじゃなくて「社会的に抹殺」ですからね。それ相応の最低加減じゃないと。
そういう意味では前シーズンの野村周平はかなりクッソすぎて良かった。
まぁこれからという気持ちもあるけど、これだけドラマが乱立している中で初速が遅いと2回目を見る気がおきてこないのも事実…
てか柳俊太郎って前のクールも不倫してませんでした?(今回は1話時点では不倫している描写は出てきません。まだ。)

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<★★★>『#居酒屋新幹線2』

天宮さろん/KADOKAWA/ジェイアール東日本企画が原作の『#居酒屋新幹線』の続編で、メイン脚本は前回から引き続き木田紀生、メイン演出はMVなどを多数手掛ける安村栄美が務めるグルメドラマ。
“孤独のグルメインスパイア系“でいかにもテレ東の企画っぽいがMBS(TBS系列)の制作。
前シリーズを観ていなくても全く問題ありません。
前シーズンは東北新幹線だったが、今回は上越・北陸新幹線。
そして初回の舞台は金沢。
もちろん偶然だろうが、この時期に金沢の美味しい物を紹介するのはとても意義があることなので素晴らしいタイミングでした!
簡単にいうと眞島秀和が日帰り地方出張に行った帰りにその土地の名産を買って新幹線で飲食するというお話なのだが、このタイプのドラマは30分で変な雑音がなく晩御飯や晩酌時に流し見するのに最適。
ちなみに眞島秀和は『おっさんずラブ-リターンズ-』と続編モノのダブルヘッダーという珍しいクールになってます。どちらの眞島さんも良い。
ドラマパートもちょっとだけ心が温まる内容でほっこり。
孤独のグルメ好きな方、地方にいく機会が多い方はぜひ!
一度でいいから“KISS of FIRE”は飲んでみたい。

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【水曜日】

[プライム帯]

<★★☆>『婚活1000本ノック』

南綾子による同名小説が原作、『イケメン共よ メシを喰え』ニシオカ・ト・ニールがメイン脚本、『コンフィデンスマンJP』シリーズ田中亮がメイン演出を務める婚活ラブコメドラマ。
相変わらず方向性が定まらないフジ水10枠の今クールはがっつりのコメディ。
コメディというかもうほぼ長尺のコントを見せられている感じ。
主演がお笑い芸人3時のヒロインの福田麻貴という時点で多少そんな気はしていたが…
ただ面白くないかと言われるとそんなこともない。
脚本/演出や演者を含めてコメディを作る土台はしっかりしている。
特に主人公の世間をナナメに捉えていく目線を福田麻貴がこれでもかと鋭いツッコミを入れていくスタイルはテンポも良いし、素直に笑える。
ただ普段コントやバラエティ番組を観ない人には厳しいかもしれない。
そしてキャストがほぼ深夜ドラマ。
ただキャストが渋いプライム帯のドラマはスタッフがしっかりしている(力を入れている)パターンが多いので話自体は面白くなることが良くある。
ちょくちょくロバートの博とか『ジョジョの奇妙な冒険』の岸辺露伴が出てきたり、わかる人には面白い小ネタもたくさんある。
原作未読のため原作からなのか、脚本なのかはわからないが。
今クール流行りのファンタジー設定で出てくる八木勇征 (FANTASTICS from EXILE TRIBEのキャラが初回では少し弱い、というかあまり意義が感じられないポジションだったのでそこが改善するとさらに良い。
30分枠なら間違いなく三つ星だったけど、やはり長尺コントを毎回60分弱見せられるのは厳しい気持ちもある…
お笑い・バラエティ好きな人には初回は観て欲しいかなという感じでしょうか。

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<☆☆☆>『となりのナースエイド』

知念実希人による同名小説が原作、『今日からヒットマン』オークラが脚本、『ファーストペンギン!』内田秀実がメイン演出を務める病院リアルエンタメドラマ。
劇中で何度も本人が注意されていて「それはダメだとわかっててやってます」感を出しているのだけど、やはり看護助手(ナースエイド)が医療行為に口を出すというのは危険が伴う行為であって、それがどんなに正しい事だとしてもやってはいけない事。
医療行為やそれに準ずる行為・発言がしたいなら医者なり看護師の資格を得るべき。
『ドクターX ~外科医・大門未知子~』だってどんなに無茶苦茶やっていても医師免許はあるわけで…
これどうしてもやりたいなら明らかなフィクション設定(未来とか日本ではにどこか架空の場所etc)にするとか、とんでもないコメディ描写でこれはフィクションなんだと思わせるとか。
あとはコナン君みたいに周囲にバレないように助言するとか。
いくらでもやり用はあった気がする…
さらに看護助手という一般的に知られていないニッチな職業でそれをやるのがされにタチが悪い。
というか中盤で「お節介が過ぎるけどそれで救われる事もあるよね」という流れがあって、医療行為ができなくても患者やその家族の心を救うというラインが見えていたので、そちらの方向の方が良かったような…
偉そうに医療行為を指示してる割に自分の推しの医師を見るために明らかに自分がやるべき仕事をサボっていたりする倫理観崩壊の描写もあったり何だかチグハグな印象。
オークラ脚本で芸人の吉住矢本悠馬水野美紀小手伸也古田新太と芸達者なキャストが多いのでもっと馬鹿馬鹿しいコメディ全開に振り切った方が良かった。
原作未読のため原作でどうなっているかは知らないけど。

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【木曜日】

[プライム帯]

<★★☆>『グレイトギフト』

『マイファミリー』 映画『ゴールデンカムイ』 アニメ映画『ONE PIECE FILM RED黒岩勉が脚本、『ケイジとケンジ』シリーズ本橋圭太がメイン演出を務めるオリジナルのサバイバル医療ミステリー。
安定の黒岩脚本で初回から物語にかなり引き込まれる。
しかしながらこれ完全なるミスキャストだと感じた。
「人と話すのが苦手で顕微鏡ばかり見ていて周囲に馬鹿にされている」病理医が、「日焼け筋肉ムキムキ」の反町隆史では流石にないような…
「出世欲や上昇志向が強い」教授役の佐々木蔵之介と逆だったのでは?
波瑠はドラマ好きには見慣れた「少しクセの強い非モテ」キャラ。
そして何より見取り図の盛山晋太郎が下手すぎる。
コントを主戦場にする芸人は演技が上手いことは良くあるが、漫才が主戦場の見取り図では無理がある。
番宣などでの需要があるのはわかるけど、1ドラマに1芸人の風潮はそろそろ見直したほうが良い。
ストーリー自体は1話完結ではなく縦軸となる病原球菌の謎を追っていく物語だが、『マイファミリー』で実績のある黒岩脚本なので問題はないと思う。
津田健次郎筒井道隆倉科カナ尾上松也など怪しい人物も満載で、考察系としても申し分ない。
というかドラマ好きとしてあの波瑠のクセ強キャラはあまり違和感がないと勝手に思っていたが、ドラマ自体としてはあの設定が必要なのかと問われると疑問なので、もしかしたら今後の物語上に関係があるのかも…
波瑠すら怪しい可能性が?
そこらへんも含めて今後の展開を楽しみたいと思います!

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<★☆☆>『大奥』

2019年に最終章と銘打って終了したはずの大奥シリーズが連続ドラマで復活。
今回は「令和版」ということでこれまで脚本を務めてきた浅野妙子から『女神(テミス)の教室 ~リーガル青春白書~』大北はるかにチェンジし、『科捜研の女』 『相棒』などテレ朝系作品が多かった兼崎涼介がメイン演出を務める。
ちなみに男女逆転で描くNHK版の『大奥』とは別物です。
大奥の人間がクソすぎるのはそれ自体がコンテンツなので一旦スルーするとして、演者特に若手の喋り方が現代っぽすぎて非常に違和感がある。
これなら現代に転生したみたいなパラレル設定にしても良かったような。
そのくらい気になった…
8代将軍の徳川家重高橋克典)が暗殺されていたり、9代将軍の家治亀梨和也)が征夷大将軍になったのにまだ娘が生まれていない(というか一夜さえ共にしていない)など、史実とは異なるフィクションがかなりあるので本当にパラレルとかでも良かったような気がする。
おそらく家治に反発しながらも次第に惹かれあっていって(実際はおしどり夫婦として有名)多くのクソ共と戦っていく構図なのだと思うけど、それにしては家治に対する倫子小芝風花)の裏切り行為がえげつない。
イヤイヤとはいえこの時代に将軍家に嫁いできたのにそれは流石に…
“女の園”大奥のお話なので魑魅魍魎が跋扈するドロドロの昼ドラ的な展開を期待しているのだが、あまりそんな感じもせず。
青春×ジャンルモノを得意としている大北はるか脚本なので仕方ないのかもしれないが…
近年のフジ木曜劇場枠は無茶苦茶やるで有名なので、今後の無茶苦茶な展開に期待したいところだが。

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[深夜帯]

<★★☆>『めぐる未来』

辻やもりによる同名コミックスが原作、『マッサージ探偵ジョー』井上テテがメイン脚本、『今夜はコの字で』シリーズ久万真路がメイン演出を務めるタイムリープサスペンス。
サスペンス/ミステリーが多い読売テレビ制作の木曜ドラマ枠の今クールはタイムリープモノ。
「死んでしまった大切な妻(恋人)を助けるためにタイムリープする」という設定はほぼ東京卍リベンジャーズ
つまり東リベとどうやって差別化するかが鍵になるが、違いはミステリー要素。
東リベではわかっていた犯人が今作ではわからず、その人物を捜索する物語になりそう。
心拍数が上がるとタイムリープしてしまう(不便)能力を持つために普段表に感情をさせない主人公にボソボソと喋る萩原利久のはピッタリ。
終始、無表情のため感情をナレーションとかにしたくなるところを我慢してミステリアスな雰囲気を作っているのも良い。
しかし妻役早見あかりの会社の上司や同僚の態度がいくらなんでも悪すぎる。
死の真相に関わっているのが誰かわからなくするための演出だとはわかるが、あんな社会人はいない。
結局は東リベでもそうだったが「他にもタイムリープしている人がいるのか?」という所が重要にはなってくるのかな?
ちょっと1話目で判断するのは難しい…
まぁミステリーとかサスペンスが好きな人は観ておいて損はないかなというイメージ。

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【金曜日】

[プライム帯]

<★☆☆>『不適切にもほどがある!』

『俺の家の話』大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』Disney+『季節のない街』宮藤官九郎が脚本、『100万回 言えばよかった』金子文紀がメイン演出を務めるオリジナルの意識低い系タイムスリップコメディ。
プライム帯の最後に満を辞してクドカン3年ぶりの地上波連ドラ作品が参上。
『俺の家の話』の金子文紀、大人計画の盟友である阿部サダヲとのタッグということで期待は高まるばかり。
ただ初回を観終わった私の第一声は「クドカン久しぶりの地上波でこれがやりたかったの?」
コメディって何かと何かの“差“で笑わせることが基本だと思うので、現代においては手法や文脈などを間違えると大変なことになる。
今作はおそらくそのこと自体を逆手に捉えて面白おかしく描きたいのだと思うけど、素直に「そうかな?」と感じてしまった。
ぶっ飛んだコメディ描写が続いていく中で1シーンだけおそらく物語の肝になるであろう真剣な話を阿部サダヲが叫ぶシーンがあるのだけど、そこが弱い。
やはり職場という公の場で他人が嫌がることをするのは論外で、関係性が出来てない相手にはなおさら。(BBQシーンは仕事中という線引きなのか微妙だが…)
タイトルにもなってる「頑張れ」と言われるのも、状況を鑑みず関係性が出来ていない相手に言われたら圧力に感じる人はいる。
しかも実は構って欲しかっただけみたいなオチはもはや意味不明。
世間で起きてるハラスメントって本当にそういうことじゃないから感が強い。
阿部サダヲの台詞にもあったけど、昭和世代の「今の世間生きづらくない?こういうのを望んでたわけじゃなくない?」が漏れ出ている。
でも彼ら彼女らより下の世代は別にそんなこと感じていないと思うし、時代が移ろいでゆけば当然のこと。
ミュージカルになったり昭和の小ネタがたくさん出てきたりと、ぶっ飛んだ笑いにほとんどが割かれている中で、あの説教じみたシーンだけ浮いていて不必要だったように思う。
根本的な疑問として、コメディって別に人生訓みたいなの入れなくても良くないですか?
ただただ笑いたいだけなんだけどなぁと思ってしまった。
個人的に好きな河合優実が地上波連ドラでこんなにがっつり見れることには感動。やはり良い。
なんかそれだけが印象に残っている。

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<★★☆>『院内警察』

酒井義&林いちによるコミックス『院内警察〜アスクレピオスの蛇〜』が原作、第26回フジテレビヤングシナリオ大賞佳作受賞の天本絵美が脚本、『テッパチ!』石川淳一がメイン演出を務める医療エンターテインメント。
フジテレビが最近力を入れているヤングシナリオ大賞受賞者の脚本作品。(ただ1話目の脚本が諸橋隼人になっていて誰がメインか不明。)
おそらく日本のドラマで1番目と2番目に多く作られているであろう刑事モノ×医療モノ。
しかも院内交番(院内刑事)というニッチモノの要素も併せ持つ。
前クールうちの弁護士は手がかかるから復活したフジ金9枠なので力が入っている。
こちらも前クールと同じく男女バディモノで普段は怠けているが実は切れ者で過去に傷がある男とそのバディに振り回される良心的な役回りの女という良くあるキャラクター。
ただ演じる桐谷健太&長濱ねるが役柄に非常に良くフィットしている。
そしてなぜかこれも前クールから引き継ぐ“枯れ専”の設定。なぜ…
医療モノなのである程度のリアリティが大切で、終盤自分じゃできない手術と向き合う医師が出てきたシーン。
良い選択は「他の医師に代わってもらう」悪い選択は「自分が気合いで乗り切る」という分岐が合ったと思う。
どちらを選択するかでドラマの流れが決まるなと思って観ていたが、今作の選択は「自分でやるけど周囲の人に過ちを認め力を貸してもらう」という折衷案だった。
この選択は素晴らしかった!
全体的にコメディとシリアスの間くらいのイメージで、毎回1つの事件を解決していきつつ、桐谷健太と瀬戸康史の因縁という縦軸を巡る物語になりそう。
なんかテレ朝が得意とするような展開で、テレ朝のシリーズモノが好きな人は楽しめるのではないかなぁ。

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<☆☆☆>『ジャンヌの裁き』

『転職の魔王様』泉澤陽子がメイン脚本、wowow『華麗なる一族』西浦正記がメイン演出を務めるオリジナルのエンタメ司法ドラマ。
ちなみにこのテレ東のドラマ8枠はリニューアルしてから弁護士→郵便配達人(サスペンス)→弁護士→検察審査員となぜか司法モノばかり。
今回は“かすりニッチ系”(王道の中で分岐しているニッチ系)ドラマが多いが今作も王道司法モノをかすめての検察審査会が舞台。
裁判員ではなく検察審査会でそれもまた一般人には話をややこしくしている…
これ最初に結論から言うと面白くないけどめちゃくちゃおしい。
11人で行う検察審査会で11人のキャラが濃くて、室内というクローズドな場所で進んでいく前半は名作『十二人の怒れる男』を思わせる。
一転して後半はおそらく実際には無いであろう、外に出て主人公の玉木宏が自らの足で調査をして真実に近づいていく姿は『HERO』『イチケイのカラス』の系譜のような。
ただ問題はこの2つがうまくミックスされていない。
もちろん上記の作品の完成度は超えていないし、むしろ合わせる事で見づらくなっている。
そして主人公が「おじさんが正体を隠して少女コミックスを書いている」というかなり面白くなりそうな設定が全く活かされていない。今後に繋がってくるのか…
それと医療モノもそうだけど、司法というものもエモーショナルなものでは決してないと思う。地道に堅実に積み上げていくもの。
そこが全く描かれていないのがいまいち乗れなかった原因かもしれない。
あと弁護士が「社長の息子のコネ入社だと噂になっている」と噂レベルの証言で詰め寄ったり。
全体的に司法に関わる人々を舐めている描写が多いように感じた。
一つ一つの要素は良いのにそれがうまく繋がっていないような印象。

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[深夜帯]

<★★★>『おっさんずラブ-リターンズ-』

大ヒットドラマの続編でプロデューサーの貴島彩理、脚本の徳尾浩司、メイン演出の瑠東東一郎が続投。
なので前回から観ていないと厳しい。(映画も必須。但し『-in the sky-』に関しては観ていなくても大丈夫。)
社会現象を巻き起こした第1期と映画版を経て作った主人公2人のパラレル設定の続編『おっさんずラブ-in the sky-』が大不評で終わっていったため、正統な続編がこの度爆誕いたしました!
まーそりゃパラレル設定以前に田中圭吉田鋼太郎以外の主要キャスト総とっかえはダメですよねー。
ただ当時とは違いLGBTQのドラマが地上波でもたくさん作られている現在。
どこまで違いを生み出されるかに注目。
と思って見ていたら中盤まで何だか冗長…
あれ?思い出って美化されるって言うしこんな感じだったかなーと思っていたその時、黒澤部長(吉田鋼太郎)登場!
みんながこれを待っていた!
結局、田中圭と林遣都と吉田鋼太郎のわちゃわちゃが見たいのです。
あと個人的には武川(眞島秀和)のキャラが好き。
井浦新三浦翔平という新キャラもだいぶ濃そうなので楽しみ!

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<★☆☆>『闇バイト家族』

『おじさまと猫』ふじきみつ彦がメイン脚本、映画『ケンとカズ』小路紘史がメイン演出のオリジナルのドン底エンターテインメント。
テレ東のドラマ24枠でこの枠は40分間と謎の尺。
1話で1つの箇所に潜入していく1話完結のお話なので30分枠だと物足りないけど60分枠だと長くてダレるという絶妙なラインを攻める。
そして深夜なのにキャストが豪華!
若手売り出し中の鈴鹿央士を主役に山本舞香光石研麻生祐未吹越満とプライム帯でもいけるキャスティング。
しかもみんなかなりキャラにフィットした役なのでハマっている。
闇バイトをしていると思っていたら実は…みたいなオチも良いし、そこのズレを使って今後ストーリーを進めていくと面白い展開になりそう。
基本的なコメディ路線はなるべく外さず軽快な感じでお願いしたい。
社会派みたいな方向に行くとそれは…
どんな結末になるかも含めて今後に期待できる良作でした!

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【土曜日】

[プライム帯]

<★★★>『新空港占拠』(『XXX占拠』)

『大病院占拠』の続編で、脚本/メイン演出も前作から引き続き福田哲平大谷太郎が務めるタイムリミットバトルサスペンス。
タイトルがネタバレになるとのことで伏せられていましたが、舞台が空港ということが発表されタイトルも更新されました。
前作は一つの潮流を作った作品で、それは「狙って炎上させる」という流れ。
それまでもこの日テレ土曜ドラマ枠は同じスタッフ陣で制作した『ボイスII 110緊急指令室』『逃亡医F』でその気配をあったのだが、原作がある作品なのでそこまで無茶はできなかった。
そこでオリジナルの『大病院占拠』を作りついにその枷が外れて大暴走。
意味のわからないシーンや絶対あり得ない描写の連続で燃えまくる土曜日。
しかしそんなシーンや描写にツッコむ視聴者の声がSNSを席巻し、大人気に。(あと考察もだいぶ盛りあがった。)
まぁこれはなんと言おうとわざとやってるとしか思えません(笑)
でも最初はバカにしていたドラマ好きの人々もクセになっていって、最後にはみんなリアタイしていく現象が起きていたのでこれは製作陣の勝利。
さてそんな作品の続編ですが、もう期待通りだったのではないでしょうか!
武蔵(櫻井翔)再び!考察合戦再び!ツッコミの嵐再び!
相変わらずの意味わからんシーンのオンパレード。
ソニンのオーバーすぎるリアクションに歓喜!
櫻井翔の「嘘だろ」に爆笑!(爆笑?)
そして前回ラストのクリフハンガーからやはり宮本茉由が…
前回の事件とどう繋がっていくのか?
ただもはやこれ繋がっていかなくてもそれはそれで良いんですよ。
もはやこれは祭りなのでSNSや友達同志で好き勝手言ってればなんでも楽しい状態に入っているのでもやは無敵ムーブ。
この勢いで今後もどんどんいろんな所を占拠していってほしい!
一応考察してみると、あの2人は“獣”ではなく今度は2人裏切り者が紛れ込んでいる感じでしょうか?
まぁ違くても全然問題ありません。
また3ヶ月間楽しませていただきます!

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[深夜帯]

<★★☆>『離婚しない男 -サレ夫と悪嫁の騙し愛-』

大竹玲二によるコミックス『離婚しない男』が原作、『今日からヒットマン』 『99.9-刑事専門弁護士-』シリーズ木村ひさしがメイン演出を務めるリコン・ブラックコメディ。
そして何と言っても『M 愛すべき人がいて』 『奪い愛、冬』シリーズ鈴木おさむの地上波引退作品。(Netflix『極悪女王』など配信作品などはまだ控えている模様です。)
鈴木おさむの地上波引退作との事で期待も込めての二つ星。
上記の過去作品を観たことある人はわかると思うけど、近年の鈴木おさむの真骨頂は無茶苦茶して視聴者にツッコミを入れさせる展開を作ること。
そういう意味では『大病院占拠』よりも前からそれをやっていた人。
基本がコメディなので面白ければなんでも良し。
なので今回のシークレット不倫妻役の篠田麻里子も下ネタを始めとする地上波ギリギリの過激描写もお手のものとも言える。
毎回炎上騒ぎを起こす人を選出しがちで有名なベストマザー賞をしっかり獲得している篠田真理子のキャスティングは神がかっている。(鈴木おさむの妻である森三中の大島美幸もベストマザー賞獲得済。)
関係ないけどあんなに幸せそうな家庭を世間に見せつけておいて、鈴木おさむはなんでこんな作品ばかり作るのだろうか…
やはり逆を行きたくなるのがクリエイターの性なのか…
とりあえずどんな結末を迎えるのか見届けたいと思います。

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<★★★>『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』

練馬ジムによる同名コミックスが原作、『准教授・高槻彰良の推察』藤井清美がメイン脚本、『晩酌の流儀』シリーズ二宮崇がメイン演出を務めるロールプレイングドラマ。
東海テレビ制作の土ドラ枠は基本ホームドラマが多くて、年1くらいのペースでこういう社会的に意義のある作品を投入してくる。
旧世代の象徴として会社でも家庭でも嫌われまくる原田泰造がセクシュアルマイノリティの青年と出会い、友達になる事で自分の固定概念をアップデートしていく物語。だからロールプレイング。
基本はホームコメディでこの内容だと難しくなりそうなんだけど、ディティールを細かく描くことで絶妙のバランスで成り立っている。
過去作でもマイノリティの細かい描写を丁寧に描いていた藤井清美の脚本が光る。
でも原田泰造は良い父親にしか見えないなぁ。これからアップデートしていくのが楽しみ。
親世代も子世代もそれぞれイライラするポイントのあるある的な要素も散りばめられていて、そのギャップを見ていくのも面白い。
家族や恋人などごく近しい関係といえど、人と人が分かりあうことが非常に難しい時代にどうやって人は絆を深めていくのか?
この時代に必要な物語。

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<★☆☆>『恋する警護24時』

『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』金子ありさが脚本、『24 JAPAN』鈴木浩介がメイン演出を務めるオリジナルのアクションラブコメディー。
内容的には『僕とスターの99日』×BG~身辺警護人といえば一言で伝わるはず。
心の声による感情説明が多すぎていかにも日本のドラマ。
それよりも一番の問題は白石麻衣
コメディエンヌとしてはイマイチ。
お正月SPドラマ『侵入者たちの晩餐』ではあまり思わなかったのだが、ああいう高慢な役が合っていたという事かな。
『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』と土曜日ダブルヘッダーの松下由樹とか、最高の当て馬こと溝端淳平とか周りは悪くない。
そしてアクションは1シーンだけだったけど、なかなか気合が入っている。
これ初回拡大SPだったので60分でちょっと長く感じてしまったけど、普段は30分枠なので30分で1事件をサクッと描いてくれる感じなのかな?
ただ初回から縦軸の事件の方にがっつり食い込んできてたから、そんなにサクッとな感じでもないのかも…
てかよく考えたらアクションラブコメなのでラブ要素もあるのか。
30分にしたら意外とやること多い?
他に面白い作品が少なれければ観るかもくらいのラインでしょうか。

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【日曜日】

[プライム帯]

<★☆☆>『アイのない恋人たち』

『家政婦のミタ』 『同期のサクラ』遊川和彦が脚本、『おいしい給食』シリーズ綾部真弥がメイン演出を務めるオリジナルのラブストーリー。
有名脚本家のオリジナル作品で繋いできたABC テレビ制作の日10枠第4弾は遊川和彦。ちなみに民放キー局のプライム帯ドラマのワースト記録を更新し続けている枠でもある…
ラブストーリーの鉄板である男女7人の恋物語。
しかしこの日10枠は同じような話が多い気がする。話というか雰囲気というか。
7人がすれ違いながらも交差していくのだが、あまりにも偶然が多すぎるのはこの系統のドラマでは言わないお約束?
そして岡崎紗絵本郷奏多成海凛子佐々木希などキャストが激渋。
さらにストーリーが平坦でなんだか暗い。
流石にこのキャストでこの内容だと厳しいかなぁ。
いつもの遊川脚本だと強烈なキャラクターが登場するがそれも無し。
ただなんだか掴み所のない脚本は遊川和彦という感じもしなくもないのだけど。
悪くないけど、他のドラマを押しのけてまで観続けたいという強さというかパワーがないような…
いやパワーで押すのではなく、ゆらゆら漂うのが遊川脚本と言われれば…
永遠に続くループのよう。

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<★☆☆>『厨房のありす』

『かしましめし』玉田真也がメイン脚本、『Dr.チョコレート』佐久間紀佳がメイン演出を務めるオリジナルのハートフルミステリー。
最初の印象は何がやりたいのか良くわからない。
HPにある「ハートフル」はわかるが「ミステリー」部分があまりよくわからない。何か解かなければならない謎があるのか初回時点では不明。
ASDセクシュアルマイノリティ、過去(火災)のトラウマと要素を詰め込めすぎ。今シーズンはなぜか要素詰め込み系が多い。
そして役として永瀬廉がいる必要性が感じられない。
そもそもあの規模の店でホール専任スタッフが2人いるのだろうか?
あと飲食店経験者ならわかると思うが、急いでるお客さんが多いランチ帯の店舗なのに、その場でお客さんのコンディションによってメニューを1から決めるのは流石に無理がすぎる。
仕込みとか事前準備がほぼできない中でせめていくつかの中から選ぶとかじゃなきゃ不可能。
さらにグルメ系ドラマでこれは致命的だがご飯が美味しそうに見えない。
ただ主演の門脇麦大森南朋は悪くないし、全体を繋ぐ役割をしている前田敦子は良い。
ホームコメディ的に捉えれば面白くなりそうではある。
なんか根本の舵取りを少しミスってしまったようなイメージですかね…

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<★☆☆>『さよならマエストロ〜父と私のアパッシオナート〜』

『妻、小学生になる。』大島里美が脚本、坪井敏雄がメイン演出を務めるオリジナルのヒューマンドラマ。
まず世間を賑わせているように昨年のドラマ『リバーサルオーケストラ』に内容が酷似している。
これおそらくパクリとかではなく、この題材でこの系統の物語を作ろうとするとそれくらいしかやりようが無いのだと思う。
ただ『リバーサルオーケストラ』では見ていられなかった楽器の演奏シーンは、主要キャストの担当をオーボエティンパニなど比較的わかりづらい楽器にすることでかなり見られるようになっている。
ただここで問題が指揮者役の西島秀俊が実際に指揮をすると違和感が拭えない。とくに引きの画角の時。
有名俳優にとって連ドラの準備期間では流石に厳しい。
基本的に波の少ないお話なので鍵になるのは父と娘の不協和音部分だと思うのだけど、それがあまりピンとこないのも問題。
結局一緒に住んでいるわけだし決定的な軋轢にどうしても見えない。
あとこれ一応日曜劇場なので天下の日曜劇場でやるにはスケールが小さい。
世界的な役者に昇り詰めた西島さん頼り感が非常に強いかな。
昨年でも『VIVANT』は例外だとしても、全盲の刑事の捜査をテクノロジーで補いながら見せていたった『ラストマン―全盲の捜査官―』や事前に高校球児役の大規模オーディションをしてその模様をドキュメンタリー風スピンオフにしていた『下剋上球児』と比べても見劣りしてしまう。
TBSだとどちらかと言うと金ドラ枠の感じ。
そのくらい現状の日曜劇場の重圧は大きいと思う。
いかにも細かく丁寧に積み上げていく大島里美の脚本で悪くはない。
でも悪くはないでは満足できないのが今の日曜劇場の冠だと思う。

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ランキング形式まとめ

<★★★>
『Eye Love You』『春になったら』『新空港占拠』
『おっさんずラブ-リターンズ-』『#居酒屋新幹線2』『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』

<★★☆>
『マルス-ゼロの革命-』『婚活1000本ノック』『グレイトギフト』『院内警察』
『めぐる未来』『離婚しない男 -サレ夫と悪嫁の騙し愛-』『闇バイト家族』

<★☆☆>
『不適切にもほどがある!』『大奥』『アイのない恋人たち』『厨房のありす』『さよならマエストロ〜父と私のアパッシオナート〜』
『瓜を破る~一線を越えた、その先には』
『夫を社会的に抹殺する5つの方法 Season2』『恋する警護24時』

<☆☆☆>
『君が心をくれたから』『となりのナースエイド』『ジャンヌの裁き』


ふんわり総評

今期の1話を観ただけでの個人的オススメのプライム帯は『Eye Love You』『春になったら』『新空港占拠』の3本、
深夜帯は『#居酒屋新幹線2』『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』の2本の計5本でした。(『おっさんずラブ-リターンズ-』は前シリーズを観ていないと厳しい続編モノなのでここでは除外。)

『Eye Love You』はTBS火曜ドラマらしいラブコメにファンタジー&韓国要素を足したハイブリッドな物語。良い意味でコメディらしからぬ繊細な物語の構成はスタッフ陣のただならぬこだわりが垣間見える。二階堂ふみとチェ・ジョンヒョプの王道ラブ展開にも注目!
『春になったら』は数々の名作を生み出してきた脚本家・福田靖と素晴らしいスタッフ陣が作り上げるホームドラマ。辛く悲しい結末が待っていようとも上を向いて歩いていけるような力強い内容。奈緒&木梨憲武の2人のシーンは圧巻です。
『新空港占拠』は大病院占拠の続編として再度挑むサスペンス。とはいえ大いにツッコんで、大いに笑えて、みんなで考察し合える楽しいシリーズです。制作側が意図しているかは不明ですが。櫻井翔の「嘘だろ」をみんなで待ちましょう。(続編とはいえ前回シリーズを観ていなくても大丈夫なのでこちらに入れました。)
『#居酒屋新幹線2』は地方×グルメがふんだんに盛り込まれた30分間。こちらも続編ですが前シリーズを観ていなくても全く問題ありません。美しい地方都市に、美味しそうな料理とお酒をサクッと堪能できるのが魅力。眞島秀和の雰囲気が大人のドラマに昇華させてくれます。
『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』はタイトルからは想像できないような現代に必要なイシューを備えたヒューマンドラマ。年を重ねても自分をアップデートし続けることがどれだけ大切かを思い出させてくれます。優しさが滲み出てしまう原田泰造も良いです。

4クール連続で三つ星が5作品(続編モノも含めると6本)と少し低調な2024冬ドラマ。
今クールは宮藤官九郎・遊川和彦・福田靖・黒岩勉・鈴木おさむなど有名脚本家のオリジナル作品が乱立し、明暗が分かれる結果に。
でもやっぱり根本としてオリジナルはワクワクする!
深夜帯は前回予告したように明らかに自分がターゲットにされていないだろうと言う作品に関しては除外しました。だいぶストレスフリー。
引き続きプライム帯は全て、深夜帯は厳選して書きたいと思っています。

最後にこの度テレビドラマ界隈で悲しい出来事が起きてしまいました。
私も前のクールでこのドラマに関して感想を書いているので、微々たる閲覧数とはいえ無関係ではないと感じています。
なんでこんなことになってしまったのか日本テレビには出版社・制作サイド・外部専門家を集めしっかり検証して、今後このようなことが二度と起きないような対応を願います。
そうじゃないともう日本テレビのドラマで泣いたり、笑ったりできない。
あとはやはりオリジナルを作って欲しい。
原作があるものならプロデューサーなり脚本家なり演出家が本当にやりたい作品を。
ドラマ枠が多くなりすぎているので、それを何とか埋めるように企画しているとしか思えない作品が多すぎる。
製作費・スポンサーなど簡単にはいかないことが多いだろうけど、各局1クール本気で1,2本を作るという流れになればいいなと心から思っています。

いつも私の心の中に居続けるコミックスのシーンがあって、『映像研には手を出すな』でアニメを作っている主人公がロボットの設定にリアリティがないことを観客に責められるのではないかと怯えるシーンがあるんです。
私たち観客はいつだって「リアリティがない」とか「こんな人はいない」とか勝手なことばかりいうじゃないですか。
消費者というのはある意味でそれが当たり前だしそれで良いと思ってるんですけど、でもその裏にはこうやって理想と現実の狭間で悩みもがきながら戦うクリエイターが当然ながらいるんだなって強く心に残ったんですよね。
映画『tick, tick... BOOM! : チック、チック...ブーン!』の劇中から言葉を借りるなら「作品が終わったら次の作品を書く。そしてそれが終わったら次の作品を。鉛筆を削り始めなさい。」
どんなに辛くて厳しくて過酷であっても、とにかく次の作品を作るしかない。それが作家だからと。
だからこそ私はどんな作品でも真剣に向き合って観るし、おかしいなと思ったら何かわけがあるのではないかと調べるし、もしも批判をするならしっかりその理由を明示しようと心に誓っています。
それが心血を注いで作品を生み出すクリエイターへの最低限の誠意だと思うから。
それでも何か誠意に欠けることが、もしかしたらあるかもしれません。
何か気になることなどあればいつでもコメント等いただければ幸いです。
より一層、作品に対する敬意を忘れずにレビューを書いていきたいともう一度決心しました。

今後ともレビューを読んで共感して笑っていただいて、少しでも皆様のドラマ鑑賞の助けになることができれば嬉しいです。
引き続きよろしくお願いいたします。

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