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「森の三重奏」

鳥の声
虫のざわめき
水の音

わずかな沢の水

半年ぶりの恩方の森
はじめて来てから一年
沢の水を復活させるため
ホタルの光をみたいため

はじめて来たとき驚いた
鳥の声がしない…
こんなに緑が多くて
高木がたくさんなのに

静けさに包まれた森
高木から差し込む光を眺めながら
何かが足りないこの森を
知りたくなった

沢の水は枯れたり流れたり
とても不安定だけれども
森の虫たちはとても活動的で
元気がいい

土のなかを掘り返し
炭を入れて菌を作り
やわらかな土に変えて
雨水を通す

森に携わる先人たちが
ずっと地道に続けてた
こうやって硬く地すべりしてた土から
雨水を吸い込み水を溜め込む土へと

はじめは沢を掘っても
水気はなかったと
でも四年の月日のはたらきは
山に水の通り道を張りめぐらせた

いまはホラ
ここ掘れワンワン
水が湧く
土から出ずる水の音

掘ればホラ
ヤマビル元気に飛び出した
土に水があるから
ご馳走山ほどあるんだね

山蛭

聞こえてる
いまは聞こえてる
鳥の声虫のざわめき
水の音

静かな森が
やさしい三重奏をかなではじめた
生きている
いましっかりと

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