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「堀川櫛鬚ガガンボ」

息子が小さい頃は
いろんなものに興味を持たせたくて
花や虫を見つけては
名前を調べた

歩いて見つけるたびに
アガパンサスが咲いてるね、とか
蝉の抜け殻があるよ、とか
名前を教えながら

アガパンサス 初夏の花

それまでさほど
興味はなかったのに
探してみれば
道にはたくさんあふれていて

いつしか私のほうが
夢中になり
息子との散歩での
楽しみとなった

息子のほうは
さほど興味がないようで
代わりに歌をうたってやりながら
乳母車をひいていた

次第にそれは
私だけの楽しみとなっていく
そして虫好きになる出会いの
堀川櫛鬚ガガンボ

職場のガラス窓についていた
べっ甲のような色
蜂のようでいて足が長い
櫛のような触覚と尻上がりのフォルム

全てが美しくて
それでいて奇妙で
いろんな生き物を掛け合わせたような
まるで霊虫のようで

夢中になった
とにかく名前が知りたいけれど
今のようにすぐにはわからなくて
でもガガンボか尻上がり虫だろうな、とか

結局虫の名前がわかるアプリを見つけて
正体を知った
その瞬間は
この虫を知り得る仲間とつながる気になる

ネットをみれば
そこにはたくさんの人がアップしていて
発見の喜びを
共にする

名付け親の堀川さん
自分の名前つけちゃった
それくらい
愛おしかったのかな

わかる
わかります
自然の神秘が
秘められていますもの
 
あれから十年越しに出会い
原点にかえる
あの感動は今でも 
続いてる

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