ワンピースとミミズ
少し前、平和通り商店街でワンピースを買ってもらった。紺色に沖縄っぽい柄の、涼し気なやつ。部屋着にピッタリで、でもちょっとしたお出かけにも丁度良くて、結構気に入っていた。
そういえば最近そのワンピースを見かけないな、とは思っていた。おそらく、かれこれ2週間ほど行方不明だったと思う。
昨日はとても天気が良かったので、お布団を洗濯して外に干した。最近風が強いなぁ、なんて思いながら、何の気なしに外を見ると、誰かのかりゆし(アロハシャツ)が落ちていた。
その横に、なにやら見慣れた色のハンガーもあった。「まさか…」と思って辺りを見渡すと、紺色の布のかたまりが落ちていた。
急いで見にいくと、それは雨と風と土でドッロドロの無惨な姿になった私のワンピースだった。
あまりにも汚いので、一旦ベランダで桶に水をためて洗うことにした。
桶の水はすぐに真っ黒になって、何かわからない黒いものが沢山浮いてくる。めちゃくちゃ汚い。
何度目かのすすぎ洗いの途中、ヤツは突然現れた。ピンクと肌色の間くらいの細長い、ニョロニョロしたやつ。
そう、ミミズ。
ヒィッ…(リアルにこんな声が出た)
パニックの私(オマエエェエ!!!そんなとこに住むなぁああ!たしかに布は保湿性はあるから住みやすいやろうけど!!よぉ道端でカラカラに干からびとるもんなぁ…。けどごめんな、これ私の服なんやわ…。ちょっとどかすで……)
何を思ったか私は、近くにあった洗濯バサミでいい感じに摘もうとした。
分裂した。
2つともニョロニョロ動いてるし、最悪である。
一度冷静になり、結局ティッシュで摘んで外に出した(最初からそうしろ)。
放り出されたミミズさんは、水のないカラカラの駐車場でニョロニョロしていた。
このままじゃカラカラになってしまう…。少し良心が痛むものの、もう一度触る気にはなれない。
せめてもの救いにと、ミミズさんがいる場所一体に水をかけてあげることにした。
昼間っから一心不乱にベランダから水を撒くアラサー。こっわ。
なんとか生き延びてくれ…という思いを胸に水を撒き、部屋に入った。
数時間後、外へ出るとミミズさんはカラカラになってしまっていた。ごめん……ごめんよ……。
そして、ワンピースはというと、何度も何度もすすぎを繰り返して綺麗にはなったが、土と雨の香りは抜けず、着ると森の中にいる気分が味わえるワンピースとなった。
【Today's song】
今日は全国的に雨と風が強いとのことなので、藤井風の最新曲を。
この曲のMVで、藤井風が踊っている。
私は歌を歌う人がダンスを踊ったり、演技をしたり、他ジャンルに挑戦することに対して、あまり肯定的ではないのだけど(その道1本でカッコよく極めて欲しい)。
藤井風が、想像以上にさらりと踊ってのけていて、驚いた。
藤井風に限らず、こうやって時代に見つけられて大きくなっていく姿を見ると、「どうかやりたいことが自由にできる環境でありますように」と願わずにはいられない。
ダンスは、藤井風本人からの申し出なのだという。
そっか。なら、良かった。
"何のために戦おうとも
動機は愛がいい"
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