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【読書感想メモ】不朽の名作『霧のむこうのふしぎな町』

『霧のむこうのふしぎな町』
作:柏葉幸子、画:竹川功三郎

言わずと知れた名作です。
私が持っていたのはいわゆる旧作。
昭和60年、第18刷。

とっても素敵な表紙です。
そして、カバーを外すと、本体の表紙には別の絵があって、こちらもとても素敵です。

現在、違う方の挿絵の版や、別の版で読むことが出来ます。
表紙や挿絵の美しさでは、やはり旧版が好きです。

旧版は、挿絵だけでなく、表現が少し異なっています。
それは、「きちがい通り」という名称。
現在の版では、「めちゃくちゃ通り」に変更されているそうです。

二つの理由から、絶版になった旧作は、現在希少本になっているようです。

とはいえ、物語の内容を楽しむことが一番なので、どの版でも良いのではないかなと思います。

小学生の高学年の頃に近所の書店で買って読んだ気がします。
結構長めの児童書ですが、面白くて一気に読んだ気がします。

読んだ頃は、多分もうあまり素直じゃなくて、ナルニア国みたいに異世界に入る物語って既視感があるな、でも和風のそういう童話も悪くないな、などと思ったような。千と千尋とか、ハリーポッターとかとも共通する部分があるかなと思います。

やはりこの物語も、もう少し自分が成長する前に出会えてたらもっとワクワクした気がするなと思った一冊でもありました。

そんなことを言ってはいますが、やっぱり面白くて、大人になった今でも物語の内容をざっとですがずっと覚えていました。

あらためて読み直してみると…、やっぱり傑作💕

あらすじはこんな感じかなと思います。

・小学生のちょっとぽっちゃりしたリナが夏休みにお父さんの知り合いの家に1人でお泊りに行く。

・近くまで行くが場所が分からず、ひきかえそうとしたところ、傘に導かれて霧の向こうの町に着く。きちがい通り。

・ここは、宿屋さん、おもちゃ屋さん、お菓子屋さん、古本屋さん、古道具屋さんがある商店街で、売っている商品が必要な人は自然とお店にたどり着き、商品を買って帰ってゆく。この設定は最近のアニメの銭天堂も一緒ですね、よくあるパターンなのかなと思います。

・リナのお父さんの知り合いは宿屋さんのおかみさん。リナは宿屋さんに滞在する。滞在中は、働かざる者食うべからずで、リナは全部のお店で臨時のアルバイトをする。その際、お店の困りごとが、リナの手助けで解決されていく。

・全てのお店のアルバイトを終えてしまうと、もう仕事がないから、帰されてしまう。アルバイトをしたお店からお土産を持たされる。宿屋のおかみからのお土産は、案内の傘で、それは次も来ていいよ、という証で、とても嬉しくなって帰路につく。

いくら食べても太らない美味しいお菓子っていう設定で、ぽっちゃりしたリナにはちょうど良いっていうエピソードがあって、小学生ながらにそういうお菓子すごく羨ましいなあと思った記憶がありますw

感想の雑感
・小学生が一人で旅をするワクワク感。私も小学生の頃、新幹線に乗って親戚の家に1人で泊りに行くのって大冒険でした。迎えてくれた大人たちは面倒だっただろうなあ、感謝しかないです。

・異世界の不思議な洋風の商店街にドキドキ。ハリーポッターのダイアゴン横丁のような感じかな。

・下記の点などを通した主人公の諸々の成長に関心。
宿屋さんの宿泊客や、各お店の店主との交流
働いて自分で食い扶持をかせぐこと
色んな人の果たしている役割に気づくこと

・小学生が大人の問題を解決するという全能感への憧れ。
きちがい横丁の大人たちはそれぞれ問題を抱えているわけですが、リナのサポートでそれが解決されていきます。そこからすごく達成感が伝わります。現実の世界では、普通の小学生がいくら頑張って気の利いたことをしても言っても、大人の複雑な根の深い問題を解決に導くなんてことは、あまり起こらないわけですが、それを解決しちゃうリナの姿に感化されちゃったりします。私の場合は、実際は、いくら頑張っても、「問題は全く解決してないけど、大人を仲裁しようとする子どもの気持ちに優しさを感じて嬉しくなった」、などという形で感謝されたりして、子どもの無力さの現実を学んでいくことになりましたw。

必要な時に迷い込んでみたいものです、などとそれっぽく文章を締めてみます。


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