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年度末に思い出す『数はいくらでももらいますよ案件』

4月1日、新年度の始まりですが毎年この季節に思い出す事がありまして…


そう某業界、いやいや本の業界です(今更隠してもとは思いますが)。

大きな取次さんは年度末の3月が当然決算月になります。

ちょうどタイミング良く(良いのかどうかは結果次第ですが)、新刊であったり定期刊行物の部数交渉で仕入れ担当さんに相談(正確にはお願いになります)にお邪魔したりすると、時々そこそこ売れてたり、ロングで売れてたりする商材があったりするんですよ。

そしてたまたまその話をする機会があるとしますよね、そうすると再配本と言って新刊ではなく売行き好調ということで、まとめて書店さんへ流してもらえることがありました。

まあ最近では殆ど無いんでしょうけどね(手数料払えばと何とかなるんかな?)と、それはそれとして。


たまたまそういう商材があったので、こちらとしてはゴールデンウィークに向けて書店さんに並べたい、売れるのもその頃からがベストシーズンでもあるし、実績もまずまず良いはずですよねと提案。

数字的にはそのジャンルではそこそこではなく、結構良い方だったんですが相談の結果…

『今月(3月中)に納品、そして3月中に書店さんへ届くようには出来ませんか?』という前向きに取れる返答が…。


それは問題無いですが、部数的にどのくらいかということ、そして4月になってから納品したい(在庫は有ったのでうが、タイミング考えて4月を希望)旨を伝えました。


そこに対しては…『難しいですか? 3月中ならばそちらの希望数で取りますよ』と担当さん…。


言い値で取ってもらえる…それって例えば1万とかでも? と思いつつ、販売エリアが限られる商材、しかもすぐ売れるのでは無くジワジワと減っていくので、在庫が薄いであったり、売れた実績のあるお店に撒いて欲しい…ところで、やはり4月にしたいと返答しました。


希望数などを伝えたところ、『3月はやはり無りですか? 3月だと倍の数量取りますよと』言ってもらったんですけど、結局まとまらずお話は無くなったんですよね。


今から思うともったいなかったかなと思いますが、当時から今ほどでは無いにしろ巡回先の書店さんで聞いていたのは、『3月は頼んでもいない商材が入ってくる』『やたら送品が多くて置く場所が無い』とか、『うちでは売れない商品が月末に入ってくる』とか…。

もったいなかったと思う反面、お願いしていたらどこに送られたか怪しいものですし、実売としてどのくらい反映されたのか…うん、やってみたら良かったかなとやはり思うけど、おそらく半分も売れずに返品だけが増えたのかもしれないなと。


結局、取次さんも書店さんにモノを送れば売上アップ、版元も取次さんに納品すれば売上アップ…、書店さんで1冊も売れてなくても…というところにその頃から疑問を持ち始め、3末にモノを押し付けられた書店さんからはいずれ返品増となり、その返品を埋め合わすためにまたたくさん送りつける…という結果が今の状況の要因の1つかなと思ってしまいます。

ホント、新刊でも既刊でも良いのですが注文もらって店頭に並んだ状態だけで、売れたとか完売したという版元が言うのはちょっと複雑です。

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