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営業の訪問先でここ数年に良く聞くようになったグチから考えること

私がこれまで従事した仕事の殆どの時間が出版業界。
全く別の業界、とっても小規模な地域の塾、文化教室の運営している事業所での事務職から、当時は求人雑誌だったのですが何となく見た出版社へ応募、そのままスムーズに採用していただいてから役20年近く勤務しましたが、無茶だとは思いつついろいろあり飛び出してみました。

少し後悔もありますが、今となってはどうしようもありませんし、現在は既に廃業状態なのでどちらが良かったのかは分かりません。

そんな異業種から未知の出版業界へ移った時の驚き、感心したこと、最近の状況などをテキストに残そうと思います。


最近良く聞く愚痴・・・給料がもう少し欲しいな


はい、こういった愚痴や不満、不平はどこの業界、どの企業でも聞こえてきます。
その中でも最近圧倒的に聞くのが、少ないよりも多い方が絶対に良いのが給料。

そんな愚痴に近い話を時々営業先の仲良くなった方から聞きます。
正社員さん、契約社員さん、パートさん、みなさんから。

給料が多い方が良いし、就業時間は極力短いと最高です・・・私もそう思いますが実際には無いですね。

ただ給料がもう少し欲しいという内訳は微妙に違っていて、パートさんだと『業務内容の質に対してもう少し欲しい』になりますし、契約社員さんだと『賞与や待遇が正社員と差が・・・』という気がします。
雇用形態が違うと、給与体系も違いますから当然と言えばそうなんですが。

正社員さんからは、『自分の担当しているジャンルがこの1年で、とても売上が伸びたにもかかわらず、全く評価されない』『むちゃくちゃ忙しいし、ある程度結果が出せているにもかかわらず、とても楽(に見える)な違う部門と同じ』・・・そんな感じです。

これは出版社でも同じだったりします。
大手(出版業界の大手とは、ホントに一握りの出版社だけです)以外の中小から零細出版社はだいたい同じかなと思っています(推測の域は出ませんが)。

例えばA、B、Cという雑誌を3点発行している出版社があって、そのうちAという雑誌が昨年より1.5倍の販売部数、広告も増えたとします。
当然社内会議などでその実績が伝わるわけですし、編集部門もそれを知ることになると、売上が増えているので当然期待はします。

が、ここで問題なのですが残りのB、Cが売り上げが伸び悩んでいたり、減ったりしていると、会社の実績としては昨対比100であったり、マイナスになることもあります。

その時にどうなるか・・・大手、いや大手でなくても規模の大きな出版社にいたことは無いので分かりませんが、業界の大多数を占める中小、零細出版社では頑張った雑誌Aのスタッフにも業績が悪いので云々、という事が会議などで伝えられ、それが数年繰り返すと当然モチベーションも保てず、やる気も失せてしまいます。

また書店でも同じようなことがあって、ここ数年のコミックの盛況ぶりでもわかりますが、他のジャンルよりも動きはとても良くて、コミックの担当さんが頑張って売場を作り、品ぞろえをコントロールし売り上げを伸ばしたものの、他の雑誌、書籍部門が全く振るわずとなってしまい、コミック担当さんに『お疲れさん』だけとか・・・。

コロナの影響で需要が増えたのもあるので、それで売上が伸びただけ・・・みたいな評価になれば時間内に仕事をどうこなすか・・・だけになって、それって売場の構成に影響が出て売上落すんですよね・・・。

だからといって上がったからと評価を上げて、ポンポン出したいところですが、ここ数年の紙媒体の衰退考えると出せないものは出せないんでしょうけど・・・。


とは言えそこじゃなくて、書店スタッフさんの本が好き、雑誌が好き、コミックが好き、本屋さんが好きであったり、出版社の営業担当の『本屋さんと一緒に売り場を作って達成感にやりがいを感じる』的なところも実際にあります。

私も自社商品だけ売り込むだけでは無く、同じジャンルの他社商品と並べてもらい商品の充実、適性冊数などを相談しつつ「売場を良くして、売上を伸ばしいく事で喜んでいただけたり、店長クラスの方からジャンルの商品構成、要・不要のチェックなどを頼まれたりして喜んで携わったりと…。

でもそういう動きは正直会社には言えなくて、『何故そういう他社のことまで見るのか』とか、『それは書店の仕事だ』とまで言われたことも。

それ言われたらもう黙っておくしかありませんよね・・・。

やりがい搾取な業界になりつつあるよ

これから出版業界へ向かいたい・・・そんな人はまだ多いと聞きます。
理由はそれこそ紙媒体が好き、本が好き、書店が好き、編集業務に就きたいから、実家が書店業であったり、将来独立してライター業などで自立したいという人も多いかと思います。

言えるのは電子書籍も伸び悩んでいる現状、本を売る場の書店はかなりの速度で減少、そしてネット書店での紙媒体もそろそろ止まるのか?という声もチラホラしている業界、そこに無料で読めるポータルサイト、メールマガジンにSNSで著者さんが自身で発信できるツールが増えている現状で、書籍、雑誌、ざっくり言って本という紙媒体で何が受け入れらて、どう需要があるのかを考え、その上で代金をいただく形態なので大変だと思います。

そんな厳しい状況の中、前述した

  • 本が好き

  • 紙媒体が好き

  • 本屋さんが好き

  • 一緒に売り場を作り、喜んだり達成感にやりがいを感じる

と言った事を表に出すと、それこそそのやる気で乗り切って、結果が出たら満足出来て良かったねで終わる『やりがい搾取』になってしまう気がしてならないんですよね。

これはダメだと思うんですよね~~


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