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臨床心理士による放課後等デイサービスへのコンサルテーション3

前回の続き


事業所の質を高めようという世の中の動きに合わせて、事業所のコンサルテーションに関する研究も増えてきている。

たとえば、小野里・丑越・南島(2015)では、幼稚園に出向き、保育士に対して10か月間、継続的にコンサルテーションを実施したという報告がなされている。

子どもの変化の捉え方や声かけのポイントなどについて、モデルを提示しながら教えていくことで、保育士と子どもの双方にポジティブな変化が見られたとのことであった。

同様の報告は複数存在するが、これらの研究で共通して挙げられている課題が2点ある。

ひとつは、専門家に対する依存の問題である。

専門家のコンサルテーションを受けて現状の問題が解決するという体験をくり返すことで、現場のスタッフは、「何か困ったことが起きたら専門家に答えを教えてもらえばいい」という考えに陥りやすくなる。

それは、自分たちで能動的に問題を解決しようという意欲を削いでしまうことになり、いつまでたっても問題解決の能力が身につかないまま、永続的にコンサルテーションを継続しなければならなくなってしまう。

もうひとつは、現場スタッフの自信の向上へのつながりにくさという問題である。

コンサルテーションの場では専門家からの助言がなされるが、それは一方では、自分のできなさや実力不足に直面させられるという側面も確かにある。

専門家からの助言をプラスに受け止められる人ばかりではない。

『専門家からの助言』というものそれ自体が含む『自分の実力不足への直面化』に敏感に反応する人もいる。

そうでなくても、いつまでも専門家の力を借りなければ子どもたちに対応できない現状があるとして、「自分の力で子どもたちに対応できた」という達成感を感じることができなければ、現場スタッフの自信の向上にはつながりにくいだろう。

コンサルテーション関連の研究が発展する中で、上記のような問題をふまえた実践もなされるようになった。


次回につづく

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