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臨床心理士による放課後等デイサービスへのコンサルテーション9

【対象児】
小学校2年生の男児。ASDとADHDの診断あり。コンサータ服用中。

【事業所が困っている対象児の行動】
奇声をあげたり、大声を出す

#7~#9「さらなる主体性の広がり~困りの顕在化」

この時から、スタッフが自分たちで考えて動き始めることが増えた。

事例検討会とは別の時間にもスタッフミーティングを定期的に行い、自分たちで工夫して支援方法を変更したり、環境を整えたりするような動きが出始めた。

また、本児の行動分析表を作成し、本児の行動の理由について詳細に検討するという新たな試みもスタートしていた。

さらに、臨床心理士のコンサルテーションに加え、姿勢の崩れについて作業療法士に、発音の不明瞭さについて言語聴覚士に学びたいという希望が挙がった。

そのようなスタッフの自発的な動きは、筆者としては良い変化として捉えていたが、スタッフの困り感は日に日に強くなっていった。

本児のことを理解しようと努力すればするほど、思うような変化が出ないことに落胆する、あるいは本児のことがよくわからなくなる、という思いが事例検討会の度に語られるようになった。

事例検討会が、スタッフの無力感を語る場となり、アプローチの効果を検証したり、新たなアプローチを考えるということが難しくなっていった。

これまでは、「アプローチの効果を検証→再アセスメント→新たなアプローチを考える」という枠組みの中で、自然と事例検討会が進んでいたが、話し合いがスムーズに進まなくなり、混乱の場となっていた。

そうなると、筆者としても、それが良い変化だと捉えることは難しくなった。

この流れをどうにかしなくてはという思いと、だけどどうにもできないという無力感を感じながらコンサルテーションは続いた。

#10~#11「枠を越える〜コンサルタントが現場に入る」

そんな中、10回目の事例検討会の中で、「先生(筆者)が支援をしているところを実際に見たい」という要望が上がる。

基本的なコンサルテーションのスタンスとしては、スタッフへの間接支援であり、子どもへの直接的な支援はしないという条件のもと支援に入っている。

非常に迷ったが、この悪い流れが打開できる一手になればと思い、スタッフとともに現場に入ることにした。

次回へつづく

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