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臨床心理士による放課後等デイサービスへのコンサルテーション1

問題と目的

平成17年に発達障害者支援法が施行され、平成24年に児童福祉法の一部が改正されて以降、世の中には発達障害ブームが訪れ、現在もその勢いはとどまるところを知らない。

発達障害に対する世の中の理解が広がるとともに、発達障害をもつ子どもに対する支援も充実してきている。

たとえば、障害をもつ子どもに発達支援を提供する障害児通所支援事業所(以下事業所という)の数は、右肩上がりで急激に増加している。

その背景には、保護者や子どものニーズの高まりはもちろん、国や市区町村等、行政機関からの補助や後押しも多分にある。

そのような背景の要因は様々あれど、量としては発達障害をもつ子どもへの支援が充実したと言えるだろう。

しかし一方で、各事業所の発達支援の質の確保の難しさという問題が浮上している。

事業所の質の問題はマスコミなどでも頻繁に取り上げられており、子どもの福祉を無視して利益の追求のみに邁進する事業所や、さらに悪質なところになると国や市区町村からの補助を不正に受給し業務停止となる事業所すらある。

すべてがそのような不誠実な事業所ばかりというわけではなく、中には意欲と志を持って障害児支援の世界に参入してくるものもある。

しかし、意欲と志はあっても、事業所の質をどのように高めていけばよいかという問題は、どの事業所にも共通している悩みの種である。

発達障害と一口に言っても、その特性は様々である。

同じ診断名でも子ども一人一人の特性や課題、困難さは千差万別なのである。

事業所のスタッフは、困難さを抱える子どもたちに障害児支援の専門家として柔軟に対応する必要があるわけだが、そのような高度な知識と技術を必要とする専門家がすぐに育つはずはなく、現場はその場しのぎの対応に追われている。

それぞれの特性に合わせた対応がなされず、傷ついてしまう子ども。

研修や育成が十分になされないまま、困難さを抱える子どもたちへの対応を求められるスタッフ。

スタッフも子どもも、お互いに上手くやれたという実感が持てない状況が続くと、スタッフも子どもも疲弊してしまう。

そしてスタッフは仕事を続けられなくなり、障害児支援の世界から離れてしまう。

スタッフが長続きせず激しく入れ替わるというそのような現状も、事業所全体としての質が高まりにくい一因となっている。

そのような現状を踏まえ、各事業所の支援の質の向上を目的とした動きが、各所で出始めている。


次回につづく

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