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キャッチャー流 苦手な人との関わり方

誰しもが自分とはソリの合わない、苦手な人は必ずいます。当然、僕にもそういったたぐいの人はこれまでの人生の中で、何人かと出会ってきました。苦手な人との関係を一番ラクにする方法は、その人と距離を置くと言うことなのです。これは誰しもが今すぐにでもできる、人間関係の究極の方法ですよね。
しかし、それはその苦手な人間との関係を切っても、あなたの人生に全く影響を及ばさない場合のみにしか使えません。その苦手な人が、会社の同僚や上司、取引先の顧客、家族や親族だった場合は特に、嫌でもその人との関係を続けなければならないときがあります。

「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」

かの有名な心理学者である、アドラーはこの世の真理をこのように定義しました。もしこの宇宙から自分以外の人が一人もいなくなったとしたら、一切の悩みも消え去るだろうと。

確かに、過去、現在の自分のあらゆる悩みを思い返してもても、その悩みの根底は人間関係にあることを一切否定出来ません。一見、対人関係に関係の無いような悩みにおいても、元の元をたどると必ず誰かしらの人が関係しています。

そして、人は他人を変えることは出来ません。苦手な人の愚痴を言って、その人の性格は決して変わることはありません。ましてや説教じみた言い草でその人の性格を治そうと思ってもそれはかえって逆効果になります。

しかしながら、他人を変えることは出来ませんが、自分が変わることは出来ます。自分の考え方や苦手な人との接し方次第で、苦手な人が苦手でなくなることができます。

今回は、そんな苦手な人との人間関係の攻略法を野球界の中間管理職と称されるキャッチャーの視点から、述べていきたいと思います。
キャッチャーというポジションは好き嫌い関係なく、すべてのピッチャーの性格や癖を考慮し理解した上で、その投手の最大限のパフォーマンスを引き出すことが仕事です。更に、監督、コーチなどのフロント側の意見も取り入れなければならず、まさに現場の声と、上の声(フロントや上司)の板挟みになっているのがキャッチャーです。そんな中間管理職的立場で、どちら側にも波風を立てず、双方が納得するような結果を出すことが求められます。キャッチャーとは、対人関係を円滑にすすめるプロフェッショナルでもあるのです。

ではどのように、キャッチャーはチーム内の対人関係を円滑に進めていくのか。その方法を3つ紹介します。

1つ目が苦手な人のカワイイ部分を見つける。2つ目が影でその人を褒める。3つ目が、嫌われる勇気を持つということです。

1. 苦手な人のカワイイ部分を見つける

キャッチャーというポジションは、投手の好き嫌い関係なく、その投手の気分を上げ、試合で彼らの最大限のポテンシャルを発揮させなければなりません。あのピッチャーはいいやつだからよく話すけど、あっちのピッチャーの性格は嫌いだからコミュニケーションは取らない、ではキャッチャー失格です。

どんなピッチャーにも対等に接して、ピッチャーのことをよく理解し信頼関係を結ばなければなりません。そのために一番大事なことは対話でありコミュニケーションを取ることです。

根本的に好きな人であれば自然に一緒にいる機会も増え、会話の量も一緒にいる時間に比例して増加します。そうすればまた自然に相手の性格を深く理解して、人間的にカワイイ部分を発見することになります。

ほとんどの人が経験があると思うのですが、相手のことを同性、異性関係なくかわいいと思えるようになるとそれは対人関係としてかなり強固なものとなります。いわゆる沼るという表現もされるほどで、その相手から離れられなくなるほどの効果をカワイイという感情は持っているのです。

基本的に嫌いな人はその人の嫌な部分しか見えません。その人の嫌な部分しか見ずに距離を置き、影でその人の悪口を言っているだけでは更に人間関係が悪化するだけです。

そこで、どのようにして、苦手な人のカワイイ部分を見つけて、その相手のことを少しでも好きになり、人間関係を構築していくのかを紹介して行きます。

質問を増やして相手にたくさん喋らせる

まず前提として、どんな人間でも自分のことを話すのが嫌いな人はまずいないということです。必ず人には承認欲求があり、自分のことを人に知ってもらいたい、自分のことを他人に話したい、認めてもらいたいと思っています。ここに性格は関係なく、本来人間が持っている本能といえるでしょう。その人間の本能の部分を質問によって刺激するのです。

特に、癖のある投手とコミュニケーションを取らなければならないときはとにかく質問攻めにして相手に喋らせます。野球のことだけでなく、相手の趣味や家族構成、好きな食べ物や休日は何をして過ごすかなどの雑談を通して相手の情報を丸裸にしていきます。

この質問攻めには2つのメリットがあります。まずひとつ目は、相手がとにかく気持ちよくなること。自分のことを興味をもって根堀葉掘り聞かれることで、相手の自己肯定感は勝手に上昇します。こんなにも自分に興味を持ってくれるんだ、こんなに自分の話を真剣に聞いてくれるなんてなんていい人なんだと相手に思わせることができます。

そして2つめのメリットが相手のカワイイ部分を発見することができるということです。相手への質問を多くしていると、相手のバックグラウンドがストーリーのように繋がって見えてきます。会話をする前は相手のことをほとんど知らず、得体のしれない相手として嫌っていた相手が、質問を通して、相手の人間味を引き出せれば、必ずカワイイ部分を発見してしまいます。例えば、相手の家族構成。気が短くいつもわがままに起こっている人が三人兄弟の末っ子だと分かれば、なんだか,あ〜〜しょうがないな笑と思えませんか?何を考えているかいまいちわからない不思議系の人が一人っ子だとわかると妙に納得して少し微笑ましくならないですか?

相手に質問をすることにより、より相手のことを詳しく知ることができます。これは、漫画やアニメで最初の頃はとても嫌なやつだったけれど話数を読み進めていくうちに、そのキャラクターの過去回想や、キャラクターのバックグラウンドを知ることでそのキャラクターのことが好きになるという現象に似ています。

ゲームをプレーしていると思って質問する

ただ、そもそも苦手な相手と話したくない、近づきたくないと思われる方も少なくないでしょう。その原因は、自分中心の主観的な考えを持って行動しているからです。自分が嫌だからイヤ。それでは小学生の持つ考えと同じです。大人であれば、その部分をクリアする達観した気持ちが必要になってきます。

では大人である私達はどのように、苦手な人と接していけばよいのか。その鍵は、会話のゲーミフィケーション化にあります。ゲーミフィケーションとは、その名の通り、自分の生活のあらゆる行動をゲーム化するという考え方です。

実際の方法はこんな感じです。ニガテな人=ロールプレイングゲームのキャラクターと置き換えます。ミッションとして、その人と会話を行い、相手を気持ちよくさせできるだけ多く相手の情報を引き出すというプレイを行います。そこでは選択肢(言葉のチョイス)があり成功すれば人間関係が円滑に進むという報酬を得られます。

これを何度か繰り返していくと、人間をタイプ別に分けることができるようになってきます。つまり、自分の中でテンプレートを作成できるののです。タイプAの人は、褒められると素直に喜ぶタイプだから惜しげもなく毎日一つなにかを褒めるようにする、だとかタイプBの人は疑り深い人だからその人には直接褒めず、第三者にその人の良いところを伝えて、間接的にその人に褒め言葉が伝わるようにするなどの配慮ができるようになります。このようにして、ニガテな相手との会話を増やし、コミュニケーションの量を増やしていきます。その中一つでも相手のカワイイ部分を見つることができれば、そのゲームはあなたの勝利です。人間関係を構築するための大事なワンステップをクリアしたことになります。

影でその人を褒める

陰口と聞くと、影である特定の人の悪口を言う。という印象があると思います。誰かの悪口を言うことでその場は盛り上がる可能性もありますし、自分の気持も一時はスッキリすると思います。しかし、影で誰かの悪口を言うことのデメリットの多さは数を尽きません。

まず、影でその人の悪口を言ったことは、確実に本人にそのことが伝わります。これはほとんどの人が経験したことのある真実です。悪口を聞かされた第三者は性格の良し悪しに関係なく、あなたから聞かされた悪口を違う誰かに伝えます。その連続でいいつかは必ずそのことが本人の耳に入るのです。そうなれば、相手は当然あなたのことをよく思いませんし、その人と良い人間関係を築くことは不可能に近くなります。

また、誰かの陰口を聞かされた第三者にも悪い影響を与えます。基本的に誰かの愚痴に付き合わされた人の気分はよくありません。ネガティブな内容の話しを聞かされて、聞いた側の気分も落ちるし、嫌な気持ちになります。あの人はいつも愚痴を言っていると周りに悪い噂を立てられる恐れもあります。

このようにデメリットしかない他人の悪口を誰かに向かって影で言うことは一切やめましょう。その代わり、その人に言っていた誰かの悪口は白紙の紙に書くようにしましょう。A4サイズの紙に自分の思いをめいいっぱい殴り書くのです。このストレス発散方法は科学的にも効果があると立証されている方法で、誰にも迷惑をかけずに、誰にも知られることなく、他人への思いを吐き出して、同時にスッキリすることができます。なので、人に悪口をぶつけるのではなく、紙に悪口をぶつけましょう。

ここまで、以下に人に悪口を影で言うことにデメリットがあるかを説いてきました。ここから本題に入ります。この陰口の特性である陰口は必ずその人に伝わるという事実を利用して、苦手な人とのコミュニケーションを円滑にしていきます。

相手を褒めるときは影で褒める

上記でも言及した通り、影で言った相手への悪口は必ずその相手に伝わります。ここではが逆にこの効果を存分に利用します。それは、距離を詰めたい相手のことを影で褒めるのです。自分のコミュニケーションのツールとして第三者に活躍してもらうのです。影で相手を褒めることには2つのメリットが存在します。一つ目は、その褒め言葉は必ず相手に真意として伝わること。影でその褒め言葉を聞かされた人も嫌な気持ちにならない。ということです。

1.確実に相手に真意として褒め言葉が伝わる

一つ目のメリットである褒め言葉が確実に真意として相手に伝わるということ。苦手な人に直接その人のことを褒めるということは難しいと感じる人も少なくないと思います。ぎこちない感じで、その人のことを直接褒めても、相手からはその違和感を感じ取られ、おべっかだと思われたり、嘘くさいと思われてしまいかねません。それではせっかく相手のことを褒めたのに骨折り損に終わってしまいます。

あなたにも経験があることと思いますが、直接人から何かを褒められて「ほんとかな〜?」と思うけど、その人ではない第三者から「〜さんがあなたのことを褒めていたよ」と言われると素直に嬉しくないですか?第三者からの伝達による褒め言葉は素直に受け取れるし、褒めてくれてた人もその第三者のことも好きになります。まさにwin-win-winの関係が影での褒め言葉によって築けるのです。

これらの特性を活かして、苦手な人のことを影で褒めましょう。その第三者が必ず、その人に、「〜さんが〜と褒めていましたよ」と確実に伝達してくれます。あなたの知らないところで、あなたの評価は確実に上がります。

2.褒めの陰口を聞かされた第三者も嬉しい気持ちになる

何度も繰り返しますが、影で誰かの悪口を聞かされた人の気分はよくありません。良くないどころかストレスになります。僕自身は誰かが、その人の悪口を僕に言って来たら、その場はなんとかなだめますが、それ以降はその人とは距離を置きます。だって、誰かの悪口を言っているということは自分の悪口を言っている可能性だってあるのだから、正直、その人のことが怖くなります。

逆に影で誰かのことを褒めている人のことはとても好きです。聞いているこちらもポジティブな気持ちになれるし、このひとは影で他人を褒められる人というポジティブなレッテルもはられます。そういう人とはまた会いたいと思えますよね。

嫌われる勇気を持つ


苦手な人とのコミュニケーションの方法3つ目が嫌われる勇気を持つということです。これまで紹介してきた方法がテクニカルなものに対して、この最後のメゾットはメンタル面であり、コミュニケーションを取るときの心の持ちようを深堀りしていきます。

苦手な人とコミュニケーションを取るときに1番やってはいけないことはその人に媚を売るということです。自分を蔑んで、相手の機嫌を取るようなコミュニケーションのとり方は自分が不幸になるだけです。人間関係は根本的には対等な関係であるべきですし、今の時代はそれが求められています。

そこで相手とのコミュニケーションを取るときの心持ちとして必要なのが嫌われる勇気を持つということです。ここでは、嫌われる勇気とはについて、抽象度を上げて、記していきたいと思います。

嫌われる勇気とは、相手に好意は示すが、媚は売らない他人に期待しないこと、他人に見返りを求めないということを示します。

相手に好意は示しても、媚は売らない

上記で示したテクニックを使えば、基本的にどんな人のカワイい部分を発見することができます。そうすれば、本当の意味で相手に好意を持つことができます。媚を売ると好意を持つの最大の違いは、媚を売っているという状態は本当は自分は相手のことが好きではないが、仕方がなく他人に好意的に接しているという状態を指します。心がこもっていない上辺の態度は他人に見透かされますし、何より自分自身に過大なストレスがのしかかります。

他人に期待しない、他人に見返りを求めない

好意を示すとは、「私はあなたのことが好きですよ」というオーラを出しながら相手に接すること。このオーラを出している限り、相手に警戒されることはありません。その好意的オーラを出せてるだけで、自分は偉いと思ってください。客観的に見れば、その状況はあなたが能動的に他人とコミュニケーションを図ろうとしているように写ります。その時点でミッションはコンプリートです。相手の反応が悪くても気にする必要はありません。相手が子供なだけです。ムスッとした態度でかわいいなぁくらいに思えばいいのです。こっちが好意的にしているのだから相手も好意的なるべきというのは欲張り過ぎです。極論、自分だけが相手のことを好きでいればいいのです。相手から好かれる必要はありません。


終わりに

これらの苦手な人とのコミュニケーションとその時の心の持ち方は、キャッチャーとして多くのプレイヤーと関わっていく中で培ってきたものです。コミュニケーションに関しても、基本手にはハックの方法があり、それらをきちんとこなしていれば、自分のマインドも安定して他者と関わることができます。

苦手な人相手でも自分の気持一つ、行動一つで結果を変えられることができます。所詮は人と人の関係なので、気張らずにゲームをする感覚で色々な人とのコミュニケーションを楽しんでみてください。











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