あがり直前でふりだしに戻るマスを踏んだ 〜転職軸がブレた女が迷走している記録
2023年5月に、新卒で入った会社を退職した。
10年勤めた。
これまでの継続最長記録、年中から中3までやった公文式とトップタイである。
何故辞めたのかと言うと、体調を崩したからだ。
仕事を続けられなくなった。
身体とともに心も不調だった当時の私は、自己否定が激しかった。
あの時の振る舞いが間違っていたのか、あそこであのように言わなければこんなことにならなかったのではないか。
自分の言動に全ての責を求めた。抱えきれないのに。
そうするとどうなるか。
考えすぎた挙句、脳がオーバーヒートして思考が停止したのだ。
「お腹減った」「トイレ行きたい」等の欲求が起こらないので、目が覚めてもずっとベッドで横になったまま1日の大半を過ごす。
マズローの5段階欲求の最下段である生理的欲求にすら鈍感になるのだ。
それでも、同居している夫を心配させたくはなかったので、夫が仕事から帰ってくる頃には無理してでも起き上がり、一緒にご飯を食べる。
もし一人暮らしだったならば、より「無」の時間が増え、もっと悪い方へはまっていったのではないかと思う。
家族ではあるが、毎日人との関わりを持っていたこと、また体調不良の原因である仕事から離れたことで、自己否定は少しずつ緩和されてきた。
あまり気力エネルギーを消費せずご飯を食べたり、トイレに行ったりと、マズロー欲求の最下段が再構築された。
崩れる時は上からで、立て直す時は下からなんだなと、至極当然なことを思った。
![](https://assets.st-note.com/img/1707465288147-WDkAUGgOsN.jpg?width=800)
そうなると、今まで「無」で過ごしていた時間を「有」の時間にしたいと思い始めた。
ただ、外出等のアクティブなことはできない。
家でできることとして、部屋の片付けを始めた。住まいを快適にしよう。
ピラミッドでいう階層2つ目の安全欲求の表れだろう。
今の家は家事動線が悪い。特に洗濯。
カーテンレールに干している。しかも窓の高さ2.2mなのでかけにくい。
一つの窓が洗濯物でいっぱいになると、別室のカーテンレールにかける。
そのうえ、夫と私の服はそれぞれ別室に置いてあり、洗濯〜服を畳んで仕舞うまであちこち部屋を移動する。
非効率に輪をかけて非効率。非効率の二乗。
よし、何とかしてやろうじゃないの。
Instagramで家事・収納アイディアをサーチし、必要なアイテムを選定。
外に買い物に行くほどの体力はないので、物の調達は主に楽天。
お買い物マラソンやスーパーセール期間で購入すると、いつもより楽天ポイントが貰える。
買えば買うほどポイントが貯まる錬金術にハマった。
ポイントが欲しくて収納アイテムを買う、買うと使わなければならない、使うために部屋を片付ける。
洗濯物は日当たりの良い部屋に室内物干しを設置、その部屋に私と夫のワードローブや衣装ケースを置いた。
干してそのまま仕舞えるように一箇所に集約したおかげで、洗濯動線がだいぶ改善された。
そんなこんなで、部屋が片付いた頃には体調も回復し、問題なく外出できるようになっていた。
そろそろ働くかと、第三段階の社会的欲求に差し掛かった。
退職して5ヶ月、やっと転職活動がスタートした。
自己分析、キャリアの棚卸し、履歴書、職務経歴書、エージェント面談、求人探し、書類応募、面接と、初めての転職で数々のクエストに苦戦しながらも、エージェントの方に頼りながら何とかクリアしていく。
お見送りの方が多かったが、少ない通過を手繰り寄せて繋ぎ、12月下旬にはいよいよ内定目前という佳境を迎えた。
志望度の高い企業から就労条件のオファーをいただいたのだ。
サイコロをあと1回ふればあがれる…!
しかし、私はあがれなかった。
理由は一つ。
年収が前職より40%下がるからだ。
職種未経験と見なされ、求人票の想定年収の下限よりも若干低い。
主観では、前職でも多少の経験があり、全くの0ではないと思っていた。
業界は同じだし、未経験扱いにはならないだろうと思っていた。
…甘かった。
自分では経験を積んでいると思っていたことが、相手はキャリアとして見てくれない。
40%ダウン、未経験、下限以下となると、自分のキャリアは他所で通用しないのではと、ショックは小さくはなかった。
が、仕方ない、この会社では私のことを未経験とみなすのだ。
その会社の考えだ。
会社の数だけ給与基準がある。
ただ、私にはこの条件は飲めない。
年収の点以外は魅力的だったが、辞退しよう。
……ん?
辞退するのか?私
転職活動を始める際、私は自己分析シートを活用して転職軸を決めていた。
そこから導き出した転職軸は「これまでのキャリアを活かし、新しい価値を提供する企画を通して社会貢献することで、自分の仕事にやりがいと意味を見出し、自己実現する」という大層なものだった。
また、次の仕事では体に負担をかけすぎないよう「通勤30分以内」「残業20h未満」「年間休日120日以上」「リモートワーク可」の希望のうち、どれか2つを満たす仕事と決めていた。
仕事の内容と、ワークライフバランスの取れた働き方。
これが私の転職軸だった。
年収はこだわっていなかったのだ。
そして、今回オファーいただいた内容は、この転職軸に当てはまっていた。
それなのに私は辞退しようとしている。
転職軸を決める時、お給料にはこだわらないと思ったではないか。
そうだ、辞退することはない、有り難くオファーを受けるべきだ。
でも40%ダウンするんだぜ…?
年の瀬も迫った時期だったため、返事は年明けでも構わないと言われていたので、年末年始の間中悩ませてもらった。
最終的に、私はオファーをお断りした。
どうしても提示された年収での勤務が受け入れられなかった。
こちらの件をお断りした頃、他で行っていた全ての選考が終了した。
ふりだしに戻るマスを踏んでしまった。
かくして転職軸がブレた上に、持ち駒がなくなった私は、転職活動をやり直すことになった。
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