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”母は強し"を体現したような主人公に心癒される『ステージ・マザー』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:10/40
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が好きなら楽しめるかも】

ヒューマンドラマ
LGBTQ+
ゲイバー
ドラァグクイーン
下ネタ

【あらすじ】

サンフランシスコにある世界有数のLGBTQ+コミュニティの拠点、カストロ・ストリート。

ある夜、ドラァグクイーンのショーを披露するゲイバー、パンドラ・ボックスでショーが行われる中、バーのオーナーでドラァグクイーンのリッキー(エルドン・シール)は、薬物の過剰摂取で倒れ、息を引き取る。

保守的なテキサスの田舎町でその報せを受けた彼の母メイベリン(ジャッキー・ウィーヴァー)は、疎遠だった息子の死にショックを受け、夫の反対を押し切り、サンフランシスコでの葬儀に参加。

ところが、葬儀は華やかなミュージカル調で、信仰心の厚いクリスチャンかつ教会の聖歌隊の一員でもある彼女には耐え難いものだった。

翌日、彼女はリッキーのパートナーでバーの共同経営者のネイサン(エイドリアン・グレニアー)を訪ねたものの、門前払いに。失意の彼女の前に、リッキーの親友でシングルマザーのシエナ(ルーシー・リュー)が現れ、彼女の計らいでネイサンとの間を取り持ってもらう。

すると、リッキーが遺言を遺さずに他界したため、バーの経営権は母親のメイベリンが相続することになっていたことや、バーが破綻寸前の危機にあることがわかる。

彼女は困惑しながらも、シエナの家に居候し、息子の遺したゲイバーの経営を始めることに。

【感想】

これはいい映画でした。まさにハートフル感動コメディ。亡くなった親の後を子供が引き継ぐ話はよくありますけど、これは逆なんですよね。息子に先立たれた母親が、彼の持つゲイバーを立て直すために奔走するっていう形だったので。

主人公を演じるのはジャッキー・ウィーヴァー。2019年に『チア・アップ!』で、平均年齢72歳のチア・リーディングのメンバーを務めたのが記憶に新しいですね。

この映画では、聖歌隊の指揮者というお堅い生活から一変、ゲイバーの立て直しだけでなく、メンバーの取りまとめも行うというギャップが面白かったです。

持ち前の行動力で新しいショーを提案し、店のレイアウトを変え、ホテルでの宣伝を許可してもらうなど、70歳を過ぎたおばあちゃんとは思えないバイタリティの強さにびっくりです。

おそらく、息子と向き合わないまま、二度と会えなくなってしまったことに対する贖罪でもあったのかもしれないなーと思いますね。普通は、いきなりそんな夜の世界に飛び込んで一肌脱ぐなんて、かなりの労力を必要とするし、めんどくさいしで、なかなかできることではないだろうから。彼女の原動力は、やはり愛する息子を喜ばせたいという想いがあるんだと感じました。

そんなメイベリンが、だんだんみんなの母親のような存在に変わっていくところも感慨深いんですよ。最初は亡くなったリッキーの母親でしかなかったのに、みんなの世話をしていくうちにみんなも彼女を頼り、“母”という存在の大きさを存分に感じられますから。まあ、メイベリンからしたらまわりはみんな息子みたいなものでしょうから、接し方も普通にお母さんと同じになりますよね(笑)

でも、そんな彼女の姿を見たからこそ、息子をわかろうとしなかった夫に対し、「家族を支えるのは指輪じゃない、度胸よ」と言い放つシーンはかっこよかったです。

また、さすがハリウッドはショービズの本場というだけあって、パフォーマンスの音楽も衣装もきらびやかさも圧倒的で、特にラストシーンの粋な演出も胸アツでした。

そんな感動的なお話ではあるんですが、舞台がゲイバーというだけあって、ちょいちょい出る下ネタがいいスパイスになってるんですよね。“ヘアリー・ポッター”とかメッチャ吹きましたwww

それにしても、ルーシー・リューとか久しぶりに観た気がしますね。『チャーリーズ・エンジェル』(2000)のときからほぼ変わってないことに驚きです。


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