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言葉と画の美しさに魅了されながら泣くこと以外の選択肢を許されなかった『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』

【基本情報】

製作年:2020年
製作国:日本
 配給:松竹

【個人的順位】

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:9/150
 ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★
    映像:★★★★★
    音楽:★★★★★

【あらすじ】

手紙の代筆業に従事するヴァイオレット・エヴァーガーデン。幼い頃から兵士として戦い、心を育む機会が与えられなかった彼女は、大切な上官であるギルベルト・ブーゲンビリアが残した言葉が理解できなかった。

「心から、愛してる」

戦争が終結して数年。新しい技術の開発によって生活は変わり、人々は前を向いて進んでいこうとしていた。しかし、ヴァイオレットはどこかでギルベルトが生きていることを信じ続けていた。

ある日、彼の兄・ディートフリート大佐と鉢合わせる。ディートフリートは、ギルベルトのことはもう忘れるべきだと訴えるが、ヴァイオレットはまっすぐ答えるだけだった。

「忘れることは、できません」

そんなとき、ヴァイオレットへ依頼の電話がかかってくる。依頼人はユリスという少年。

そして、郵便社の倉庫で1通の宛先不明の手紙が見つかり、物語は思いがけない展開へと繋がっていく。

【感想】

本日早朝に『鬼滅の刃』を観て、今日1日分の涙を使い果たしたと思ったのですが、この作品でも泣きまくってしまい、今月分の涙が枯れてしまいました。。。ああ、よき。。。よき。。。

さて、本作は2018年にテレビアニメとして放送されていたのですが、個人的に好みのジャンルでもなかったので、特に観ていなかったんですよね。そもそも社会人になってからアニメ自体そんなに観ませんし。

でも、今回新しく劇場版が公開されるってことで、映画好きとしては観ておこうと思い、まずは予習も兼ねてネトフリで観てみたのですが、、、もう涙の嵐。・゜・(ノД`)・゜・。結局、全エピソードの半分は泣いた気がします。たった23分でそこまで勘定を揺さぶるってすごくないですか。。。

おおざっぱな流れとしては、戦時中に兵士として育てられ、愛を知らずにいた少女・ヴァイオレット・エヴァーガーデンが、手紙の代筆業を通じて人のぬくもりを知っていく話なんですが、今回の映画に関しては本当にずるいところがあって(笑)

それは、テレビアニメ版で僕が一番泣いたエピソードに紐づけた形でスタートするんですよ。もう開始後5分で涙が止まらなくなって。。。。・゜・(ノД`)・゜・。この時点で「ああ、良作。。。よき。。。」と思ってしまいました(笑)

その後もユリスのエピソードやギルベルトのエピソードなど、涙を流す以外の選択肢を与えてくれない2時間が続いたんだよ。

自分が好きでないジャンルでここまで感動させるなんてそんなにないと思うので、そういう意味でもこの映画すごいなって思うんですけど、ストーリー的にテレビアニメ版を観ているのと観ていないのとでは感動に雲泥の差があると思いますので、もしこれから映画を観られる方は、ぜひ先にテレビアニメ版を観ることをオススメします!とはいえ、もう公開から1ヶ月経つので、上映期間も残り少ないかもしれませんが。。。

で、この映画で一番推したいのは、感動的なストーリーはもちろんのこと、言葉と画の凄まじいほどの美しさなんですよ。

手紙の代筆業に従事する人たちを“自動手記人形”と呼んでいるのですが、彼女たちの仕事は依頼人の言葉をそのまま文字起こしするのではなく、行間から読み取れることも自分で感じ取って書くことが求められます。

兵士としてしか生きてこなかったヴァイオレットは、当初そこが全然ダメで、まったく空気が読めずに依頼人を怒らせることばかりたでした。

それから、多くの代筆をこなし、たくさんの失敗を重ねながら、少佐の残した「愛している」を知るために彼女なりに一生懸命に生きるところがまた胸を打つポイントでもあるんですけど、その結果、国内有数の自動手記人形にまで成長するんですよね。「よきドールとは、人が話している言葉の中から伝えたい本当の心をすくい上げるもの」という教えをまさに体現したわけです。だから、セリフに関しては美しい文章がたくさん出てきて、本当に耳にいい作品だったと思う。

そして、画の美しさ。人物を始め、街並み、自然の風景、光の当たり方など、すべてが水彩画のごとく鮮やかで、アニメを観ているだけなのに美術館にいるかのような感覚さえ持ちます。この画だけでも一見の価値があるってぐらい、本当に目の保養になるかのようでした。

言葉と画に魅了されながら、涙があふれ出るアニメとこの歳になって出会えるなんて幸せです。


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