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娘への異常なまでの母親の愛が衝撃と恐怖を生み出す『RUN/ラン』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:22/118
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】

スリラー
サイコパス
歪んだ母親の愛
毒親

【あらすじ】

郊外の一軒家で暮らすクロエ(キーラ・アレン)は、生まれつき慢性の病気を患い、車椅子生活を余儀なくされている。しかし、常に前向きで好奇心旺盛な彼女は、地元の大学進学を望み自立しようとしていた。

そんなある日、クロエは自分の体調や食事を管理し、進学の夢も後押ししてくれている母親ダイアン(サラ・ポールソン)に不信感を抱き始める。

ダイアンが新しい薬と称して差し出す緑のカプセル。クロエの懸命の調査により、それは決して人間が服用してはならない薬だった。

なぜ最愛の娘に嘘をつき、危険な薬を飲ませるのか。そこには恐ろしい真実が隠されていた。

ついにクロエは母親から逃れようと脱出を試みるが……。

【感想】

全編PC画面で進んでいく『search/サーチ』の監督と製作チームが放つサイコ・スリラー。予告やあらすじからわかる通り、母親がやべえです。。。毒親を通り越してサイコパス。。。

<母と子の映画の中でもかなりショッキング>

母と子を扱ったスリラーな映画といえば、パッと思いつくのは『パニック・ルーム』、『フライト・プラン』、『ルーム』あたりですが、いずれも親子いっしょに絶望的な状況に追いやられているのと、きちんと母親が子供を守ろうとしているところは共通していますよね。

ところが、今作は母親の一方的な愛によって苦しめられている娘という設定なので、上記3本とはまったく異なる話になっています。

<選択肢が少ない娘がどうするのかが常に気になる>

話自体はシンプルではあるものの、ラストが近づくに連れて、だんだん真実が明らかになっていく過程がハラハラして面白い映画でした。スリラー系の映画って大体そうだとは思うですが、今作では娘のクロエの置かれた絶望的な状況に注目です。

母親に違和感を抱く娘。
外との限られた連絡手段。
与えられていないスマホ。
リビングにしかないパソコン。
近くに頼れる人がいない孤立感。
そして、自由の利かない体。

この状況でクロエがどういう行動を取るのかが、常に興味深かったです。

<キャストの演技も必見>

この映画でいいのはストーリーや設定だけじゃないんです。母娘共にキャストの演技もすごくて、、、!娘に異常な愛を注ぐ母親の執念から生まれる怖さ。そんな母親から逃げるため、動かない体にムチを打つ娘の必死さ。あの「絶対にここは譲れない」と言わんばかりのお互いの表情と、声を荒げるシーンは、我を忘れてるんじゃないかってぐらいの力の入りようで、観ているこっちも圧倒されます。

特に、娘のクロエを演じたキーラ・アレンは実生活でも車椅子を使っているようで、車椅子の扱いがお手の物。ドリフトさばきもバッチリ決まってました。

<ぜひ映画館で観て欲しい>

ネタバレしたら終わりなので、内容には触れられませんが、これは映画館で観てこそですよ。この絶望的な状況とスリリングな展開は大きなスクリーンで観て欲しいってのもありますけど、BGMも無駄に怖さを煽ってきてメチャクチャビビりますから!ホラー嫌いの僕には心臓に悪かったです(笑)また、尺が90分と他の映画と比べても短いので、あっという間なのもよきポイント。

<その他>

ちなみに、アメリカではコロナ禍のため、昨年11月にHuluでの配信がスタートしたらしいんですが、配信初週における最高視聴者数の記録を更新したらしいですよ。つまり、それぐらい人々の興味関心を引くってことですね!


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