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曲の誕生よりも人間関係の方がまだ面白い『剣の舞 我が心の旋律』

【基本情報】

 原題:Tanets s sablyami
 英題:Sabre Dance
製作年:2019年
製作国:ロシア・アルメニア合作
 配給:アルバトロス・フィルム

【個人的順位】

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:116/118
 ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★☆☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】

第二次世界大戦下、キーロフ記念レニングラード国立オペラ・バレエ劇場は、モロトフ(現在のペルミ)に疎開していた。
寒さと食糧不足に悩まされながら、団員たちは12月9日に初演を迎えるバレエ『ガイーヌ』のプレミアに向けて練習を続けている。

しかし、作曲家のアラム・ハチャトゥリアン(アンバルツム・カバニャン)は苛立っていた。振付師のニーナ・アニシモワ(インナ・ステパーノバ)から連日のように変更が伝えられ、修正に追われていたからだ。

そんな中、文化省のプシュコフ(アレクサンドル・クズネツォフ)が上演前の検閲にやって来た。彼にはある目的があり、ソリストのサーシャ(ベロニカ・クズネツォーバ)やサックス奏者のアルカジーを使ってアラムの動向を探らせる。

実はアラムとプシュコフは同じ師のもとで音楽を学んだ仲間だった。しかし、プシュコフがアラムに暴言を吐いたことで絶縁したのだ。

プレミアまで1週間。プシュコフは完成した『ガイーヌ』の結末を変更した上に、新しい踊りを追加せよと命じる。誰もが不可能と訴えるが、アラムは作曲家人生を懸けて理不尽な挑発に立ち向かう。

【感想】

世界屈指の演奏回数を誇る劇楽曲『剣の舞』の誕生秘話。バレエや演劇をまったく観ない僕でも知っているぐらいの名曲ですね。

『剣の舞』は『ガイーヌ』というバレエ作品の最終幕で使われる楽曲なんですが、アラムが『ガイーヌ』を制作した当初はこの音楽はなかったみたいなんです。急遽最後にシーンが追加されて、そこに合う曲を作れということで、プレッシャーに苛まれながら8時間で作り上げたというのがこの曲が生まれたいきさつ。

映画では、かつてアラムが妻子を置いてきた(ここらへんの背景は不明)後、汽車に揺られてその元を離れるんですが、そのときの汽車と線路の音が頭をぐるぐる回りだし、やがてそれがリズムに変わっていって、気づいたときには、『剣の舞』が完成しているんです。

なので、その曲を生み出す苦悩や努力のシーンはまったくなくて、単にかつての思い出とひらめきでササッと出来上がってしまったことから、「だいぶあっさりしてんなー」っていうのが正直な感想です(笑)

だから、この映画は『剣の舞』の誕生秘話(もはや秘話と呼べるほどの魅力はない気もしますがw)よりも、登場人物の関係性を見た方がまだ楽しめるかもしれません。

プシュコフとアラムの因縁、アラムに想いを寄せるサーシャ、サーシャに惚れているアルカジーなど、人間ドラマ的に面白くなりそうな要素が多いですからね。

しかし、、、残念、、、!アラムとプシュコフの関係性はクローズアップされるものの、あんまりバチバチした感じはなく、また、サーシャやアルカジーを含めた色恋沙汰もほぼ深堀りされないので、人間ドラマに着目しろと言っても物足りなさはあるんですよね。。。

以上を踏まえると、個人的には総じて刺さりませんでした。。。設定はよかったし、見ごたえありそうな要素も含んでいるんですけど、よくも悪くもアラムの仕事ぶりのみにフォーカスされて、肝心の『剣の舞』もササッと出来上がってしまったので、物語のクライマックスがどこかわからなかったんですよ。。。

ロシアやアルメニアの人、そこらへんの歴史的事情に精通している人ならもっと楽しめるのかもしれませんが。。。


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