見出し画像

帰ってアルバムを開きたくなる『PLAY 25年分のラストシーン』

【基本情報】

 原題:Play
製作年:2019年
製作国:フランス
 配給:シンカ、アニモプロデュース

【個人的順位】

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:38/164
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★★☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】

1993年、パリ。両親からビデオカメラを贈られた13歳のマックス(マックス・ブーブリル)は、家族や友人たちとの日々を撮り始める。いつしかそれは彼のライフワークになり、25年の歳月が大量のテープに保存されていった。

2018年、38歳になったマックスは、ある日、撮りためたビデオを映像作品に仕上げようと思い立ち、テープの整理を始める。そこには、エマ(アリス・イザーズ)と初めて会った日のこと、やんちゃした夜遊び、初めてのバルセロナ旅行、フランスサッカーW杯でのお祭り騒ぎ、手痛い失恋など、マックスといつもいっしょだった仲間たちのすべてが記録されていた。

素直になれず、大切なものを手放してしまったマックスは、新たに自分の「映画」のラストシーンを準備する。

【感想】

全編ホームビデオで撮ったかのような演出なんだけど、これは個人的にわかりみが深い映画でした。なぜなら、僕も一時期ビデオカメラで友達の様子を撮りまくっていたことがあったので。

まあ、この映画のように"映画のために撮られた映像"ではなく、僕の場合は写真撮る代わりに動画にしたっていうぐらいで、くだらない飲み会の風景ばかりしかないため、何の作品にもなり得ませんけどwww

本作は、基本は主人公がまわしているビデオの映像を観ることになるので、大雑把に言ってしまえば、「知らない人の内輪レベルの日常を見せられてる」って感覚になるんですよ。これだけ聞くと、そんなの誰が観たい?って思うんですが、それでもハマってしまうのには理由があります。

もちろん商業用の映画ですからね、きちんと人物にもフォーカスしていますし、「なぜそこを撮るのか」っていうのが考えられた構成になっているっていうのもあります。でも、それ以上に、この映画にはひとつの軸があるので、そこへの興味が鑑賞モチベーションにつながるんですよ。

それが、マックスとエマの恋路。

13歳で知り合ってから実に25年。いつもいっしょにいる気の置けない仲間。
お互い意識し合っているのに、気恥ずかしくて一歩踏み出せない。この時点ですでにもどかしいんですが、こういうときって大体男が照れ隠しで余計なこと言うじゃないですか。マックスもそんな感じだから、二人の距離は平行線のまま大人になって、、、「あーもうバカぁ!」って言いたくなる展開になります。もう、ここのもどかしさときたら、一昔前のトレンディドラマを観ているときぐらいのインパクトでしたよ。

だから、他人の日常を見せられている形ではあるんですが、その中にある甘酸っぱいラブストーリーを追っていくっていうのが、この映画のポイントですね。そのラブストーリー自体はオーソドックスな流れではあるんですが、ホームビデオ仕立ての演出によってさらに身近に感じるというか、没入感が強まるので、それだけで感情移入しやすくなるなって感じました。

それに加えて、主人公たちが僕と同年代なので、今30歳~40歳ぐらいの人なら、流れている音楽や各種イベントが身近に感じられる分、より自分事として捉えられるかもしれません。

さっきの『彼女は夢で踊る』のように、この映画も過去を振り返る系の映画ではあるんですが、ちゃんと未来へつながる話になっているので、こっちの方が観ていて楽しいです。40歳近くなって、ちょっと昔を思い出したいな
ってときに観るにはちょうどいい映画だと思いました。

まあ、僕からしたらビデオカメラ撮ってたってところですでに共感度が高いんだけど、その観点から言うと、撮られていることを嫌がる人がほとんどいないってのがいいんですよね。

普通だったら、場合によっては「撮ってんじゃねー!」って怒られそうなときってあると思います。でも、ここでは飲みすぎてトイレでゲロ吐いてても、行為の後のベッドの上でも、「なんで撮ってんだよー」とは言うものの、大体は「記念だから」で片付いてしまうんですよ。しかも、ビデオカメラ向けられても普通にしてますしね。映画だからそりゃそうだろって話ではあるんですが、普通は撮られることを嫌がったり、仮にOKだとしても、動画の前だと何を話していいかわからず、止まってしまう人もいるので(僕も被写体だとそうなりますが)、こうやってきちんとビデオカメラの前で動けるってちょっとうらやましいなって思いました。これはフランス映画ですが、フランスってビデオカメラ撮られることに慣れているんですかね。外人さんの方がそういうの得意そうなイメージはありますが(笑)

あとすごいなと思ったのが、メインキャストって年代に応じて同じ役で3人ずつ起用されているんだけど、みんな見た目が近しいですよ。ポスターの写真見ればわかると思うんですけど、パッと見で、誰が誰の成長した姿かすぐわかるっていう。自分がアジア人だから、単に欧米人の見分けがつかないだけなのかもしれませんが、それにしても似てると思いましたね。

しかも、みんな同級生の役なのに、最後の年代の役者さんって最大で16歳も歳の差があるんですよ。エマ役のアリス・イザーズとマリック役のマチアスで。でも、向こうの人って若くても大人っぽく見えるから全然違和感がないっていう(『35歳の少女』だと、柴咲コウと坂口健太郎で同級生役ってのはちょっと難しい気もするので、それと比べてもすごいなってw)。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?