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シルバー世代の一途な恋心『43年後のアイ・ラヴ・ユー』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:5/8
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が好きなら楽しめるかも】

ラブストーリー
感動
アルツハイマー
忘れらない恋
シルバー世代の恋

【あらすじ】

70歳のクロード(ブルース・ダーン)は妻を亡くし、LA郊外に1人で住む元演劇評論家。近所に住む親友のシェーン(ブライアン・コックス)と老後を謳歌していた。

ある日、昔の恋人で人気舞台女優のリリィ(カロリーヌ・シロル)がアルツハイマーを患わせて施設に入ったことを知る。もう一度リリィに会いたいと願ったクロードは、なんとアルツハイマーの"フリ"をして、リリィと同じ施設に入居するという一世一代の"嘘"を思いつく。

シェーンの協力のもと、遂にリリィと念願の再会を果たしたクロード。だが、リリィの記憶からクロードは完全に消し去られていた。

そんなリリィに、クロードは毎日のように2人の想い出を優しく語りかける。しかし、なかなかリリィの記憶は戻らない。

そんなとき、昔リリィが演じたシェイクスピアの『冬物語』を施設で観劇することになり、クロードは孫娘といっしょにある作戦を実行する。

【感想】

2021年の初泣き映画でした。。。おじいちゃんの一途な恋心がたまりません。全然泣くところじゃない場面でも、設定だけで泣いちゃうぐらいには歳を取りました。。。(笑)

この映画、めずらしいなって思ったのが過去の同様の映画と逆なんですよ、流れが。アルツハイマーや認知症を扱った映画って、洋画・邦画問わずたくさん作られていますけど、その多くは「だんだん忘れていく」パターンなんですよね(少なくとも僕がこれまで観たことある作品はそうでした)。

ところが、今回の映画はその逆で「記憶の呼び戻し」がストーリーの主軸になっていて、どうやって思い出させるかというのがポイントなんです。まあ、現実問題として、記憶喪失とかではなくアルツハイマーの状態から記憶が元に戻るのかどうかっていうのは正直わかりません。でも、その設定の正しさはどうでもよくて、かつて愛して愛して愛した人を43年経っても忘れず、ウソをついてまで側にいて、彼女との思い出を語る主人公の健気な姿がロマンチックで泣けるんですよ。。。

とはいえ、尺が短いんです、この映画。89分しかないので。もちろん、それはそれで観やすくていいんですよ?ただ、個人的にはちょっとあっさりした印象を受けたので、あと10分ぐらい延ばして、クロードのウソが発覚するシーンや、その後のリリィとの交流を描いてもよかったかなーって思いました。

あと思ったのが、この映画、シルバー世代だからいいのかもしれませんね。同じことを若者~中年ぐらいがやっても「未練がましい」としか感じなかった気がします。その未練がましさも、おじいちゃんおばあちゃんになってまで続くと、一気にロマンチックへと昇華するんじゃないでしょうか。

その裏には、「シルバー世代ってこうだよね」という固定観念がまだ自分の中にあるからかもしれません。おじいちゃんおばあちゃんって、散歩したり、縁側でお茶すすったり、、、ってだいぶイメージ古いですけど、本当につい最近までそういうイメージしかなかったんですよ。そこまで活発じゃなくて。

でも、ニュースとか見ていると、逆にお年寄りの方が元気なんじゃないかって思いますよね。アプリ作ったり、スポーツで記録出したり。だからこそ、ギャップが作りやすくて物語にしやすいんだと思うんです。「え、おじいちゃんおばあちゃんなのにこんなことしちゃうの?!」っていう。だから、これまで普通に若者~中年までがやっていたことを、そのままシルバー世代に変えるだけで、これまで使い古された設定でももうひとまわり楽しめそうだなって思いました。社会も高齢化になっていくし、寿命も伸びるし、シルバー世代の映画は今後も増えるでしょうね。

ちなみに、主人公のクロードを演じたブルース・ダーンは、女優ローラ・ダーンの父親です。『スター・ウィーズ/最後のジェダイ』のホルド中将や、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の四姉妹の母親役が直近では有名ですね。


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