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純愛のラブストーリーの後にやってくる恐怖のサスペンス『砕け散るところを見せてあげる』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:31/80
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】

ラブストーリー
サスペンス
いじめ
サイコパス

【あらすじ】

平凡な日々を送る濱田清澄(中川大志)はある日、学年一の嫌われ者と呼ばれる孤独な少女・蔵本玻璃(石井杏奈)に出会う。玻璃は救いの手を差し伸べてくれる清澄に徐々に心を開くようになるが、彼女には誰にも言えない秘密があった…。

その秘密に気づき始めた清澄に<恐るべき危険>が迫り、友人の田丸(井之脇海)や尾崎姉妹(松井愛莉、清原果耶)も心配する中、物語は予測できない衝撃の展開を見せていく。

この物語は、ラブストーリーなのか、サスペンスなのか…。

【感想】

原作の小説は読んでいませんが、前後半でまったく異なる雰囲気が非常に印象に残る映画でした。

<『タイタニック』を思わせる構成>

この映画、前半は純愛ラブストーリーなんですけど、後半は恐怖に背筋が凍るサスペンスになるんですよ。そういう点で『タイタニック』に近いかなって思いました。あれも前半と後半でガラッとジャンルが変わりますから。まあ、『タイタニック』は純愛→パニックですけど。その前後半で180度方向性が変わる構成に驚きます。

<恋されてしまうほどには、いじめられていてもかわいい玻璃>

清澄は、見るに堪えないひどいいじめを受けている玻璃に心奪われます。
正直、映画を観る限りでは、顔意外で好きになる要素はあんまり見当たらないんですよね。しかも、あれだけいじめを受けているポジションの子に惹かれるっていうのは、相当の「かわいいは正義」だったんだと思います。現実ではなかなかないと思いますから。

ただ、仲良くなってみると、よくしゃべるし、礼儀正しいし、内面的にも惹かれていくのはわかります。さらに、ちょっと不思議ちゃんだったり、何か秘密を抱えていそうな影を感じる部分もまた、放っておけないポイントなのかもしれません。

<株が爆上がる主人公>

そんな子を全力で愛し、守ろうとする清澄ってかっこよくないですか。いじめられている子を救い、癒し、しかも愛することってなかなかできることじゃないですよね。中川大志って、ちょっと前までは、よくある高校生キラキラ青春恋愛映画の常連で、この映画もその延長かなと思っていたので、この映画での彼の役どころに、顔だけじゃなくて心もイケメンだなって感じました。

<そして始まる恐怖の後半戦>

前半は上記で書いたように、メチャクチャ甘酸っぱい青春純愛物語なんですよ。それが、後半戦は一気に地獄に突き落とされたかのような恐怖の始まりです。“ある人”のサイコパスな演技に圧倒されました。。。ただ、ひとつ気になることが合って。動機が語られないんですよ。だから、流れとしてはちょっと不親切というか、「なんで?」っていう疑問は残りますね。ただの変態ってことなのか、それともちゃんとした背景があるのに映画では描かれなかったのか、そこはわかりませんでした。

<テーマは永久に続く不変の愛>

その一件を踏まえた上で、清澄と玻璃のその後が描かれていくんですが、これがまた時空を超えた大きな愛っていうスケールの大きさなんですよ。正直、そこはちょっと追いつけなかったというか、やや概念的な話になって来るので、しっくり来ない部分もあったんですけど、永遠に続く人の想いというものに心温まりました。

<一味違うラブストーリーとしては面白い>

あと、この映画では"UFO"という言葉が出てきます。おそらく、嫌なことや触れたくないことを、まるっと請け負う概念的なものとして使われているんでしょう。ただ、その時々で指しているものが若干違うっぽいので、ちょっとわかりづらいんですよね。そういう引っ掛かるところはあるにせよ、純愛からのサスペンスという180度異なる展開は面白かったし、よくあるラブストーリーとは一線を画した世界観は好きでした。

それにしても、矢田亜希子が高校生の子供を持つ母親の役とは。。。時代は流れてますね。。。


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