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韓国映画にしてはめずらしい淡々さと黙々さがあった『野球少女』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:24/43
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【以下の要素が好きなら楽しめるかも】

韓国映画
ヒューマンドラマ
スポーツ
野球

【あらすじ】

青春の日々をすべて野球に捧げ、〈天才野球少女〉と称えられてきたチュ・スイン(イ・ジュヨン)。高校卒業を控えたスインは、プロ野球選手になる夢を叶えようとするが、〈女子〉という理由でテストさえ受けさせてもらえない。母や友だち、野球部の監督からも、夢をあきらめて現実を見るようにと忠告されてしまう。

「私にもわからないらない私の未来が、なぜ他人にわかるのか」。

自分を信じて突き進むスインの姿に、新しく就任したコーチ、チェ・ジンテ(イ・ジュニョク)が心を動かされる。同じくプロになる夢に破れたジンテは、スインをスカウトの目に留まらせるための作戦を練り、特訓を開始する。

次々と立ちふさがる壁を乗り越えたスインは、遂にテストを受けるチャンスを掴むのだが──。

【感想】

日本でも大人気の『梨泰院クラス』(僕はまだ観てませんがw)のイ・ジュヨン主演で、実在した韓国の女性野球選手をモデルにした映画です。

これ、2つの点でちょっとめずらしいなと思いました。まず、スポーツモノってところです。日本で公開される韓国映画の多くは、アクションかラブストーリーですよね。それがまさかの野球ですよ。最初、邦画かと思いましたもん。

もうひとつ、これが大きいんですが、メッチャ淡々としてるんですよね。アクション映画のように派手なバトルも、恋愛映画のように振り切ったキャラクターもいない。ただひたすら、スインが野球のトレーニングを積み重ねる日々なんですよ。

逆にそこが、個人的にはハマるところだったんですけどね。野球が題材となってはいるものの、よくあるような仲間との協調性やチームプレーの大切さなんて一切ないので。

あくまでも、スインがプロになるまでの過程で感じた悔しさや理不尽さに苛まれながらも、やれることをひたすらやるという、その一点のみ。それこそが、野球という集団競技の中で"個を描く"という新しい切り口になっているんじゃないかなって思いました。むしろ、陸上や水泳などの個人競技を経験した人の方が、この黙々とやる感じは共感しやすいかもしれません。

話の方向性としては、「努力は報われる」っていう形ではあるんですけど、決して変に綺麗事だけが並べてあるだけじゃないのも特徴的です。「これ、夢破れる話なのかな。。。」って思っちゃうぐらいに辛く厳しい現実を突きつけられるんですよ。だからこそ、決してあきらめずにただ前だけを見つめて進んでいくスインの姿に引き込まれるのかもしれません。

野球をやっている人からしたら、男子と女子が同じ土俵で戦うこと自体に
現実離れしていると感じるかもしれません。でも、その中で夢を叶えようと他のことには目もくれず、主人公が黙々とやれることをやり続けるというのは、これまで観てきた韓国映画とはずいぶん違う雰囲気だなと感じました。

ちなみに、主人公のモデル自体は実在しているそうですが、その人は自身の実力が認められる形で、男子と共に公式戦に出たわけではなく、大人の事情で出ただけとのことなので、この映画まんまっていうわけではなさそうです。


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