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夢と事業とチームビルディングを掛け合わせた『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:1/4👑
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【以下の要素が好きなら楽しめるかも】

ヒューマンドラマ
実話ベース
インド映画
ビジネス
宇宙事業
チームビルディング

【あらすじ】

2010年、インドの宇宙事業の命運をかけたロケットの打上げが失敗に終わり、プロジェクト責任者のタラ(ヴィディヤ・バラン)とラケーシュ(アクシャイ・クマール)は、誰もが実現不可能と考える火星探査プロジェクトに異動させられる。

主婦でもあるタラは家庭料理など家事から閃いたアイデアで、小さなロケットでも探査機を火星に送る方法を思いつき、低予算ながらプロジェクトが始動する。

しかし、花形の月探査プロジェクトに比べれば陰の存在であるプロジェクトにチームとして集められたスタッフは、トップクラスとは言えない、経験の浅い、いわば二軍の寄せ集め。

初めはバラバラのチームだったが、女性たちの節約アイデアで、わずかな予算でも火星打上げを成功に導くため、チームは結束し奮闘する。

そして、2013年、彼らのアイデアと努力が詰まった火星探査機「マンガルヤーン」が火星へと打上げられた。

【感想】

これ、すごく面白いのでオススメです。崖っぷちチームの下剋上ストーリーみたいで、ボリウッドらしい陽気な音楽と共に進んでいく感動作でした。百発百中とは言えませんが、やっぱりインド映画って面白いものが多いですね。

今回、他のインド映画と比べると、歌とダンスはほとんどありませんが、尺は短めで観やすいです。その中で、「夢」を主軸に、主婦の家庭の節約術を組み込みながら、事業継続とチームビルディングに突き進む話は、リアルとファンタジーのバランスがよくて最高でした。

ところで、宇宙関連の映画だとハリウッドの十八番みたいな気がしませんか?ロシアに追いつき追い越せ的な内容がよく知られるところだと思いますが、本作はインドの宇宙開発事業で、実話をベースにしたお話です。正直、インドがここまで宇宙開発事業に乗り出していると知らなかったので、それだけで新鮮な感じがしますね。

会社として期待されていない部署に集まる二軍のメンバーたちが成果を残す展開はいつ見ても感動的で面白いから好きなんですけど、今回はトップに理解があったというのは大きいかなーって思います。

そもそも優先順位の低かった火星探索にGOが出たのは、最優先だった月面探索が凍結したって事情もありますが、主人公のケーシュが「夢は眠っている間に見るものではなく、眠れさせなくなるものだ」と火星探索への情熱をあきらめずにぶつけ続けたからです。それが、かつてお金がなくとも工夫してロケットの打ち上げに邁進したトップに、若き日の自身の姿を思い出させたことも関係してくるんですよ。

また、タラとその他メンバーたちの仕事への向き合い方の差を描いたのもリアルでしたね。彼女は働き詰めでも厭わないけど、他のメンバーはそうもいかないんです。みんなそれぞれの予定があって、定時になったら帰ってしまいます。「キミにとって火星は夢だけど、他の人にとっては仕事なんだ。まずはその意識を変えないと」とラケーシュに諭されるシーンは印象的でした。ここは、自分で事業をしている方からしたら、自身の経験と重なる部分もあるのではないでしょうか。

他のメンバーたちの説得シーンは、科学者だからこそやりやすかったってのはあるかもしれません。なぜなら、自分の研究したいことがあって科学者になっているから、他の一般企業と比べたら「なりたくてなったわけではない」というスタンスの人は少ない分、意識改革しやすい側面はあるかと。いえ、僕は科学者でもなんでもないので、あくまでもイメージですけどね。

ただ、こういうビジネスチックな映画が現実と一番乖離しているのはまさにそういうところで、フィクションの世界は、夢や希望など人の感情に訴えかけるだけで物事が進むことが多いですが、現実だとそうもいかなかったりするから歯がゆいことは多いですよね。結局は「数字がすべて」っていう風潮はありますし。もちろん、それも大事なんですけどね(笑)

実話ベースの映画って淡々と進むことが多いですが、これはテンポもいいし、音楽もいいし、ハッピーな気分になれるので、年の始めにはうってつけの映画です。『パッドマン 5億人の女性を救った男』が好きな人は楽しめると思いますよ!


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