見出し画像

16歳でロック誌の辛口批評家となった少女の痛快な若気の至り映画『ビルド・ア・ガール』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:186/221
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】

コメディ
青春
ロック
ファック
下ネタ

【元になった出来事や原作・過去作など】

・小説(半自伝的小説)
 キャトリン・モラン『女の子をつくる方法』(原題:How To Build a Girl)

【あらすじ】

1993年、イギリス郊外に家族7人で暮らすジョアンナ(ビーニー・フェルドスタイン)は、底なしの想像力と文才に長けた16歳の高校生。貧しくも優しい両親や兄弟に囲まれているが、学校では冴えない人扱い。あふれる表現欲求や自己実現を持て余して、悶々とした日々を送っている。

そんな環境を変えたい彼女は、音楽マニアの兄クリッシー(ローリー・キナストン)の勧めで、大手音楽情報誌「D&ME」のライターに応募。単身で大都会ロンドンへ乗り込み、仕事を手に入れることに成功する。大切な髪を赤く染め、奇抜でセクシーなファッションに身を包んだジョアンナは“ドリー・ワイルド”へと生まれ変わり、ロックの世界に引き込まれていく。

音楽ライターとしてその才能を開花させ、人気者となったジョアンナだったが、インタビュー取材で出会ったロック・スターのジョン・カイト(アルフィー・アレン)に夢中になってしまい、冷静な記事を書けずに大失敗。「生き残りたいなら、すべて蹴散らせ!」という編集部のアドバイスにより“いい子”を捨て、“嫌われ者”の辛口批評家として再び音楽業界に返り咲くジョアンナ。過激な毒舌記事を書きまくる“ドリー・ワイルド”の人気が爆発する。

地位と名声、お金も手に入れるが、しかし彼女はだんだん自分の心を見失っていき……。

【感想】

パワフルで痛快な青春映画でした!老若男女問わず楽しめる内容ですが、特に若い子に向いてるかもしれないなーと思いました。

<舞台は1993年だけど、現代にも通じる内容とは>

ジョアンナは文才に恵まれていました。それだけで、何も持たない僕からしたらうらやましい限りですが、そのおかげで彼女はトントン拍子で有名になっていきます。気づけば、家族の誰よりも稼ぐようになり、家賃もジョアンナが支払うことに。ファンもつき、街を歩けばサインを求められることも。16歳でこの境地に達しちゃうんですよね。しかも、仕事で絡むのはロックバンドの人たち。生き方が振り切ってるロックな人たちですよ。そりゃもういろいろ勘違いしちゃう要因は揃ってますよね。でもこれ、今の世の中、SNSで一気に有名になってしまうと、同じ状況になりかねませんよね。そういう点で、今にも通じる何かがあるんじゃないかなと思いました。

<自分の身の丈に合ったことを>

途中、ジョアンナは失敗を挽回すべく、辛口批評家に方向転換します。ただ、書いている内容はただの悪口でした(笑)瞬間的に目立ちはすれど、所詮はあぶく銭のようなもの。彼女の本質が変わったわけではなく、レベルアップしたわけでもありません。それでも有名になっていくことで、彼女はだんだん横柄になっていきます。そんな姿に家族も辟易。D&MEの編集部のメンバーでさえも、彼女の才能は認めているものの、基本は子ども扱い。ひとりの人間として向き合っているわけではないんです。

自分のポジションをようやく理解した彼女は、より自分のキャラクターを活かした方向へと歩み始めます。「道を間違えたと思ったら、やり直せばいい」。彼女の出した結論はとてもシンプルでした。

<洋画らしいストレートなセリフが痛快>

この映画、まんますぎるメッセージがわかりやすくて気軽に観れる映画ですが、個人的に推したいのは、ドストレートなセリフの数々ですね。それが最高におかしくて!日本みたいにオブラートに包まないのがいいんですよね。16歳の女の子なのに、「彼氏欲しい」なんて言いません。「セックスしてぇ」って。男子高校生かって(笑)そんな感じでハリウッド映画らしく下ネタ全開で、どんどんビッチになっていく彼女の溢れんばかりの若さと自己顕示欲の強さがおかしかったです(笑)ぶっ飛んでいるっていうか、日本じゃコソコソ話すようなことをオープンに言っちゃうのが洋画の好きなところ。

<その他>

邦画でも青春映画は数あれど、そのほとんどがキラキラしたプラトニックな恋愛映画ですよね。こういう下ネタを連発したりとか、"自分の見つけ方"を模索するエンパワーメント的なのはあんまり見ません。最近は女性が主人公の映画やドラマも出てきましたが、苦悩や葛藤が多く、明るいハッピーな「女子って最高!」みたいな映画は見かけませんねぇ。そういうのは日本じゃ受け入れられづらいのでしょうか。

まあ何にせよ、後先考えずに突っ走るティーンエイジャーの生き様は、観ているだけで元気がもらえるのでオススメです!

あと、終盤でちょっとしか映りませんが、エマ・トンプソンがイケメンです(笑)


この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?