見出し画像

ストーリーは重いけど色と音で魅せるアートな映画『WAVES/ウェイブス』

【基本情報】

 原題:Waves
製作年:2019年
製作国:アメリカ
⠀ 配給:ファントム・フィルム

【個人的順位】

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:53/88
⠀ ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★★☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】

高校生のタイラー(ケルヴィン・ハリソン・Jr)は、成績優秀かつレスリング部のスター選手で、さらには美しい恋人アレクシス(アレクサ・デミー)もいる。厳格な父親にきつく育てられながらも、裕福な家庭で何不自由ない生活を送っていた。

ところが、ある日肩の負傷が発覚し、医師から選手生命の危機を告げられてしまう。失意のどん底にある中で、さらには恋人の妊娠まで判明。まだ高校生なのに育てられる自信も覚悟もなく、どんどんストレスが溜まっていくテイラー。

自暴自棄になった彼は、ついに家族を巻き込んだ悲劇を引き起こしてしまう。

一年後、兄のせいで心を閉ざしてしまった妹エミリー(テイラー・ラッセル)の前に、すべての事情を知りつつ好意を寄せるルーク(ルーカス・ヘッジズ)が現れる。

彼の優しさに触れるうちに、次第に心を開いていくエミリー。
やがて二人は恋に落ちるが、実はルークも心に大きな傷を抱えていたことがわかる。

そして、二人はある行動に出ることを決断する。

【感想】

「プレイリスト・ムービー」と言われるほど、様々な音楽と共に話が進んでいく今作。全体を通じてセリフが少ないのも特徴で、綺麗な色彩とシーンに合った音楽はアートっぽい感じで、まさに「見せる」映画という印象でした。

だから、好き嫌いは分かれるかもしれませんね。ブロックバスター系の映画が好きな僕からしたら、世間の高評価ほどの感動はあまり感じませんでした。。。

ストーリー自体けっこう重いのですが、実は主人公と父親の関係など、監督が実際に体験したことも含まれているらしいです。これらが現実にあったと考えると、またちょっと見方が変わりますね。

物語は2部構成で前半は兄、後半は妹の話となっています。
とにかく兄はハイスペで、家は金持ち、成績優秀、レスリング部のエース、
綺麗な彼女持ち、高校生でこれだけそろえば完全に勝ち組でしょう。

そんな彼が一気にどん底に落ちてしまうのですが、1ミリも「ざまあみやがれ」とは思えないんですよ。それは、彼自信が調子に乗ったいけ好かないやつではなく、根は至って真面目というのもあるんですが、父親が毒親すぎて同情してしまうからなんです。

父親は自分の手ひとつで成功した経験があるからか、息子にも「おまえもできるだろう、もっとがんばれ」とかなりハードな要求を繰り返し、ちょっとでも息子の態度が悪いと、「おまえ、この家は誰が仕切ってるのかわかってているのか?」と脅す勢い。

そんな父親の過度な要求に必死に応え続けてきたわけだから、肩が故障したなんて言えやしないし、そんなときに彼女の妊娠が発覚するもんだから、高校生には耐えがたい現実ですよね。。。

どんどん余裕がなくなって、彼女にも辛く当たってしまい、それでまた自暴自棄になっていく。。。負の連鎖です。

そして、怒ってしまった悲劇。日本だったら連日ワイドショーを賑わす内容ですね。もちろん、タイラーが悪いのですが、、、その背景には父親との関係があると思っているので、彼には深い悲しみと大きな同情しかなかったです。

後半の妹の話はその逆で、ルークと出会うことで、どん底から徐々に人生に光が見えて来る展開です。

お互いに心の傷を見せ合うことで仲が深まって行くのを見ていると、人間はプラスの共有よりマイナスの共有の方が親密になりやすいのかなと思いました。

エンタメ寄りの映画というよりは、芸術寄りの映画という印象なので、そういうのが好きな人ならハマるかもしれませんが、この映画の雰囲気やタイラーの置かれた状況や起こした行動など、意見は分かれる映画かなと思いました。

【その他】

公式サイトを見ると、テイラー・ラッセルの紹介に、「本作で共演したルーカス・ヘッジズと交際中」って書いてあるんですが、サイトにそんなこと書く?!ってちょっとびっくりします(笑)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?