二重三重にも楽しめる『アルキメデスの大戦』

2019年公開映画116本中22位。

原作は読んでいないけど、想像以上の面白さだった。
まさに超数学エンターテインメント!
これから、数学科だった人みんな
「アルキメデスのパイセン」って呼びたいぐらい、
数学を駆使して突き進む過程がかっこよかったね。

まず、冒頭の戦争シーンがすんごい迫力で。
邦画の戦争モノで、ここまで迫力あったの初めてかも
っていうぐらい、CGのクオリティが高い。
普段からハリウッド映画のVFXを見慣れている身からしても、
あの戦闘機の爆撃や戦艦からの砲撃など、
あらゆるシーンに息を飲んだ。
さすが、白組出身の山崎貴監督だな~と。

さて、話としては、帝大数学科出身の菅田将暉が、
数学を駆使して戦争を止めようとするもの。

なんだけど、元を辿れば、
海軍内で新しい戦艦建造の話が持ち上がる中、
山本五十六演じる舘ひろしが「これからは航空機の時代だ!」
と空母建設を主張し、軍内で対立が起こったのが始まりなんだよね。

そこで、戦艦建造を主張する橋爪功らの見積もりが
あまりにも安すぎるってんで、
それが正しいかどうかを調べろと白羽の矢が立ったのが、
数学会において100年に1人の逸材と言われた菅田将暉。

軍は機密事項が多くて、相手の情報が何もわからない。
とはいえ、何もしないわけにはいかないから、
とにかくやれることを見つけてひたすら行動。

実際に別の戦艦に乗って、自ら巻尺で寸法を測って、
素人ながらもそれを設計図に書き起こしたり。
民間の協力者を得て、材料費や人件費を計算したり。
2週間という限られた時間の中で、
「小さなことを全力でやるんだ」というセリフがね、
まさに世の働く人々に共感されやすいんじゃないかなと思った。
何事も、小さなことから、やれることからやるしかないからね。

予告では、「戦艦大和の欠陥を数式で解き明かす」とか言ってたけど、
その前段として相手側の見積もりの妥当性の検証から始まり、
その後もまさかの展開が待ち構えていて、二重三重と楽しめる構成でした。

最初は「軍人なんか大嫌いだ」と豪語していた菅田将暉だけど、
これから戦争が起こるかもしれないという状況を見て、
日本の未来を見据えて、アメリカの大学に行くのを辞め、
軍人となる決断が僕からしたらすごい行動力だなと思った。

自分だったら、「いやいや、そうは言っても戦争なんて起こらないでしょ」
と楽天的に考えて、アメリカの大学に行ってたね。
物語の設定は1933年で、欧米列強との対立を深めていたような時代だから、
「戦争が起こるかもしれない」ということに対する危機感は、
現代の人々以上に強いということもあったとは思うけど。

ちなみに、僕はもう昔から算数・数学がダメダメだったので、
劇中のように難しい数式をスラスラ書けて、
どやっとできる人に憧れがある(笑)

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