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現代経済への警笛『21世紀の資本』

【基本情報】

 原題:Capital in the Twenty-First Century
製作年:2019年
製作国:フランス・ニュージーランド合作
 配給:アンプラグド

【個人的順位】

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:37/57
⠀ ⠀ 社会勉強🧐:★★★★☆
わかりやすさ😊:★★★★☆

ようやく都内でも映画館の営業再開が始まり、2ヶ月ぶりの新作映画は、あの大ベストセラー『21世紀の資本』の映画版です(ちなみに本は読んでませんw)。まあ、映画というより、もはや経済の授業みたいな感じでした。

【どんな映画?】

本の内容としては、労働者がどんなにがんばって賃金を得ても、金持ちたちが資産運用で得られるお金の方がはるかに大きいから、このままだと金持ちは金持ちのまま、貧乏は貧乏のままという格差が埋まることはありません。だから、金持ちの資産に税金かけて、庶民に分配しようぜってことです。

本は700ページを超えるらしいのですが、それをギュッと103分に収めてます。事前知識が必要かなと思い、でも本を読むのはちょっと辛いなあ、、、と思ったいたので、サラタメさんのYouTubeで要約だけ観てから臨むことに。これオススメです。

【感想】

本は何やら小難しそうですが、この映画はそんなことは一切ありません。
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という数式すらも出てこないので。

本を読んだ人は復習の意味で、まだ読んでない人はこれを機にぜひ観ていただきたい映画でした。

トム・ピケティ氏の主張をかっさらうだけなら、サラタメさんのYouTubeだけでもいいのですが、映画の方がより突っ込んだ内容になっています。映画では、17世紀あたりのイギリス、フランス、アメリカの経済事情から始まり、トム・ピケティ氏だけでなく、いろんな経済学者へのインタビューを元に構成されていて、かつ当時の各国の社会情勢をイメージしやすい映画(『プライドと偏見』や『オリバー・ツイスト』など)の映像も交えているからとても観やすいのです。

19世期のイギリスでは上位1%の富裕層が国の70%の富を有していたというから、富の集中度合いのハンパなさに驚きますね。とはいえ、ちょっと前にも大富豪62人が全世界の半分の富を持つと何かで見たので、まさに金持ちは金持ちのままだなと(笑)

僕個人はお金というものにあまり興味がないので、彼らのことを勝手に「十老頭」や「王下七武海」みたいなもんだろうなと中二発想で楽しんでいましたが、彼らからしたらそういう既得権益はなかなか手放したくないよなあと思います。よほど「この社会をよくしよう」と思っている人でないと富の再分配には興味を持たなそう(それが、長い目で見て社会全体の崩壊を招くとしても)。

ここは、富裕層が自主的に動くように啓蒙を継続するか、国として強制的に法案を作らないといけないんですかね。。。

また、本筋とはあまり関係ないところになってしまうんですが、個人的に面白いなと感じたところは、あるゲームで参加者を金持ちと貧乏人に分けて、
金持ちにはスタート時にお金をたんまり渡し、ゲーム中の収入も貧乏人の2倍という設定でプレイさせたら、何百ケース観察しても、金持ちプレイヤーの言動が徐々に横柄になっていき、貧乏人プレイヤーをバカにするような発言をするようになったというところです。

しかも、やってることは両者共に、ただダイスを振るだけ。なのに、金持ちプレイヤーはすべて自分の実力だと思い込むようになったのだとか。これ、実際に貧乏な人を金持ちプレイヤーとして遊ばせてもこうなったそう。

あー、こういうところからマウンティングや差別が始まるんだろうなあと思いましたね。。。(笑)

話としては規模が大きすぎて、ちっぽけな僕には何をどうするかなんてことまでは考えが及ばないですが、あくまでも人としての人生を考えるならば、
「超富裕層に、俺はなる!」なんて本気で思わない限り、自分の好きなことを大切にして、小さな感動を大切にするのが精神衛生の観点からもいいのかな、と。ありきたりですが。

とはいえ、富裕層だろうがなんだろうが、100年経てばみんな等しく死ぬんですけどね!それだけは、それだけが、何もしなくても唯一自然と与えられた平等。


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