見出し画像

日本版よりも感動した『チィファの手紙』

【基本情報】

 原題:你好,之华
 英題:Last Letter
製作年:2018年
製作国:中国
 配給:クロックワークス

【個人的順位】

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:36/146
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】

姉、チィナンが亡くなった。妹のチィファ(ジョウ・シュン)は、姉宛に届いた同窓会に出かけ、そのことを伝えようとするも、姉に間違えられた上にスピーチまでするハメに。

同窓会には、チィファが憧れていたイン・チャン(チン・ハオ)も来ていた。チャンは途中で帰ったチィファを追いかけ、呼び止める。

チャンがチィナンに恋していたことを知っていたチィファは姉のフリを続けた。連絡先を交換するが、チャンが送ったメッセージをチィファの夫ウェンタオ(ドゥー・ジアン)が目撃。「この男はなんだ!」と激昂し、チィファのスマホは破壊されてしまう。

仕方なくチィファは、チャンに住所を明かさないまま、一方通行の手紙を送ることに。かくして始まった「文通」は、思いもかけない出来事を巻き起こす。

【感想】

本作は2020年1月17日に公開された岩井俊二監督の『ラストレター』の中国版です。でも、これが作られたのは『ラストレター』よりも前の2018年なので、実際はこの映画が第1弾みたいな感じですかね。

内容としては、文通を通じて、過去の思い出に浸りつつ、いまだ残る想いを抱えながら、最愛の人の死と向き合うというもので、設定に多少の違いはありますが、日本版とほぼ同じです。ところが、個人的には中国版の方が格段に面白く、感動して涙が出るほどでした。特に、チャンがチィナンに線香をあげるシーンは、彼の涙にもらい泣きしましたね。。。

正直、日本版はそこまで面白いと思わなくて。。。なので、どうだろうなあって思ってたのですが、これは観てよかった映画でした。

日本版よりも中国版が面白かった理由はいくつかあります。まず、日本版を観ていてストーリーがわかっているので、中国版の方がよりじっくり観れました。

次に、中国版の方がテンポがいいと感じました。必要なシーンが凝縮されていて、話に集中しやすかった気がします。

そして、中国版の方がキャラクターの感情がよく出てるんですよ。これは、日本人と中国人の違いかもしれませんが、みんな感情表現が豊かなんですよ。先にも書きましたが、終盤でチャンがチィナンに線香をあげるシーンがあるんですが、彼、メッチャ涙流してるんですよね。だから、余計に感情移入しやすかったです。日本版だと福山雅治はそんなそぶりなかったので。

あと、これは監督もおっしゃっていましたが、ローカライズがうまくいったってのも大きいと思います。回想シーンの1988年って、日本版だと現代との差がわかりづらい上に、キャストがかぶってる(広瀬すずと森七菜は少女時代もやり、成長した彼女らの娘役もやっているため)から時間軸の変化を感じづらいんです。

それに対して、中国版はかなり時代背景を意識していたようで。中国における地方の1988年は日本とはかなり違っているそうで、風景がかなり昔を思わせる感じになっていたんですよ。その時代の差が時間軸の変化を顕著にさせて、より物語に緩急がついたように思います。

他にも、登場人物の会話には細心の注意を払い、中国人にとって違和感のない形に仕上げるほどの徹底ぶりだったようで、こういうこだわりの差が、日本版よりも面白く、感動する要因へと繋がっていったんじゃないかと思いました。

ただ、結局わからなかったのは、チャンは途中で手紙を2通もらうことになる(チィファからのものと、チィナンの娘のムームーたちからのもの)のですが、そこで「何で2通あるんだ?」と深掘りしないんですよね。これは日本版でもそうなんですが、真相を聞こうと思わなかったんですかね(笑)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?