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緊張感溢れる裁判シーンが凄まじい『私は確信する』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:9/34
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が好きなら楽しめるかも】

ヒューマンドラマ
実話ベース
法廷モノ
無実の証明

【あらすじ】

2000年2月、フランス南西部トゥールーズ。38歳の女性スザンヌ・ヴィギエが3人の子供を残して忽然と姿を消した。

夫・ジャック(ローラン・リュカ)に殺人容疑がかけられるが、明確な動機がなく、決め手となる証拠は見つからない。ジャックは第一審で無罪となるがすぐさま検察に控訴され、翌年の第二審で、再び殺人罪を問う裁判が行われる。

無実を確信するシングルマザーのノラ(マリーナ・フォイス)は、敏腕弁護士デュポン=モレッティ(オリヴィエ・グルメ)に弁護を懇願。自らも助手となり250時間の電話記録を調べるうちに、新たな真実と疑惑に気がつく…。

【感想】

実話ベースの濃厚な裁判映画でした。僕、裁判員の経験があるんですけど、
当時のことを思い出しながら観れたので、とても身近に感じられる内容です。いや、だからこそより一層面白く感じられたのかもしれません。

さて、この映画、内容はけっこうエグくてですね、妻の失踪から夫に殺人容疑がかけられるんですよ。まあ疑わしきは身近な人っていうのもあるんでしょうが、一審で無罪判決が出たのに検察が控訴したんですよ。よほど検察は有罪たる証拠をつかんでいたんでしょうね。

でも、話を聞いてみると、物証は乏しく、仮説ばかりで、とても有罪を断定できる要素がないんですよ。よくこんなんで控訴できたなって感じです。被告を陥れようというよりも、単に警察と検察が雑な気がしましたねー。実際に検察側が控訴するケースってどれぐらいあるのかがわかりませんが、決定的な物証ない限り、そこまでしないですよね。まあ、そんな物証があったらそもそも一審で有罪になったかと思いますが。。。

で、本作で一番の見どころは協力者のノラです。彼女の息子が、ヴィギエの娘に家庭教師をしてもらっている関係で知り合い、彼の無実を証明するために奔走するんですけど、彼女、本職は料理人なんですよ。まったくの門外漢。それにも関わらず、250時間にも及ぶ通話記録の文字起こしを行い、関係者へのヒアリングを行います。そうやって真実に近づいていく過程はスリリングでした。

特に、演出の仕方が印象的で。彼女が働くレストランの伝票を渡すカットと提出書類を渡すカットをミックスしたり、ベルを鳴らす手と証人が宣誓を行う際に挙げる手をミックスしたりと、忙しい本職の合間を縫って裁判に参加している様子がよく伝わってきました。

この裁判の行く末はその目で確かめて欲しいのですが、フランスでは年間4万人が失踪し、そのうち1万人が謎の行方不明らしいです。こう言うと不謹慎かもしれませんが、生きてるのか死んでるのかわからない状態が一番辛いですよね。。。メールやLINEとかでも、相手からの返事が"No"よりも"無視"の方が精神的に一番辛いと感じます。

全体的に暗く静かな映画ではありますが、真実を暴こうと必死になる人たちの人間ドラマが光る見ごたえのある映画なのでオススメですー。


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