心と信念で動く男たちに胸が熱くなる『スペシャルズ! ~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~』

【基本情報】

 原題:Hors normes
 英題:The Specials
製作年:2019年
製作国:フランス
 配給:ギャガ

【個人的順位】

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:81/134
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】

ブリュノ(ヴァンサン・カッセル)は、自閉症の子供たちをケアする団体「正義の声」を運営している。

しかし、監査局の調査が入ることになり、不適切な組織だとジャッジされれば、閉鎖を命じられる可能性がある。

無認可で赤字経営、それでいて法律の順守より子供たちの幸せを優先するブリュノの施設は危うい状況だったのだ。

何回も受け入れを断られたような子供でさえ温かく迎え入れる「正義の声」は、当事者家族からは称賛されているが、調査員たちはその声に耳も貸さず、怪しい団体だと決めつける。

そんなとき、事件は起きてしまう。重度の自閉症で、頭突きを繰り返すためにヘッドギアを付けているヴァランタンが行方不明になってしまったのだ。

果たして彼はどこへ消えたのか。施設は存続できるのか。救いの手が必要な子供たちの未来はどうなるのか。

【感想】

ちょっと重めというか、ブリュノの肉体的・精神的な負荷が大きいなというのが痛いほど伝わってくる映画でした。これは実話ベースの話なんですが、いつどんな行動に出るかわからない自閉症の子供たち40人の面倒を見るというのがどれだけ大変なことか。。。

症状は人によって様々ですが、行方不明になったヴァランタンは自傷行為が激しく、すぐに頭突きをしてしまうため常にヘッドギアを装着していますし、ジョゼフは何回注意しても電車内で非常ベルを鳴らしてしまい、電車を止めてしまうんですから。

ブリュノは彼らのケアだけでなく、まわりの人たちに頭を下げることも多いんですが、それに加えて赤字経営と閉鎖の危機という状況も降りかかってくるので、ものすごくハードモードですよね。

しかも、彼は独身期間も長いため、まわりから女性を紹介される機会にも恵まれるんですが、子供たちの対応で必ず途中で抜け出さなくてはならず、デートもままならないんです。プライベートと呼べるような時間は皆無と言っていいほどで、僕には絶対マネできないなと思いました。。。

でも、彼は別に富や名誉が欲しいだけではないんですよ。心と信念で働いているからこそ、どんな逆境にも耐えられるんだと思います。調査官からいろいろ言われても、「子供たちの未来はどうなる?お前たちが一人残らず引き取ってくれるんだな?」と詰め寄るシーンは胸が熱くなりました。

本作の監督はあの『最強のふたり』を作ったエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュだから、かなりの号泣作になるのではないかなと思ったんですけど、正直泣きはしませんでした。

もちろん、ストーリーとしては素晴らしいのですが、こっちはブリュノが常に仕事に追われているシーンがメインになっていて、ドキュメンタリーではないものの、ちょっとそれに近い印象は受けたので、やや淡々としてるかなと感じました。

あと、邦題は副題が長すぎですね(笑)


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