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性と暴力がおぞましい『異端の鳥』

【基本情報】

 原題:Nabarvené ptáče
 英題:The Painted Bird
製作年:2019年
製作国:チェコスロバキア、ウクライナ合作
 配給:トランスフォーマー

【個人的順位】

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:95/157
 ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★★★☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:☆☆☆☆☆

【あらすじ】

東欧のどこか。
ホロコーストを逃れて田舎に疎開した少年(役名なし)は、預かり先である一人暮らしの老婆が病死した上に火事で家が消失したことで、身寄りをなくし、一人で旅に出ることになってしまう。

行く先々で彼を異物とみなす周囲の人間たちの酷い仕打ちに遭いながらも、彼はなんとか生き延びようと必死でもがき続ける。

【感想】

これは問題作でしょう。
2019年のトロント国際映画祭で、満席だったプレス向けの試写で、途中退場者が続出したという映画。「いや、どんなだし」って思って観てみたら、「ああ、これは、、、わかる。。。」となりました。

『幽遊白書』で、“黒の章”っていうビデオテープがあるの覚えてる人いますかね。人間のおぞましい部分のみを収録して、仙水の人格が変わってしまうほどの破壊力があるんですが、多分あのビデオが実在したらこんな感じなのかもなあって思えるシーンが多々あって、かなり精神的に来ますね。

主人公がいろんなところを転々としながら家に戻るまでを描いているのですが、出会う人出会う人みんな差別的、排他的で、性と暴力しか出てこないっていう感じです。もはやストーリーもあってないようなもの。なお、BGMも一切ないです(だから☆0)。

もともと原作となる小説があって、その作者もホロコーストの生き残りらしいので、きっと本人の体験もきっと入っているのでしょうが、人ってここまで凶暴なのかって思いますね。

スプーンで目ん玉えぐり出される使用人とか、性器に酒瓶を突っ込まれた挙句に思いっきりそれを蹴られる娼婦とか、もう何の映画だよ状態。こんな人たちがたくさん出てきますからね。。。子供のときからあんな境遇を目の当たりにしたら人格歪むだろうなっていうシーンのオンパレードたですよ。

しかも、そんなのが3時間近く続くのだから、観ているだけで体力が削られる映画でした。。。

主人公の設定としてホロコーストから逃れたとあるので、てっきり戦争の惨さを伝える映画なのかなと思っていたんですが、実態はただのバイオレンス映画でした(笑)

結局、戦争の辛さを描きたかったのか、人間のおぞましい部分を描きたかったのか、ちょっとわからないところではあるんですが、その目を背けたくなるようなリアルさは見ごたえありますし、主人公の少年はまだ10歳ぐらいの子供なのに、性的な扱いを受けるところも描き切るのは邦画ではなかなかお目にかかれない表現だとは思うので、一見の価値はアリかなと個人的には思うのですが、観る人を選ぶと思います。

ちなみに、この少年はもともと俳優ではなく、今作がデビュー作とのこと。なんか、人生一気に変わりそうですねwww


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